2017年10月14日 10:32 弁護士ドットコム
コンビニ各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会は、外国人技能実習制度の対象として、コンビニの店舗運営も加えるよう、年内にも政府に申請する見通しだ。
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同協会は、「日本のコンビニをパッケージとして輸出したい。技能実習の対象となれば、実習生が店舗運営のノウハウの一番の理解者となってくれる」と海外展開を見据えた意義を説明している。コンビニでは現在、人材不足が慢性化しているが、同協会は「人材不足を補うためのものではない」と否定している。
これまで、外国人技能実習生は、工場や農家などが中心で、過酷な労働環境などが問題視されることが多かった。もし、コンビニが加わるのであれば、どんな意味があるのか。指宿昭一弁護士に聞いた。
「コンビニ店舗において人手不足が深刻化しており、多くの留学生のアルバイトを雇用しても、労働力が足りないという状況は理解できますが、技能実習生によって労働力を確保することには反対です。
なぜなら、技能実習制度には根本的な欠陥があり、多くの人権侵害事件を引き起こしているからです」
それでは、どうすべきなのか。
「コンビニ店舗で外国人労働者によって人手不足を解消しようとするなら、新たな外国人労働者受入れ制度を作るべきです。他の産業分野も含めて、まともな外国人労働者受入れ制度を速やかに作るべきで、問題の多い技能実習制度を使うべきではありません。
日本フランチャイズチェーン協会は、技能実習制度の導入について、人手不足解消のためではなく、コンビニ各社の海外展開を後押しし、発展途上国の流通業の発展に貢献するためだということを説明していますが、信用できません。
コンビニ店舗運営の社員教育のためなら企業内転勤や研修の制度を使うべきだし、留学生のアルバイトを卒業後に雇用するという方法もあります。また、技能実習制度の対象職種にしなくても、1年間なら技能実習生として受け入れることは可能であるのに、1年を超えて受け入れたいのだとすると、それは労働力確保が本当の目的だと思われます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
指宿 昭一(いぶすき・しょういち)弁護士
労働組合活動に長く関わり、労働事件(労働者側)と入管事件を専門的に取り扱っている。日本労働弁護団常任幹事。外国人研修生の労働者性を認めた三和サービス事件、精神疾患のある労働者への使用者の配慮義務を認めた日本ニューレット・パッカード事件、歩合給の計算において残業代等を控除することは労基法37条違反かどうかが争われている国際自動車事件などを担当。
所在エリア:東京新宿
事務所名:暁法律事務所
事務所URL:http://www.ak-law.org/