IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ(WTSC)第12戦プチ・ル・マンが10月8日、ロード・アトランタで行われ、テキーラ・パトロンESMの2号車ニッサンDPi(スコット・シャープ/ライアン・ダルジール/ブレンドン・ハートレー組)が10時間の決勝レースを制した。
IMSAのGTシリーズの一戦として1998年に初開催され、2017年に20周年を迎えたプチ・ル・マン。例年、シーズン最終戦として行われる同レースには今年もシリーズのレギュラーチームに加えて、今季の開幕戦デイトナ24時間、第2戦セブリング12時間にスポット参戦したレベリオン・レーシングや、2018年シーズンから新型DPi『アキュラARX-05』を用いてフル参戦を予定しているチーム・ペンスキーのオレカ07・ギブソンなど、全39台がエントリーした。
迎えた決勝は曇り空ながら、スタートセレモニーの間際まで降っていた雨の影響でコースはウエットコンディションに。現地時間11時05分、全車がレインタイヤを装着してフォーメーションラップを終えると、ポールポジションを獲得したチーム・ペンスキー、6号車オレカ07・ギブソンを先頭に各車が綺麗なスタートを切っていく。
後続を引き離したい6号車オレカのエリオ・カストロネベスだったが、オープニングラップでテキーラ・パトロンESMの22号車ニッサンDPiを駆るピポ・デラーニに交わされ2番手に後退。さらにスタートから17分後、レインタイヤからスリックタイヤに履き替えた直後のダンプ路面で単独スピンを喫したGTデイトナ(GTD)マシンに接触されコースアウト。レース序盤に2ラップダウンとなってしまった。
レースはその後アクシデントが多発。1時間のあいだに1~2回フルコース・イエロー・コーション(FCY)が導入される荒れた展開となる。スタートから1時間35分、PR1/マティアセン・モータースポーツの52号車リジェJS P217・ギブソンがタイヤバリアに乗り上げる大クラッシュを喫したほか、スタートから4時間を迎える間際には2号車ニッサンDPiがグラベルにスタックしたことで6回目のFCYが導入。
また、レース折り返しを過ぎた5時間12分後に出された8回目のFCYは、ニック・ハイドフェルド駆るレベリオン・レーシングの13号車オレカ07・ギブソンと、プロトタイプ・チャレンジ(PC)クラスの首位を走る38号車オレカFLM09の交錯が原因となっている。
チェッカーまで残り1時間15分、2番手グリッドからスタートし、終始トップ争いに加わっていた22号車ニッサンを先頭にマスタング・サンプリング・レーシングの5号車キャデラックDPi-V.R、6号車オレカ、2号車ニッサンの4台がトップ集団を形成していく。
そのなかで2番手を争う5号車キャデラックのジョアオ・バルボサとファン・パブロ・モントーヤ駆る6号車オレカがサイド・バイ・サイドになった際に接触。6号車オレカは左リヤタイヤをパンクさせてしまい緊急ピットイン。6番手に順位を落とした。
このアクシデントによりトップ争いは3台に絞られたがレース時間残り25分、この日14回目のリスタートからわずか数周後、首位を走るデラーニの22号車ニッサンがGTル・マン(GTLM)クラスのマシンをコース外に押し出す形で接触。チェッカーまで残り15分あまりで痛恨のドライブスルーペナルティを受けることに。
22号車ニッサンの脱落によって労せず首位に立った5号車キャデラックだったが、直後、レースコントロールから危険行為を犯したとして60秒のストップペナルティが提示され、万事休す。
上位を走る3台が立て続けに戦線を離脱したことで前が開けた2号車ニッサンは、チェッカーまで残り12分でトップに躍り出ると助っ人のハートレーがそのままフィニッシュ。2号車ニッサンに今季初優勝を、チームにとっては第9戦以来の2勝目を持ち帰った。
2位はウェーレン・エンジニアリング・レーシングの31号車キャデラックDPi-V.R。3位にはレース序盤と終盤にアクシデントに見舞われたチーム・ペンスキーの6号車オレカが入った。
シリーズタイトル争いでは、開幕4連勝でポイントを稼いだウェイン・テイラー・レーシングの10号車キャデラックDPi-V.R(リッキー・テイラー/ジョーダン・テイラー)が前年王者の31号車キャデラックの追撃を振り切ってチャンピオンとなっている。
GTLMクラスは、25号車BMW M6 GTLM(ビル・オーバレン/アレクサンダー・シムズ/クノ・ウィットマー組)が、僅差の2番手につけるコルベット・レーシングの3号車コルベットC7.Rを振り切ってクラス優勝。現在開発中の新型GTEマシン『M8 GTE』が来シーズンから導入にされることから、今大会がラストレースとなったM6 GTLMが有終の美を飾った。
マイケル・シャンク・レーシングの93号車アキュラNSX GT3が序盤のレースをリードしたGTDクラスは、モンタプラスト・バイ・ランド-モータースポーツの29号車アウディR8 LMS(コナー・デ・フィリップ/シェルドン・バン・デル・リンデ/クリストファー・ミース組)がクラスウイナーに。アキュラNSX勢は93号車、86号車ともにアクシデントによってリタイアとなった。
また、2台のレクサスRC F GT3で参戦する3GTレーシングは14号車レクサスがフロントを大破させるクラッシュを喫してリタイア。15号車レクサスはクラス8位完走となっている。
2017年シーズン限りで廃止されるプロトタイプ・チャンレンジ(PC)クラスではBARモータースポーツ、26号車オレカFLM09(ガレット・グリスト/トミー・ドリシー/ジョン・ファルブ組)が最終レースを制した。
なお、各クラスのチャンピオン争いは、PCがパフォーマンステック・モータースポーツの38号車オレカFLM09(ジェームス・フレンチ/パトリシオ・オーワード組)、GTLMは3号車コルベット(アントニオ・ガルシア/ヤン・マグヌッセン組)、GTDはスクーデリア・コルサの63号車フェラーリ(クリスティーナ・ニールセン/アレッサンドロ・バルザン組)がそれぞれドライバーズタイトルを獲得している。
2018年のWSCCは1月25~28日、デイトナ・インターナショナル・レースウェイで行われる伝統の耐久レース、デイトナ24時間でシーズン開幕戦を迎える。