今年7月に総務省が旗振り役となって実施された「テレワーク・デイ」の検証結果が、10月6日公開された。実施当日、10時台の人口が最も減ったのは東京都・豊洲で、14.9%の減少だった。
テレワーク・デイは、2020年の東京オリンピック開会日である7月24日に設定されている。初回の今年は東京を中心に632企業が参加し、うち83団体、3万3710人が効果測定に協力している。
浜松町は13.6%、品川は5.1%減 ヒカリエ周辺でも出勤率が減少
日本ユニシスやSCSKなどのIT関連企業を中心に、約4900人が参加した豊洲では、朝8時台の乗客数が昨年の同時期と比べ10%減少した。
ドコモ・インサイトマーケティングの調査によると、豊洲の10時台の人口は7月平均と比べ14.9%も減っており、当日同時点の人口減少率で1位を記録した。2位は浜松町で13.6%減、3位は品川で5.1%減だった。年代・性別に着目すると、最も人口が減ったのは40代男性だった。
ソフトバンクとAgoop社の分析では、朝7時から9時、夜6時から8時の通勤ラッシュの時の豊洲駅の人口が、最大で2割減少していたことが判明した。KDDIの分析結果では、これまでに挙げた豊洲や浜松町以外の地域でも、渋谷区のヒカリエ周辺や新宿区の都庁周辺、千代田区の末広町近辺などで出勤率が5%以上減っていたと確認されている。
テレワーク・デイの導入は「個人消費を高める効果がある」
出勤人数が減ったことで、オフィスフロアの消費電力削減にも効果が見られた。回答した12企業すべてでテレワーク・デイ実施前より消費電力が減っており、減少幅は平均7.1%、最大で18%にも上る。
消費支出にも変化が見られた。普段より消費が減った人は64.5%だった。通勤がないことで「昼食代・飲食代が減った」「普段は外食をしているが、ランチを自宅で済ませた」人が多かったようで、一人当たりの減少額は725円だった。
一方、増えたと回答した人は35.5%で、「終業後、映画を見に行き、デパートで買い物をした」「家族で外食にでかけた」などの理由で、一人当たり1233円増加した。
一人当たりの増加額は減少額を大きく上回ったことを受け、総務省と経産省は発表資料中でテレワーク・デイにつて「ワークライフバランスの確保を通じ、個人消費を高める効果がある」との見方を示している。今後は実施日数を増やしたり、消費支出変化の詳細な分析など、効果測定を充実させていく方針だという。