突然ですが、好きな人のSNSって、ついチェックしてしまいません?
筆者は好きな人のSNSを遡るのも、元カノのアカウントを特定するのも普通だと思っています。だって好きな人のことは知りたいじゃないですか。そんな話をしていると、「市子さん、それネトストでは……?」と言われてしまいました。
ネットストーカー、通称「ネトスト」。その名の通り、ネット上で特定人物の情報やSNSでの発言を監視する行為のことです。たしかに定義上、筆者が行っていたのはネトストです。しかしこの超SNS社会、ネトストしてくれと言っているようなものではないでしょうか。
今回はネトスト経験者のイマドキ女子に、どんな人に、どんな方法でネトストしたのかを聞いてみました!(取材・文:市ヶ谷市子)
アイコン画像をグーグル画像検索にかけて他のSNSアカウントも一気に特定
由衣さん(仮名/デザイナー/26歳)は「どこまでをネトストと呼ぶかですけど、一般人でもバンドマンでもハマったら最初にSNSを特定しますね」と話します。
「気になった人のSNSのお気に入りと返信はもちろん、どんな人とやりとりをしているのか返信先のアカウントまで常に見ていました。昨晩もフェイスブックを見ていたんですけど、その人の高校時代の写真を見つけてしまって若さに悶絶してました。……え、これ普通にやりますよね?」
とにかく気になった人のSNSは即探すという由衣さん。最近は某書店の男性店員に夢中です。「名札の苗字と勤務先のみを頼りにSNSを探していたんですけど、その近辺に住んでいる同姓の別人のインスタアカウントに行きついて、それがめちゃくちゃセンスいいんですよ」と現在はその男性のインスタを細かくチェックしているようです。
亜紀子さん(仮名/医療事務/24歳)も「恋愛感情の有無に限らず好きな人のSNSはチェックしますね。どんな人か知れるし、親しくなるには必要だと思っています」と話します。アートが好きな亜紀子さん曰く
「好きな人は趣味嗜好が合っていることが多いから、その人がファボ(お気に入り)したものって、イベント開催など有益な情報の場合が多いんです」
とのこと。他にも妹が入会したサークルのフェイスブックページを探し、危なそうな人はいないかを調べたこともあるといい、必ずしも自分自身のためだけにネトストを行うわけではないようです。亜紀子さんがよく使う特定方法は以下の通り。
「何かひとつのSNSを見つけたら、アイコン画像をグーグル画像検索にかけるといいですよ。他のSNSとアイコンも同じにしている場合も少なくないので、結構出てきます」
リアルな日常を知るにはFBよりツイッター 「ツイログ」で過去3年分は漁る
千夏さん(仮名/編集/25歳)は「まだそんなに接点がない人だと、その人の趣味嗜好が分からないと会話しづらいですよね」と話します。SNSで好きな音楽や食べ物をリサーチするのは当然のようで、もはやネトスト=礼儀と言っても過言ではないと思っているようです。
お気に入りネトストSNSを聞くと、「フェイスブックとインスタは見栄を張っている人が多いので、ツイッター。比較的リアルな所が見られると思います」。そんな千夏さんはネトストをして彼氏ができたこともあるといいます。
「特別なことはしてませんけど、ツイログ使って過去3年分は見ました。ラーメンズが好きなことも知っていたので、チケット取って余った体にして誘ったりしましたよ」
(編注「ツイログ」:本来はユーザーが自身の過去ツイートをブログ形式に保存するためのサービス)
SNSの特定方法について聞くと、前述の彼氏については、友達や同級生などのアカウントを芋づる式に辿ったといいます。色々とメソッドがあるようで、次のように語っていました。
「まずフェイスブックを見つけて紐づいているインスタIDをゲット。インスタIDが名前と誕生日を組み合わせた簡単なものなら、他のSNSでも似たような文字列の可能性が高いんですよ。いろんな組合せでツイッターで検索して、それらしい人を見つけたこともあります」
しかし、SNSごとにIDを変えている人も多いですよね。その場合はどうしているのでしょうか。
「フェイスブックで誕生日を調べて、ツイッターで『誕生日おめでとう』を検索します。その日にリプライが来ているアカウントを集中的に探すと、これが意外と見つかるんです」
賃貸サイトを駆使して住所を特定 「こっちは住所知ってるんだからな」と謎の安心感
ここまでは主にSNSを使ってのネトストですが、静子さん(仮名/モデル/24歳)は「SNSは使わずに、好きな人の住所を特定したことがあります」と言います。特定したのは当時好きだった人の住所だそうです。
「一回も行ったことないし、住所を直接聞いたこともありません。会って話すことが多かったんですが『〇〇駅から遠くてもバス停が目の前』だとか、『一番近いコンビニはファミマなんだけど(2番目に近い)ミニストップしか行かないんだよね』、『集合ポストの下にある不要チラシ入れの中にモスのゴミ捨てる人がいてさ』、『車戻そうとしたら駐車場が勝手に使われてた』とか、会話の端々にヒントがあるんですよ」
会話やメールなどのやりとりの中や、相手から家の近くの写真が送られてきた来たときに、「最寄り駅ってどこだっけ?」「家まで結構歩くの? 大変じゃない?」など自然な流れで情報を得ていきます。それらの条件を賃貸サイトに入力し、グーグルマップのストリートビューを併用して部屋番号を含む住所を特定できたといいます。
しかしネトスト女子はこれらの情報を知ってどうするのでしょうか。静子さんは「特に何もしません。押しかけることもなかったですけど、何かあったときに『こっちは住所知ってるんだからな』と思える安心感はあったと思います」と話します。
今回取材した他の女性たちも「相手に害を与えよう」と思ってネトストをしているわけではないようです。ネトストは相手を知りたいからするもの。基本的にはコミュニケーションの補助的な感覚でネトストをしているようでした。
筆者も、気になる男性やその友人のSNS投稿を照らし合わせて「〇〇さん、今日はあの人たちと一緒にお祭り行ってるんだ~」などすることがあります。でも別にその場所に行こうとは思いません。好きな人が何をしているか知りたい、という乙女心の基本的な部分だと思っています。
ただ「ネトストキモイ」と思われるのも分かります。でも、そういう人ほど実名でフェイスブックを登録した上で他SNSを連携させていたり、ツイッターやインスタを非公開にしていなかったりします。こちらとしてはありがたいので、そのままでいていただければ幸いです。もしくはこの事例からネトスト防止に役立てていただけばと思います。