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スーパーGT:LEXUS TEAM SARD 2017年第7戦タイ レースレポート

2017年10月10日 14:02  AUTOSPORT web

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スーパーGT:LEXUS TEAM SARD 2017年第7戦タイ レースレポート
RACE REPORT

DENSO KOBELCO SARD LC500 第7戦タイ、攻めの姿勢を貫いての6位フィニッシュ
SUPER GT 第7戦タイレポート

2017 SUPER GT 第7戦『Chang SUPER GT RACE』(10/7-8)
チャン・インターナショナル・サーキット(1周4.554km)
入場者数:予選15,881名、決勝26,376名 合計42,257名

 10月8日(日)SUPER GT第7戦『Chang SUPER GT RACE』の決勝が行われ、7番グリッドから粉骨砕身に巻き返しを狙っていったDENSO KOBELCO SARD LC500。スタート直前の降雨で路面はウエットとなりセーフティカー(SC)スタートとなる波乱。

 チームの判断でドライタイヤを装着して、同じくドライタイヤを装着した11番グリッド23号車との直接対決の駆け引きを選択する攻めの戦略を敢行。スタートを担当した平手がウエットタイヤ勢に最初抜かれはしたが、23号車よりも圧倒的スピードで引き離す気合いの走りを見せた。

 10周ほどでドライタイヤの方が速いコンディションとなり、巻き返しに転じギャップをどんどん削っていった。だがトップとの差が1分程度で膠着。満を持して素早いピットワークでヘイキと交代。周りよりも1秒以上早いペースでヘイキが猛追し、45周目から立て続けに2台、54周目に1台と華麗にオーバーテイク。

 64周目にトラブル車をパスして6位に浮上。更に5位の背後でプレッシャーをかけ続けたが後一歩のところで惜しくもチェッカー。チームもドライバーも可能性がある限り前を追いかけ続け、常に攻めの姿勢を貫いて健闘の6位フィニッシュを果たした。

 ドライバーポイントは5点獲得(計41点)しランキング7位、チームポイントでは8点を獲得(計58点)しランキング6位。残念ながら今季タイトル獲得は消滅したが有終の美を懸けて勝負に臨む最終戦は、11月11日(土)・12日(日)にツインリンクもてぎで行われる。

■公式練習走行
 前戦鈴鹿では表彰台圏内を走るも失意の13位に終わったDENSO KOBELCO SARD LC500は現在ランキング7位。残り2戦多くのポイント獲得して天命を待つという状況でタイトル獲得は厳しい局面に追い込まれたが可能性は残っており、昨年同様に最後まで諦めずに戦う第7戦は、タイ・バンコクから東北東約400kmに位置する『チャン・インターナショナル・サーキット』(ブリラム県)が舞台。

『チャン(Chang)』はタイのビールブランド名でありサーキットのネーミングライツ。ブリラムはこの季節は雨季も終わりに近づき最高気温33度、最低気温25度ぐらいで日本の夏とほぼ同じ。

 公式予選はノックアウト方式(Q1、Q2)で、決勝は現地15時スタート(日本時間17時)の300km(66周、約2時間)で争われる。ピットストップは1回。ウェイトハンディは現獲得ポイントと同じ数値の36kgを搭載、燃料リストリクターはシーズン開始と同数値に戻る。

 コースレイアウトは、富士スピードウェイのコース変更などを担当したティルケ社で、高低差のほとんどない右回り4.554kmのストップアンドゴーセクションと高速コーナーを複合させたテクニカルでチャレンジングなコース。

 ピットスタンドからは全周が見渡すことができ、スタジアムが大きくそびえ立っている。ピットはオートポリスと同じくコース外側に位置し、左側からの給油となる。昨年は攻めのレースで4位走行も7位フィニッシュであった。

 最終戦を前にシリーズタイトルへ生き残りを懸けた伸るか反るかの大一番勝負となるタイラウンド。命運を懸けた戦いにチーム一同、粉骨砕身に勝利を狙っていった。

 7日(土)午前中の公式練習走行は、セッション前の激しいスコールの影響で雨は上がっていたものの路面はウエット部分が残る難しいコンディション。気温28度/路面温度33度の例年より若干低めの中で、予定より10分遅れの10時10分から混走セッションが開始。

 最初にヘイキがウエットタイヤ数種類を確認のため走行した。その後、路面もほぼ乾ききった開始35分後にハード系のタイヤを装着してヘイキが再びコースイン。まずは1分25秒690でその時点の3番手タイム。

 速さとともにフィーリングも良く、13周目から次にミディアム系のタイヤを装着してグリップ感を比較。こちらも1分25秒124とその時点でトップタイムをマークする好調さを見せた。いつも通りに平手にも2種類の確認してもらうべく18周目から比較を行って両ドライバーのフィーリングを基にQFタイヤの選択を行った。

 QFで使わないと決めたハード系タイヤを装着して平手が混走セッション中にアタックシミュレーションを実施。混走セッションではヘイキの16周目に出したタイムで3番手となった。その後GT500単独の10分間のセッションでは再び平手が同じハード系タイヤでアタックシミュレーションを行い公式練習走行を終えた。公式練習走行では合わせて36周を走行し、ヘイキのマークした1分25秒124で13位とはなってしまったが好感触でQ1突破への準備を整えた。

■公式予選
■Q1:ヘイキが得意のウエットでQ1を2位で突破!
 7日(土)午後は予選開始前に雨が強く振ったり止んだりの気まぐれな天候で、気温27度/路面温度29度と暑さ和らぐウエットコンディション。開始すぐに先頭でヘイキがコースイン。雨が時折ぱらつく状況でミディアム系のウエットタイヤを装着して臨んだQ1。

