SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 SUPER GT Rd7 THAI
OTG MOTOR SPORTS QF & Final
#60SYNTIUM LMcorsa RC F GT3
シリーズ唯一の海外ラウンドとなる「Chang SUPER GT RACE」が、タイ東部にあるブリーラム県のチャン・インターナショナル・サーキットで開催された。
LMcorsaは前戦の鈴鹿サーキットラウンドで、予選Q2に進出し6番グリッドを獲得。決勝レースでは、飯田章と吉本大樹の二人のベテランドライバーが安定したラップを重ね、表彰台にあと一歩と迫る4位でチェッカーを受けた。
鈴鹿サーキットラウンドでシーズン最高位を獲得しチームの士気も上がり、タイラウンドを迎えることになった。第7戦のスケジュールは、10月7日(土)に公式練習と予選、8日(日)に66周に渡る300kmの決勝レースが実施される。
まず、7日の10時から公式練習が実施されたのだが、開始1時間前にサーキットをスコールが襲う。そのため、公式練習の前に予定されていたレースがディレイしたため、10分遅れの10時10分に39台のマシンがコースイン。SYNTIUM LMcorsa RC F GT3は、最初に第一ドライバーを務める飯田がステアリングを握る。
スコールは上がったものの、路面はウエットコンディションだったためレインタイヤを装着。路面コンディションとマシンをチェックした後に、スリックタイヤにチェンジ。18周を周回したところで吉本に乗り換える。
吉本はユーズドタイヤを履いているものの、1分34秒029のタイムをマークして公式練習を13番手の結果で終えた。
<予選>
公式練習終了から約3時間のインターバルを経た15時に開始された予選Q1。公式練習の序盤からコースに陽が差していたが、13時を過ぎると、サーキットはふたたびスコールに見舞われてしまう。
雨は止んだが、コースに水たまりができる難コンディションで予選Q1は実施された。ウエット宣言が出されたため、全車がレインタイヤを履いてコースイン。SYNTIUM LMcorsaRC F GT3は、吉本がステアリングを握りタイムアタックを行なう。
公式練習の序盤にレインタイヤを履いていたが、そのときとコンディションが異なることや選択したタイヤがマッチせず思うようなタイムが出ない。苦しい状況のなかでも吉本はタイムアタックを続け、6周目に1分42秒256をマークする。
しかし、結果は21番手で予選Q2への進出を逃してしまった。ドライコンディションとマシンの状況は合っているので、決勝レースがウエットにならなければポイント圏内への追い上げが期待できる。
<決勝>
10月7日(土)の予選Q1は、開始の2時間ほど前から降りはじめたスコールによって全面的にウエットコンディションで競われることになった。
午前中に行なわれた公式練習では、ユーズドタイヤを履いていた状況ながらも13番手のタイムをマークしたSYNTIUM LMcorsa RC F GT3。ドライコンディションならば予選Q2への進出が間違いない状態だった。
しかし、予選Q1はウエットとなり、吉本大樹が渾身のアタックを行なったが21番手のタイムを出すのが精一杯となった。
迎えた8日(日)の決勝日は、前日のような朝からスコールに見舞われることはなく、昼過ぎまでサーキットは晴天に包まれていた。だが、13時45分からのスタート進行が始まると、サーキットの回りは雨雲に覆われてくる。
14時半になると、やはり雨が降り始め一瞬のうちにコースはウエットコンディションとなった。15時のスタートを前に雨は小ぶりになり、天候が回復されることが予想されたため、各チームはスタート時のタイヤ選択に悩まされることになった。
66周の決勝レースは、予定通りの15時にスタート。ウエットコンディションとなったためにスタートから2周はセーフティカーが先導し、3周目にレースが開始。
21番手からスタートしたSYNTIUM LMcorsa RC F GT3は、第1スティントを担当した吉本が巧みなテクニックを見せ5周目にはすでに8台をパスして13番手まで浮上する。
39台のマシンが周回を重ねたことで路面が乾き始め、レインタイヤを履く吉本はポジションをキープするもののラップタイムが徐々に落ちてくる。チームはレインからスリックに交換するタイミングを見計らうことになった。
ドライバー交代とタイヤ交換のタイミングを合せるとなると、最低でも18周までピットインを遅らせる必要がある。だが、そこまでレインタイヤで走行するとロスタイムがかさんでしまう。チームは、ピットストップの回数が増えてしまうが、9周目にピットインの指示を出す。
メカニックの敏速な対応で、SYNTIUM LMcorsa RC F GT3はタイヤをスリックに変えてコースに復帰。すると吉本は、レインタイヤを履く上位陣よりも1周で8秒ほど速いラップタイムで走行する。
タイヤ交換のためにピットインして一時は19番手まで順位を落としたものの、15周目には13番手まで浮上し、上位陣からピットインを行なった21周目には3番手までポジションをアップさせた。
その後も、1分35秒台の安定したラップを刻み、37周目には自己ベストとなる1分34秒944をマークし41周目にトップでふたたびピットイン。今度は、飯田へのドライバー交代と給油、タイヤ交換を行ないコースに戻る。
42周目には全車が義務付けられている1回のピットストップを終え、順位は7番手となっていた。22番手スタートから15台をパスして7番手まで浮上したSYNTIUM LMcorsa RC F GT3に、後続のGAINER TANAX AMG GT3やUPGARAGE BANDOH 86が襲いかかってくるが、飯田は要所を押さえて先行を許さない。
42周目のピットアウト後から55周目までは11号車とのテール・トゥ・ノーズの戦いとなり、その後は61周目まで18号車との接戦となったが、飯田はベテランらしいペースコントロールと巧みな走行をみせ最後まで逆転させることはなかった。
結果としてSYNTIUM LMcorsa RC F GT3は、22番手スタートから6位でチェッカーを受け5ポイントを獲得することになった。
コメント
<小藤純一監督>
「客観的に見れば予選21番手から6位でフィニッシュしたので上出来だと思うのですが、チームとしては予選が思わしくなかったので素直に喜べないところです」
「決勝レースは、9周目にピットインを行なってスリックに変えたことが結果のすべてです。あれが10周目だと最終的な順位は落ちていましたし、それ以上に引っ張ったらポイント圏外になっていたかもしれません。二人のドライバーともに最大限のパフォーマンスを出してくれました。そう思うと、やはり予選の結果が悔やまれます」
<飯田章選手>
「予選と決勝レースともによかれと思ってやったことが裏目に出てしまうことが多かったです。それでも、21番手から6位になれた結果は、上出来としないといけないでしょう」
「私が担当した後半のスティントは、前半と異なるタイプのタイヤを選んだのですが、想像したパフォーマンスが出ませんでした。それでも11号車や18号車を押さえられて良かったです。チームの全員が全力を出して、スタートドライバーが頑張って良いポジションで戻ってきてくれました」
「だた、同じマシンを使っている51号車が優勝したことを考えると、予選さえ良ければもっと前に行けた可能性があるので残念です」
<吉本大樹選手>
「後方からのスタートとなってしまいましたが、チームとして持っているものはすべて出せたと思っています。それで6位という結果を得られたので上出来でした。決勝のスタートで、スリックを履く選択肢はなかったのでレインでスタートし、交換のタイミングは私に任せてもらっていました。戦略としてはすごくマッチしていましたし、41周を周回して、マシンバランスもタイヤもブレーキも良かったです」
「だた、同じRC F GT3が勝ったということと、1周につき1秒ほど離されている現実は受け止めないといけないでしょう。最終戦に向けて、さらにパフォーマンスをアップさせていきたいです」