トップへ

WEC富士:雨やSC等に翻弄されたポルシェ勢。「最初の赤旗が出る前、賭けに出ていた」

2017年10月15日 21:42  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

ポールシッターの2号車ポルシェ919ハイブリッド。不運が重なりラップダウンの4位入賞となった
10月15日に富士スピードウェイで決勝レースが行われたWEC世界耐久選手権第7戦。予選ワン・ツーを獲得するなど、前日まで好調を維持していたポルシェ勢は、決勝では雨量やセーフティカーなどに阻まれペースを挙げられず。1号車ポルシェ919ハイブリッド(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ)が3位、2号車ポルシェ(ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー)が4位だった。

 ポールシッターの2号車ポルシェはバンバーがWECで自身初のスタートドライバーを担当。セーフティカーが退出した6周目から視界不良により2度目のセーフティカーが投入された28周終わりまでに、2番手の8号車トヨタTS050ハイブリッドに対し、12秒もの大差をつけていた。

 その後、レースは39周目に赤旗中断となるが、2号車はこの時点でLMP1クラスで唯一、ルーティンピットを行っていなかったため、レース再開後にピットインを余儀なくされ4番手に後退してしまう。 

 ベルンハルトがバンバーからステアリングを引き継ぐが、レインタイヤを思ったように作動温度へ入れられずペースが上がらず。すると、56周目にトップを走る8号車トヨタに交わされ周回遅れにされたうえ、直後にふたたびセーフティカーが導入されるなど、不運が重なってしまった。

 その後にスティントを担当したハートレーもペースの上がらない状況は変わらず。トップが114周目に突入したタイミングで給油のためにピットへ向かったところ、レースは2度目の赤旗となり、そのまま終了。4位でレースを終えた。

 2番手スタートの1号車ポルシェはロッテラーがスタートを担当したが、実質的なオープニングラップの6周目に2台のトヨタに交わされ、4番手に後退。この際、13コーナーの立ち上がりでセバスチャン・ブエミ駆る8号車トヨタの左リヤと1号車ポルシェの右フロントが接触して、ロッテラーは右フロントのフラップを失ってしまう。

 22周目には小林可夢偉がドライブする7号車トヨタを交わして3番手に浮上したものの、その11周後にロッテラーはピットイン。壊れたフロント部分を交換すると同時に、ジャニへステアリングを引き継いだ。

 その後に出された1度目の赤旗中断時は4番手につけていた1号車ポルシェだが、リスタート直後に2号車ポルシェがピットインしたため、3番手にポジションアップ。またジャニからステアリングを引き継いだタンディのスティントでは、8号車トヨタがピットインした関係でラップリーダーに踊り出た。

 その後は2番手につける7号車トヨタのホセ-マリア・ロペスとバトルを繰り広げたが、79周目にセーフティカーが導入され、レースはいったんリセットされることに。

 87周目のリスタートでは、ポジションを守ってトヨペット100Rに向かったタンディだったが、アドバンコーナーへの進入でLMP2クラスの13号車オレカ07・ギブソンが他車との接触からクラッシュ。コース上にデブリが散乱したため、ふたたびセーフティカーが導入される。

 レースは94周目にリスタートされたが、タンディはTGRコーナー~アドバンコーナーにかけて2台のトヨタに相次いで交わされ、3番手にポジションを落とす。

 タンディは100周目にピットインして、ジャニがふたたびコクピットへ。ここでフレッシュタイヤを履いたジャニは前を走る7号車トヨタのマイク・コンウェイに迫り、テール・トゥ・ノーズに持ち込もうかというところで、またもセーフティカーが導入。その後に霧が深くなったことで赤旗が出され、そのまま3位でレースを終えた。

■ハートレー「連続してセーフティカーが出動し、我々のレースに悪影響を及ぼした」

「今日は振り子が前後に振れるかのように状況が二転三転した1日だった」と語るのは、チーム監督のアンドレアス・ザイドル。

「最初の赤旗が出る前、我々は賭けに出ていた。あそこでレースが終了していたら、我々の2号車が優勝していただろう。ましてや、最後のレッドフラッグが出されたタイミングは我々にとって不運だった。もしも、そのままレースが継続されていたら、トヨタの7号車と我々の1号車が優勝を競っていただろうね」

「全体的にリスタート時のタイヤの温度を上げて働かせる際に問題があり、何度か順位を落としてしまった。しかし、両チャンピオンシップ防衛に向けてポイントを持ち帰れたことが重要だ。非常に困難が多い週末だったが、ドライバーとチーム全員がつねに集中していたことに感謝したい」

 3位表彰台を獲得したロッテラーは、「スタート直後の数周はタイヤを働かせるのに苦労した。タイヤの温度が低すぎて氷の上を走行しているかのようだった」とレース序盤を振り返った。

「なぜかトヨタはこの点において我々よりも優れていて、ポジションをふたつ落とした。その後、セバスチャン・ブエミに接触した際、フロント周りのエアロパーツが取れ、ダウンフォースをなくしてしまった。しかし、その後にタイヤの温度を上げられたとき、マシンは本当に速かった」

 この富士でのチャンピオン確定は逃したものの、依然としてポインランキングでトップに立つ2号車ポルシェのハートレーは「アール(バンバー)にとっては最高の出だしだった。後続を10秒以上離して先頭を走っていたが、その後は連続してセーフティカーが出動し、我々のレースへ確実に悪影響を及ぼした」と悔しさをにじませた。

 2017年のWEC第8戦は11月5日、中国・上海で決勝が行われる。ポルシェ陣営はドライバーズランキングで39点、チームランキングで58.5点のアドバンテージを持って、第8戦に臨む。