F1日本GPではフェラーリに決定的な一撃を与えたにも関わらず、メルセデスはチームが自己満足に陥らないよう戒め、目の前の戦いに意識を集中させようとしている。
ルイス・ハミルトンは、最大のライバルであるセバスチャン・ベッテルに対して現時点で59ポイントと圧倒的な差をつけている。だがチームのトップであるトト・ウォルフは、現在の優位を当たり前のことだとは考えていない。
ウォルフは、ドイツのSport Bild誌に「ほかの可能性が完全になくなるまでは、確定とは言えないものだ」と語り、さらに以下のように続けた。
「世界選手権を長く戦ってきたが、今季は最も厳しいシーズンのひとつになっている。今シーズンを成功で終わらせるために、あらゆる手を打ち続けなければいけない」
ウォルフのこうした慎重さは、『W08』が持つやや予測しがたいマシン特性、そしてアジアでの3戦でフェラーリに突然信頼性の問題が生じたことが示唆するように、風向きはいつでも変わり得るという事実に根ざしたものだ。
「我々のマシンは未だに気難しい。そして、直近の3レースでセバスチャンに起きた不運は、状況がいかに簡単に変化してしまうのかを示している」
「レースにおいては予測できないことが常に起こり得るし、(今シーズンは)まだ100ポイント分の戦いが残っているのだ。タイトルを獲るまで手綱を緩めるつもりはない」
メルセデスのノンエグゼクティブチェアマンであるニキ・ラウダも、チームが慎重であるべきだという点でウォルフと同じように考えている。ラウダはドイツのAuto Motor und Sport誌の取材に対して、以下のように語っている。
「鈴鹿では素晴らしい一歩を進めることができた。だがタイトルはまだ確定していない。それでも今は以前よりは良く、楽な状況になってきたようだ」
ラウダは、メルセデスがいまだに2017年型『W08』の特性を把握するための取り組みを続けているとも話している。
「今はまだ、全員で答えを探っているところだ」
ラウダは、メルセデスのマシンはレースをリードしているときに非常に良い走りをする一方、ライバルを追いかけているときにそうした走りができていないと主張した。
「これは我々の空力パッケージに原因がある。この問題を回避するために、我々は先頭を走っている必要があるのだ」