F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねる連載企画。今回は2016年F1チャンピオンを獲得し引退したのニコ・ロズベルグ。自身の引退についてどう考えているのだろうか。
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ニコ・ロズベルグが日本GPが行われた鈴鹿を訪れていた。
「イギリスのテレビ局、スカイ・スポーツから解説を頼まれたんだ」と言うロズベルグがサーキットに来るのは、5月のモナコGP以来。このきは、FOMから表彰式の司会役を頼まれていた。しばらくご無沙汰していた理由をロズベルグはこう述べた。
「じつは2カ月前に2人目の赤ちゃんが生まれたんだ。日本に来るまで、毎日抱っこしていたよ」
昨年の日本GPではロズベルグが初優勝し、タイトル争いで大きなアドバンテージを得た。しかし、それがロズベルグに引退を意識させるきっかけにもなった。あれから、一年。思い出の地を訪れたロズベルグはいまのF1をどう見つめ、自分の引退をどう考えているのだろうか。
「いまでも毎戦F1を見ているよ。別にF1が嫌いになったわけじゃないから。今年はマシンが新しくなって、とてもエキサイティングになったね。でも、僕は引退したことは少しも後悔していない。チャンピオンになるという夢を果たせた。それ以上の望みはもうないから」
別れ際、腰からぶら下げていたパスを見せてもらった。そこにはパスホルダーの名前である『ニコ・ロズベルグ』という文字はなく、英語でこう書かれていた。
『F1 World Champion』