ついに開幕したMotoGP第15戦日本GP。ツインリンクもてぎで開催されている世界選手権に、2017年はMotoGP、Moto2、Moto3クラス合わせて10人の日本人ライダーが参戦している。初日を終えた彼らに話を聞いた。
■MotoGPクラス:野左根航汰(モンスター・ヤマハ・テック3)
日本GP開幕直前の12日に急きょ、ジョナス・フォルガーの代役として参戦が決まった野左根。1分56秒453のタイムをマークし、総合13番手で初日を終えた。
「(代役参戦について)知ったのは昨日の昼11時くらい。家にいるときに電話がかかってきたんです。フォルガーが出られないことは知っていましたが、(代役参戦は)ありえないと思っていました。でもある程度、心の準備はできていました」
「MotoGPというのは走りたくても走れないものですから、こういう機会を設けてもらったことに感謝したいです。今年は(2014年まで所属していた)チームノリックの阿部(典史)さんが亡くなって10年という節目の年ですし、僕の父が亡くなってから今年で3年です。ふたりからチャンスをもらったのかな、と」
「最初は緊張してビビっていたけど、どんな状況でも走り切ることが大事だと思っています。僕には守るものはないしプレッシャーもない。走ることに集中したいですね」
「ペースは悪くないですが、タイムはけっこう絞り出したものなんです。ペースを維持できるかが難しいところですが、明日、明後日とレベルアップしていきたいと思います」
ちなみに「走っていて、マルク・マルケスに抜かれたりしたとき」にMotoGPに参戦している実感がわいたのだとか。
■MotoGPクラス:青山博一(エストレージャ・ガルシア・0.0・マーク・VDS)
ジャック・ミラーの代役として日本GPに参戦する青山は、2016年のダニ・ペドロサの代役参戦に続いて2年連続の母国グランプリとなる。初日は1分57秒548を記録して総合22番手。
「母国でのレースはとても特別です。ただ、天候だけが残念ですね。僕はミシュランのレインタイヤで走ったことがなかったので、まずはその確認を行いました」
「午前中は安定していると感じましたし、午後にはさらによくなったと思います。でもリヤのグリップをさらに上げたいのですが、まだ100%プッシュできる状態ではないですね。このコースは加速がハードですから、リヤタイヤのグリップがよくないともてぎを走るのは簡単ではないんです」
■MotoGPクラス:中須賀克行(ヤマルーブ・ヤマハ・ファクトリーレーシング)
中須賀のワイルドカード参戦は6年連続。YZR-M1の開発を兼ねての参戦のため、思うようにタイムを上げられなかったセッションに悔しさをにじませる。
「毎年、次の年に向けたマシン開発を兼ねての参戦なんですが、今年はやることが特に多くて。FP1とFP2で仕様違いのマシンに乗ったり。思ったよりうまくそれに乗れなくて、タイムにつなげられませんでした」
「次に向けていい(マシン)評価にはなったんですけど、ライディングには集中できなかったです。開発評価があったので難しかった。去年よりも厳しいです」
「ただ、同じ状況下で走って、すぐにライダーのコメントを聞けるのはもてぎだけ。テストとしてはいい一日でした。もちろん、ひとりのライダーとしては悔しいですよ。フラストレーションが溜まりました。特に、野左根(航汰)が調子よく走っていますから……とても悔しい。決勝は見とけよ、と(笑)」
「もちろん(レースウイークの)リズムというものがあるから、いきなり(テストではなく)走れと言われても難しいです。でも、そのなかでも自分のベスト尽くしたいと思います」
■Moto2クラス:中上貴晶(イデミツ・ホンダ・チーム・アジア)
中上がMoto2クラスライダーとしてもてぎを走るのは今年が最後だ。ファンはもちろん中上の優勝に期待をかけるが、初日はタイムが上がらず2分7秒312。総合16番手となった。
「予報通り雨の一日になって、特にFP2は短いセッションのなかでコンディションが少しずつ変化したこともあり転倒者も多かったです。自分も危ないシーンが何度かありましたが、転倒せず無事1日目を終えることができてほっとしています」
「まだウエットでのレベルが自分の望んでいる段階にまでいっていません。攻めきれていないというのが結果に出ていますが、問題を抱えているなかで着実に前進していますし、フィーリングは良くなっています」
「(問題を抱えている箇所は)フロントです。ブレーキングの安定性は悪くないのですが、一次旋回でのフロントのフィーリングがいまひとついい感じに攻められていないんです」
「土曜日は曇りで日曜日は雨になる予報なので、ウエットだとコンディションが常に変化するので、変化にしっかりと対応していきたいと思います」
■Moto3クラス:鳥羽海渡(ホンダ・チーム・アジア)
Moto3ルーキーの鳥羽は世界選手権ライダーとしてもてぎを走るのは今回が初。初日は転倒もあり、タイムも伸び悩んだ。
「FP1はコースインしてすぐに転倒してしまいました。タイヤも冷えていて、(自分の)気合も入りすぎてしまっていたので、自分のミスです。転倒後すぐにピットに戻って直してもらい走り出しのですが、リヤのフィーリングがとても悪く、進入から立ち上がりにかけて攻めることができませんでした」
「FP2ではいろいろと考え、セッティングを大きく変更する方向にしました。走りだしは悪くなく、進入でのリヤのフィーリングが少しずつ戻ってきたのですが、立ち上がりで悪い部分が多いのでそれを明日改善していく必要があります。チームメイトと自分のデータを比べるとライディングスタイルでリカバリーできる箇所もあるので、明日はそこを直してセッティングをしていく予定です。方向性はFP2でだいぶ見えてきました」
「明日の天気がわからないのですが雨のレースになると思うので、雨のセッティングをもっと詰めていかないといけないです。自分のライディングも詰めていかないといけないので、問題はいっぱいありますが今は抜け出しているところです」