10月13~15日に開催が迫るMotoGP日本GP。日本GPの開幕を前に中上貴晶にインタビューを行った。Moto2最後の母国グランプリを中上はどのような心境で挑むのか。
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もてぎ日本グランプリを控えて、ヨーロッパから帰国した中上貴晶。イギリスグランプリで今季初、自身の2勝目を上げ、文字通りの凱旋帰国だ。
「2勝目まで、ずいぶん時間が掛かったなという気持ちです」と中上。
「単純に嬉しかったし、ホッとしたところもあります。それまで、いいレースがあっても3位だったり、他のライダーの転倒に巻き込まれたり、『何でだ?』と思うレースが続いていました。初優勝より嬉しかったんです」
そのイギリスGPの直前、日本に一時帰国し、2カ月後にグランプリが開催されるツインリンクもてぎで、来シーズンのMotoGP参戦発表の記者会見に臨んだ。この発表は、日本中のファンが待ちわびていたニュースとなった。
「MotoGP参戦の発表を日本でしたあと、最初のレースだったイギリスで勝てたことは、とてもタイミングがよく、レーシングライダーとして非常に価値のある一勝でした。最高の形だったと思います。実際イギリスグランプリでは取材も多く、かなり注目されていました。最高峰クラスのライダーになることを、実感しました」
すでに、MotoGPを戦う実力は十分にあり、日本人ライダーの中で最もそのポジションに近いライダーという認識はだれもが持っていた。だが逆に、だれもが納得する結果が必要だったことも事実だ。勝てないレースが続いていたのだ。
「自分の状態がよくても、ライバルの方が自分より整っていると、なかなか勝つことができません。フランコ・モルビデリとトーマス・ルティはとても速く、強いライダーです。ほんのちょっとの差なんですが、Moto2ではこれがとても大きな差になります。イギリスではすべて、自分の方が整っていたのだと思います。またMoto2には、彼ら以外にも予想外のライダーがいきなり速いこともあって、ここまで2勝目が遠かったのだと思います」
イギリスGPで今季の初優勝を果たし、本人もMotoGPライダーになることを納得できたのだろう。ロードレース世界最高峰クラス、MotoGP。そこで走ることは中上にとってどんな意味を持つのだろう。
「やっとここまで来たという感じです。最高峰の舞台に立つことは、スタートラインに並んだのだと思います。4歳からバイクに乗って、最高峰クラスのチャンピオンになる夢を見てきました。それに挑戦できるポジションに選ばれたのは、最高の栄誉です。世界中から選ばれた二十数人だけしかいないのです。誇りに思っています。ただ、ここまできて、参戦するだけのつもりはありません。一番を目指します」
今年のもてぎ日本GPは、中上がMoto2で走る姿を見る最後のレースになる。日本中のロードレースファンは、今季の2勝目を母国GPで挙げることを期待している。
「Moto2には2012年から参戦していますが、母国グランプリは18戦のなかで最も気合いが入るレースです。特に今年はMoto2最後の年ですし、優勝してお世話になった方々や、ファンの皆さんに感謝したいですね」
「グランプリの参戦を始めてからずっと、母国で優勝して日の丸をセンターポールに揚げて、君が代を鳴らすことは、大きな目標のひとつでした。今年はこれまでにないほどのチャンスがあります。今は勝つことしか考えていません。是非、応援してください」
開催が迫るMotoGP日本GP。日本のファンの声援が、中上の力になるだろう。