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イオングループの警備会社に是正勧告…最低賃金法違反など、公益通報で発覚

2017年10月12日 18:33  弁護士ドットコム

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イオングループの警備会社「イオンディライトセキュリティ」(大阪市中央区)が、最低賃金法違反や残業代不払いなどで、中央労働基準監督署と三田労働基準監督署などから是正勧告を受けていたことがわかった。勧告は9月29日付。労働組合が10月12日、東京・霞が関の厚生労働記者クラブで発表した。


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●今回の是正勧告の対象は約40人の従業員

イオンディライトセキュリティは、イオンのほか、系列以外の施設でも警備事業をおこなっているグループ会社。今回の是正勧告の対象となったのは、同社が東京都文京区、港区で展開する5つの現場で、従業員は約40人。


労働組合のプレカリアートユニオンは会見で、(1)最低賃金法違反、(2)月80時間を超える時間外労働(36協定違反)、(3)残業代の不払いが確認されたと説明した。最低賃金法違反については、今回対象となった従業員を含めて東京都で計約150人、全国で数百人が該当する可能性がある。


また、プレカリアートユニオンによると、月130時間を超える時間外労働をおこなっていた人もいた。深夜の仮眠時間や日中の待機時間、着替え時間などが、労働時間としてカウントされていなかったためで、たとえば、深夜に緊急事態が起これば、対応しないといけない実態があったという。


●公益通報がきっかけ

今回の勧告は、同社に勤める中村孝さん(現プレカリアートユニオン・イオンディライトセキュリティ支部長)が今年7月に労基署に公益通報したことがきっかけだった。中村さんは会見で、長時間労働の原因について、「極端に低賃金であること」をあげたうえで、2020年の東京オリンピックに向けて人材不足の中で、警備業界の労働環境を向上させる必要性があることを訴えた。


プレカリアートユニオンによると、イオンディライトセキュリティは警備業務を担当しているが、親会社「イオンディライト」が営業を担当しており、売り上げの適正な配分がおこなわれていないという。同ユニオンの清水直子執行委員長は「適正な配分がおこなわれれば、未払い賃金や最低賃金を割り込むような状況も改善できる」と述べた。


なお、イオンディライトセキリティによると、北九州西労働基準監督署からも同様に是正勧告・指導を受けたという。同社は弁護士ドットコムニュースの取材に「内容を真摯に受け止めて、労基法をはじめとした関係法令等の遵守を徹底してまいります」とコメントした。


(弁護士ドットコムニュース)