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デートで必ず領収書をもらう「しみったれた彼氏」、経費で落としたら脱税になる?

2017年10月11日 10:23  弁護士ドットコム

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一見、仕事に関係なさそうな支出についても、節税のために領収書をもらうーー。このような話を見聞きしたことはありませんか。


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インターネット上のQ&Aサイトには、自営業の彼氏が必ずデートで領収書を切るという女性からの疑問が寄せられていました。彼女はサラリーマン家庭に育ったといい、プライベートでの支払いに領収書を切る感覚はセコく感じるし、脱税ではないかと疑っています。


デートの度に領収書をもらい、申告することは脱税にあたるのでしょうか。もしも、彼女が仕事に関係している人物だった場合は、経費にできる可能性があるのでしょうか。内山瑛税理士に聞きました。


●デート代を経費で落とせるのは、相当限定されたケース

「デートで領収書をもらう行為が『セコい』のか、『賢い』のか、いろいろな価値観があるとは思います。税法的には、そのデートが事業のため、収益獲得につながる側面があるのであれば、経費にできますよ、というのが教科書的な回答になります。


ですが、納税者として理由づけをし、税理士に聞かれて『ちゃんと理由があるから経費で計上して』といった場合でも、いざ税務調査で詰め寄られたときに回答に窮する場合が、私の税務調査立会経験上、非常に多いと感じます。


いわゆる『風が吹けば桶屋が儲かる』的な理屈づけではなく、ある程度、明確な理由づけが必要です。デート代を経費で落とすことができるのは、相当限定されたケースではないかと思われます」


ただ、通常の接待交際費でも、事業のためか私的なもののためか、区分が曖昧ではないですか。


「そうですね。私的な交際費の相当部分を『経費』として税金を安くする方は多くいますし、税務調査でも、そのすべてが指摘されるわけではありません。しかし、私的な経費を計上することによって決算書が正確なものではなくなるため、経営判断に悪い影響を与えてしまう可能性もあります。


また、アルバイトを含め従業員を雇用している場合などで、雇用主が私的な経費を計上していると知ったら、どうなるでしょうか。『社長の遊ぶ金のために働かされているのか』とモチベーションの低下を招いたり、『社長も悪さをしている』と、不正の温床になったりしかねません。長期的に事業の発展・維持を見込むのであれば、私的な経費を含めるのは差し控えたほうがよいでしょう」


【取材協力税理士】


内山 瑛 (うちやま・あきら)税理士


「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様を総合的にサポートしています。 「親身に、誠実に、迅速に対応すること」が会計事務所の責務だという信念のもと、お客様の利益のため、精一杯貢献いたします。


事務所名 :内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所


事務所URL:http://www.uchi-zeirishi.com


(弁護士ドットコムニュース)