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TCRインター:仕事人タルキーニが本領発揮。ヒュンダイi30 N TCRデビューウイン

2017年10月10日 17:11  AUTOSPORT web

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デビュー戦で見事勝利を飾ったガブリエル・タルキーニのヒュンダイi30 N TCR
中国・浙江省に建設された新サーキット、寧波国際サーキットで10月7~8日に開催されたTCRインターナショナルの第9戦は、同ラウンドから最終戦にかけての2戦にテスト参戦するとアナウンスしていたヒュンダイの新型マシン『i30 N TCR』をドライブするガブリエル・タルキーニが、初戦で見事なデビューウインを飾った。

 ヒュンダイ・モータースポーツとの契約でこの新型TCRマシンの開発ドライバーを務めるタルキーニは、来季2018年からの『ヒュンダイi30 N TCR』本格デリバリーを前にこの中国ラウンドと最終戦ドバイの2戦にテスト参戦することが決定。開発部隊としてオペレーションを担当するイギリスのBRCレーシングと、このプログラムのために招聘されたベテラン、アラン・メニュとともに初のTCRイベントに臨んだ。

 その新型マシン2台に注目の集まる中、予選Q1からいきなりの速さを見せたi30 N TCRは、メニュが1分32秒811という驚異的なベストタイムをマーク。そのコンマ1秒落ちでタルキーニが続き、初開催サーキットゆえインターナショナル・シリーズの誰もがデータを持たないという横並び条件の中、さっそくの競争力を披露してみせた。

 しかしながら、今回のイベントには暫定ホモロゲーションでのエントリーとなるヒュンダイ勢はQ2への出場資格が与えられておらず、メニュ、タルキーニともに13番、14番グリッドへの降格が決定。ポールポジションはQ2で1分33秒173を記録したレパード・レーシング、ロブ・ハフ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)のものとなり、フロントロウにはチームメイトでポイントリーダーのジャン-カール・ベルネイが並んだ。

 迎えたレース1スタートでは、そのヒュンダイがオープニングラップで対照的な展開に。13番グリッドからスタートしたメニュは、ブーツェン-ジニヨン・レーシングのオーレリアン・パニス(ホンダ・シビック・タイプR)と、このイベントからスポット参戦を果たしたコムトゥユー・レーシングのデニス・デュポン(セアト・レオンTCR)との三つ巴となり、並びかけたメニュがデュポンのセアトにヒット。そのままバランスを崩したデュポンのマシンはピットウォールに激突し、オフィシャルはメニュに対しドライブスルーのペナルティを宣告。



 一方、14番グリッドから出たタルキーニはオープニングラップで6番手まで躍進すると、その後も驚異的なレースペースでオーバーテイクショーを展開し、スタートで出遅れていたポールシッターのハフ、フレデリック・バービッシュ(アウディRS3 LMS)を2周目に。続いてジャンニ・モルビデリ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)、ベルネイと仕留めて、11周目にはトップを走るペペ・オリオラ(セアト・レオンTCR)をロックオン。

 そのまま1コーナーのインに飛び込んだタルキーニは、中盤にして早々に首位浮上を果たすと、そのまま19周のレースを走りきりトップチェッカー。見事にヒュンダイi30 N TCRのデビューウインを決めて見せた。

「14番グリッドからスタートした時は、まさかこんな展開になるとは夢にも思わなかった。これは私自身、キャリアのベストレースに数えられるね」と、喜びを語った55歳のタルキーニ。

 続く2位には、オリオラとのバトルを制して這い上がったベルネイが入り、チームメイトのハフも3位まで挽回。タルキーニのヒュンダイは選手権登録外となるため、選手権首位のベルネイが満額25ポイントを獲得した。

 続くレース2は各ポジションでバトルに次ぐバトルが展開され、完走11台のサバイバルレースとなる中、カレンダーの都合でこのイベントが今季最後のTCRインターナショナル参戦となるロブ・ハフが勝利。

 2位には最終ラップでジェームス・ナッシュ(セアト・レオンTCR)をオーバーテイクしたモリビデリが入り、ゴルフGTI TCRがワン・ツー・フィニッシュ。

 一方、レース1で衝撃の速さを見せたヒュンダイ勢は、レース2を前に早速BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)調整が発動し、ECUによるエンジンパワー95%制限と40kgの追加ウエイト搭載措置が課されパフォーマンスダウン。それでもメニュが雪辱を果たす4位、タルキーニが6位に入り、デビュー戦を成功裏に終えることとなった。

 次戦でフィナーレとなる2017年TCRインターナショナルの最終戦は、11月17~18日に中東、ドバイ・インターナショナル・サーキットでの開催となる。