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GTA坂東代表とITRベルガー代表が共同記者会見。「このデモランがコラボを深化」

2017年10月15日 20:22  AUTOSPORT web

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ホッケンハイムで共同記者会見に臨んだGTA坂東正明代表とITRゲルハルト・ベルガー代表
10月15日、DTMドイツツーリングカー選手権最終戦ホッケンハイムの会場で、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表と、DTMを運営するITR e.Vのゲルハルト・ベルガー代表が共同で記者会見を開き、今回ホッケンハイムで実現したGT500のデモランが、『クラス1』規定のコラボレーションの発展を促すとアピールした。

 2009年のスーパーGT最終戦もてぎにITR代表団が訪れてからスタートしたスーパーGTとDTMのコラボレーション。これまで日独の6マニュファクチャラーを交え、多くの話し合いが行われてきたが、今回DTM最終戦にスーパーGT500クラスの2車が運び込まれデモランを行ったことで、両者にとってもファンにとっても、目に見えるかたちでのコラボレーションの進展が印象づけられた。

 15日、ホッケンハイムのバーデン・ウッテンバーグ・センターで行われた記者会見では、坂東代表とベルガー代表がそろい、まずは坂東代表が「スーパーGT車両をDTM最終戦に持ってこられて、無事に昨日走行できたわけですが、2017年10月14日という日に、日独両国の自動車レースの歴史に新たな一歩が記されたと思います」と語ると、ベルガー代表も「坂東さんが言うとおり、歴史的な日になった。今週末ファンに向けて、日本のGT500車両が走る姿をみせ、コラボレーションの成果を見せることができてうれしく思う」と語った。

 また坂東代表は「ニッサンGT-R、レクサスLC500という2台を協力して持ってくることができ、ドイツメーカーの3車ととともに走れることなりました。5台が一緒に走るところを観て、ちょっと胸を詰まらせる思いがありました。非常にうれしかったです」と長年交渉に携わってきただけに、万感の思いがあったと語っている。

「ITRの方からもコラボレーションの意味を深くするというところで、実際に車両を持ってこられないかと話がありました。『今がその時だ』と思い、今回ここに足を向けて車両を持ってくるというのも、本当にITRとの話がひとつひとつ先に進んだ結果だと思います。今までの会話だけでなく、実際に車両を持ってきてもう一歩先に進むことができたのは、非常に有意義なことだと思っています」

■コラボの作業は大詰め。「他社もこのコンセプトに参加を」
 気になる今後のコラボレーションについては、2019年からDTMでも、現在スーパーGTで使われている2リッター直4直噴ターボエンジンを使用することが決まっており、アウディはすでに完成、BMWも完成間近と言われている。14日にGT500の走りを観たベルガー代表は、未来のDTMエンジンのサウンドとGT500の速さについてこう語った。

「僕はレーシングドライバーだったからね。(DTMよりも)別のクルマが速いのは悔しいよ(笑)」とベルガー代表。

「そのために我々も仕事を進めないといけないね。クルマは直噴エンジンで馬力も大きい。ストレートも速いね。レギュレーションが変わったらDTMマシンもそうなるだろう。音についても素晴らしいと感じたよ。我々の今のエンジンは自然吸気で、それはそれで興奮できるものだが、我々のマニュファクチャラーはいま開発を進めており、将来もいいものになると感じた」

「多くのマニュファクチャラーがコストの問題を抱え、ITRにとってもFIAにとっても、新たなレギュレーションの未来図を描くことが重要な課題となった。自分もこのコラボレーションをサポートし、将来に向けて推進したいと確信した。最終的には日本とヨーロッパのすべてのマニュファクチャラーがそろい、コストを下げて同じレギュレーションでできるレースが実現すればと思う」

 また、ベルガー代表は、コラボの推進によって現在の日独6社だけでなく、「コラボレーションを進めることによって、他のマニュファクチャラーも参加してほしいと思うし、たとえばアメリカののように他の地域のメーカーもこのコンセプトに参加し、大きなプログラムにできれば」と将来について語った。

 一方、坂東代表も「クラス1の規定の完成に向けては、作業は大詰めに入っています。スーパーGTとDTMの協力体制をより強固なものにしていきたいと思っています。今回のデモンストレーション走行により両者のコラボレーションが今後ますます深化していくものになるでしょう。そして、その成功を私は確信しています」とGTAとITRがより緊密にコラボレーションしていくと語っている。

■「『どう相手をやっつけようか』という戦いがもう始まっている」
 また、今後に向けてGTA、ITRともに実現を目指しているのが、同じクラス1車両による『交流戦』だ。今回のデモランがみせたように、日独のメーカーが同じ規定でぶつかり合うレースが観られれば、それはファンにとっても大いに期待したいところ。

 坂東代表も常々実現に向けて意欲をみせていた交流戦だが、ベルガー代表も「2019年の後半か2020年には、まったく同じクルマでトラックにそろい、ヨーロッパと日本でそれぞれレースができるだろう」と語った。

 そして、将来日独でメーカーがそれぞれのレースに参戦することはあるのか……!? という問いに対しては、「それは今は言う段階にはないけれど」とベルガー代表は前置きした上で、次のように述べている。

「技術を競うのがモータースポーツだ。今はスーパーGTとはフレンドリーに接しているが、どの参戦マニュファクチャラーも、『どうやって相手をやっつけてやろうか』と考えているだろうね(笑)。いま、そのプロセスがスタートしたところだよ!」