 滑りやすい難しい路面コンディションを得意とするヘイキは、走る毎に路面状況が改善していく中、まず3周目に1分31秒396の2番手タイムをマーク。クールダウンの1周の後に再びアタックしたヘイキはウエットタイヤがヒートし始めピットイン。

 時間がない中、わずか1アタックに望みを懸けて再びウエットニューを投入。ヘイキは1分29秒602の2番手タイムでQ1を見事に突破して見せた。

■Q2:ドライ路面のQ2で平手が7位
 Q2開始直前の雨で薄く濡れ気温28度/路面温度29度のコンディションの中、平手がすぐに先頭でコースイン。ミディアム系ドライタイヤを装着して臨んだQ2。並々ならぬ闘志を見せる平手は滑りやすい中でも上位タイムを最初から刻んでいった。

 路面のラインも乾いていって各車とも走る度にタイムアップしてリーダーズボードは目まぐるしく入れ替わる。5周目に1分27秒171の4番手、クールダウンして再アタックした8周目に1分26秒471と完全ドライ路面のベストには及ばずに7位に。結果は惜しくも7位ではあったが、今持てるクルマのポテンシャルを十分に発揮できれば決勝に十分に期待ができる4列目7番グリッド獲得となった。

■決勝
■ウォームアップ走行
 8日(日)サーキットサファリが日曜日に設定され、その後に行われた20分間のウォームアップ走行では気温30度/路面温度36度に。今回スタートドライバーの平手が燃料を積んだ状態で、2スティント目用のタイヤのベディングとスタートタイヤと同じミディアム系タイヤを確認。サーキットサファリとウォームアップ合わせて25周走行して決勝への準備を無事に整えた。

■決勝スタート
第1スティント:平手がウエット路面をドライタイヤで攻める
 8日(日)15時決勝スタート時点は気温30度/路面温度36度。7番グリッドから粉骨砕身に巻き返しを狙っていったDENSO KOBELCO SARD LC500。スタート直前の降雨で路面はウエットとなりセーフティカー(SC)スタートとなる波乱。

 チームの判断でドライタイヤを装着して、同じくドライタイヤを装着した11番グリッド23号車との直接対決の駆け引きを選択する攻めの戦略を敢行した。スタートを担当した平手がウエットタイヤ勢に最初抜かれラップダウンと苦しい展開となったが、同じドライタイヤを装着する23号車よりも圧倒的スピードで引き離す気合いの走りを見せた。

 彼らがタイヤ無交換作戦を遂行しても十分にリードできるギャップを築く速さを見せた平手。10周ほどでドライタイヤの方が速いコンディションとなり、巻き返しに転じ大きく開いてしまった上位とのギャップをどんどん削っていった。だがトップとの差が1分程度となったところで膠着。満を持して35周を終えてピットに呼び戻した。

第2スティント:ヘイキが猛追を見せ意地の6位フィニッシュ
 いつものように素早いピットワークでギャップを削るチームワーク。交代したヘイキは周りよりも1秒以上早いペースで猛追。あっという間に前走車に追いつき、45周目から立て続けに2台、そして54周目に1台と華麗にオーバーテイク。鬼神の追い上げを見せるヘイキは64周目にはトラブル車をパスして6位に浮上する。

 更に5位の背後でコーナー毎に隙を狙って前を伺いながらプレッシャーをかけ続けた。だが後一歩のところで惜しくもチェッカー。チームもドライバーも可能性がある限り前を追いかけ続け、常に攻めの姿勢を貫いて健闘の6位フィニッシュを果たした。

 ドライバーポイントは5点獲得(計41点)しランキング7位、チームポイントでは8点を獲得(計58点)しランキング6位。残念ながら今季タイトル獲得は消滅したが有終の美を懸けて勝負に臨む最終戦は、11月11日(土)・12日(日)にツインリンクもてぎで行われる。

ヘイキ・コバライネン
「我々が出来る限りのことはして予選よりも上位でフィニッシュすることができたが、タイトルを防衛できなかったのは残念。クルマは速くピットワークも素晴らしいかった。大きなポイントを取ろうとチームの取った戦略でもう少し路面の乾きが早ければ良かったと思う」

「ブリラムまで足を運んでくれたファンに感謝しているし、来れずとも応援してくれたみんなにも感謝している。最終戦もてぎは良い結果でシーズンを締めくくりたいね」

平手晃平
「最終戦もてぎに望みをつなぐべく全力で臨んだタイラウンド。スタートを担当してウエット路面をドライタイヤで走って難しいドライビングでしたが何とか食らい付こうと歯を食いしばってステアリングと格闘でした」

「23号車を大きく引き離せたのは良かったですが、路面が乾くのがあと少し遅かったですね。連覇を達成できず非常に悔しい気持ちで一杯です。もてぎでは今季2勝目を狙ってランキング上位を目指します。引き続きご声援のほどよろしくお願いします」

佐藤勝之
「遠いブリラムの地まで現地応援、メッセージ応援ありがとうございました。タイトル防衛には勝つしかないという状況の中でドライバーも始めメンバー全員が1つになって諦めずに全力を尽くしてくれたことは、今回の順位の結果よりも次につながる良い戦いとなりました」

「またLEXUS勢のポイントリーダー奪回に貢献できたことは幸いでした。最終戦もてぎでは有終の美を飾れるように全力で戦いたいと思いますので、熱い応援を引き続きよろしくお願いいたします」