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GT500決勝《あと読み》:タイは前哨戦。KeePer × WAKO’Sの同門対決で迎えるスーパーGT500クラス最終決戦

2017年10月10日 11:02  AUTOSPORT web

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スーパーGT第7戦タイのGT500クラスを制したLEXUS TEAM KeePer TOM'S
スーパーGT第7戦タイのGT500はKeePer TOM'S LC500が2番手に12秒のギャップを作っての圧勝となったが、その要因はどこにあったのか。また、最終戦もてぎに向けてのポイントを監督たちに聞いた。

 スタート直前のグリッドで突然訪れたスコールによって、ウェット路面&セーフティカースタートとなったが、3周目にセーフティカーが掃けてレーススタートした1周目が最初の勝負どころとなった。

 KeePerのニック・キャシディは2番手以下をいきなり引き離し、1周で2秒近いギャップを作り、序盤で4秒程度、後続を引き離すことに成功した。KeePerの関谷正徳監督も、このオープニングラップを勝因のひとつに挙げる。

「スタート前の雨はみんな一緒の条件なので。そのあとのスタートでニック(キャシディ)のオープニングラップが速かったのが大きかった。クルマの速さだけなら12(カルソニック IMPUL GT-R)と6(WAKO'S 4CR LC500)とだいたい似たようなところだけど、あそこで4秒くらい稼いでくれた」

 一方、2位となったWAKO'S 4CR LC500の脇阪寿一監督も、敗因にオープニングラップを挙げる。

「以前からウチの課題になっていたタイヤのウォームアップ。アンドレア(カルダレッリ)のレインの1周目で差が付いてしまった。その後はタイムは一緒だったので、最終戦のもてぎも寒い気温になると思うので、ウォームアップ性は解決しなければいけない」

 その後、トップを独走するKeePer。ピットタイミングでも後続を引き離した。

「ピットワークとアウトラップ、そこが完璧で2番手との10秒のギャップを作ることができた。コースを走る速さは同じくらいでもね。メカニックもピットワークを速くする努力をしてくれたし、ドライバーも仕事をしてくれた。ニックで4秒、そしてピットで6秒で10秒のギャップを作ることができた」と、関谷監督もチームを称える。

 これで、ランキング3位にMOTUL AUTECH GT-Rがいるとはいえ、タイトル争いは実質、KeePerとWAKO'Sが6ポイント差で争うレクサス同志の戦いの形になる。

「チャンピオンも見えてきた。あとはミスをしないことだけですね。きちんと力を出し切れるレースをすれば最終戦も問題ないと思います。ランキング2位のWAKO'Sが1位でウチが3位だったら逆転される。そういった意味でも最終戦はミスなく、精度を上げたレースをしたいと思います」と関谷監督。

 実は今回、スタート直前のウォームアップでKeePerにオイル漏れのトラブルが発生したという。

「完璧な週末でしたけど、誤算があったのはスタート前のウォームアップ走行でオイル漏れがあったこと。結構な量が漏れていたので、『これは終わった』と思ったんだけど、オイルタンクの蓋が走行中に外れたことが原因だったみたいで、大きな問題にならずにすんだ。そんなこともありまして、ちょっとドキドキだったんですけど結果的には大丈夫でした」

 トラブルとミスがなければ、と関谷監督はタイトルに向けて十分な手応えを感じている様子。一方、そのトムスを追うのは、かつてトムスで2度ドライバーズタイトルを獲得した脇阪寿一監督率いるWAKO'S。寿一監督はどんな思いで最終戦に臨むのか。

「このタイ戦は37号車(KeePer TOM'S LC500)が優勝しているので、悔しいと言えば悔しいですけど、事前に想定したとおり表彰台を獲得できてみんな頑張ってくれた。だけどやっぱりちょっとした作業ミスやロスもあったので、いろいろ考えないといけないと思っています。われわれは勝負に行って、毎回2位。やっぱりちょっと何かが足りないんだと思う。そこをチームのみんなでひとつずつ、つぶしていきたいと」と厳しい表情の寿一監督。

「最終戦はまずはチャンピオン争いができるということが、今のチームルマンには大事なことだと思っています。名門チームのルマンは昔の話で、われわれはこれから発展していくチャレンジャー、挑戦者なので、トムスには胸を借りるつもりで頑張りたいと思います」と、古巣とのタイトル争いについて語る寿一監督。

 果たしてトムスvsルマンの同門対決はどのような結末となるか。今回のタイ戦が、その前哨戦のような形になったのかもしれない。