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スーパーGT:JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 2017年第7戦タイ 決勝レポート

2017年10月10日 10:52  AUTOSPORT web

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JMS P.MU LMcorsa RC F GT3
2017 スーパーGT
INGING MOTORSPORT
第7戦チャン・インターナショナル・サーキット レースレポート

◆10月8日(日)<決勝>
天候:曇り|コース状況:ウェット/ドライ
#51  JMS P.MU LMcorsa RC F GT3 優勝

 タイ・ブリーラムにあるチャン・インターナショナル・サーキットでスーパーGT第7戦「Chang SUPER GT RACE」の決勝が開催された。

 今シーズン初のフロントロウからスタートしたJMS P.MU LMcorsa RC F GT3は、的確なピットストップの判断と二人のドライバーの活躍で今シーズン2勝目を飾る。

 前日の予選Q2で、中山雄一のドライブによって2番手グリッドを獲得したJMS P.MU LMcorsa RC F GT3。チームとして初のフロントロウのスターティンググリッドを得たことによりチームの士気は高まり、トップチェッカーを目指しての戦いとなった。
 
 8日の決勝日は、前日のように荒れた天候とはならず、朝から昼過ぎまでは晴天となっていた。だが、13時45分からのスタート進行が始まると、サーキットの周りは雨雲に覆われてくる。スタート30分前になると、やはり雨が降り始め一瞬のうちにコースはウエットコンディションとなった。スタート前に雨は小ぶりになったため、各チームは一層タイヤ選択に悩まされることになる。
 
 そして66周の決勝レースは、予定通りの15時にマシンがグリッドを離れる。ウエットコンディションとなったためスタートから2周はセーフティカーが先導し、3周目にレースが開始された。フロントロウからスタートしたJMS P.MU LMcorsa RC F GT3は、上位のライバル勢と同じくレインタイヤを装着し周回を重ねていく。
 
 スタートドライバーを務めた中山は9周目までは2番手を守るが、雨が止み路面が乾き始めるとペースが鈍ってくる。異なるタイプのレインタイヤを履くライバル勢を必死に押さえながら走行するが、それでも14周目には4番手、15周目には5番手とポジションを落としていった。
 
 明らかにスリックタイヤの方が速いコンディションとなってきたが、このタイミングでピットインしてドライバー交代をおこなうと一人のドライバーの最大周回数を超えてしまうため、JMS P.MU LMcorsa RC F GT3は序盤よりタイムが落ちていたがコースに留まる判断をする。
 
 レインタイヤのまま18周目まで走行し、このタイミングで中山をピットに戻し、スリックタイヤに交換するとともにドライバーを坪井にチェンジする。20周目になるとライバル勢もピットインに入る。

 坪井は、早くピットインしたため一時的に17番手までポジションを落としていたが、25周目には9番手までポジションを戻す。上位陣はまだピットインしていないスリックタイヤでスタートしたマシンが占め、実質的なライバルはポールポジションからスタートした前走する21号車Hitotsuyama Audi R8 LMSだった。
 
 坪井は、徐々に先行する21号車とのギャップを詰めていき、29周目にパスして6番手に浮上した。40周以上のロングスティントとなった坪井は、タイヤマネージメントを行ないながらも1分34秒~35秒のラップタイムで周回を重ねる。
 
 35周目を過ぎると、上位を走っていたスリックタイヤでスタートしたマシンがピットインを行なっていく。JMS P.MU LMcorsa RC F GT3は、37周目に4番手となり、41周目には2番手、42周目には全車がピットインを行なったため、ここでトップに立つ。
 
 後続は、4号車のグッドスマイル初音ミクAMGが11秒後方から追ってくる展開となる。4号車は、JMS P.MU LMcorsa RC F GT3よりも速いペースで追い上げを図るが、坪井も53周目に自己ベストとなる1分33秒907を出してギャップを保っていく。
 
 残り5周となるとギャップは5秒ほどに縮められるが、それでも最後の力を振り絞って4号車を突き放し、61周目に見事にトップでチェッカーを受けた。
 
 今シーズン2勝目を獲得したJMS P.MU LMcorsa RC F GT3は、シリーズランキングでも2位に浮上。9ポイントの差はついているが、逆転でシリーズチャンピオンを狙える位置で最終戦茂木を迎えることになる。

<影山正彦総監督>
「良いメンバーと良いドライバーが集まっているからこそ勝ち取れた2勝目だと感じています。本来ならば二人のドライバーに半分半分の距離を走ってもらおうと思っていました。しかし、第1スティントは想定よりも路面が乾くのが早く、中山選手のペースが下がってしまいました。すぐにでもピットに入れたかったのですが、ドライバー交代ができるのが18周目以降だったので中山選手には耐えてもらって、そこでピットの指示を出しました」

「後半のスティントで装着していたスリックタイヤは43周の距離が走れるか不安だったのですが、坪井が確実にタイヤマネージメントをして走ってくれました。初優勝してから確実性の高い戦略やレースをしてしまったので、今回は「攻めのレース」をしようとチームに伝えました。それが良い方向に進みました。最終戦も攻めていきたいです」

<松岡真司チーフエンジニア>
「今回は、ウエットにもドライにも合ったクルマを作れました。今シーズンで一番の完成度だったと思います。そのクルマのポテンシャルを二人のドライバーが引き出してくれて、予選では中山選手がワンアタックで2番手を獲得してくれました」

「決勝レースは、前半のスティントが想定外に早めのピットストップとなってしまいましたが、後半の坪井選手が頑張ってくれました。今シーズン2勝目を獲得できて上出来なレースだったと思います」

<中山雄一選手>
「予選Q2は、最初に履いてコースインしたレインタイヤがコンディションと合っていなかったので、タイムアタック中に急遽ピットインをして同じレインタイヤですが、異なるタイプを履きました。アウトラップから戻った時点で予選の残り時間が1分45秒しかなく、まったくミスのできないタイムアタックでしたが、上手くまとめられて2番手を獲得できました」

「決勝レースは、スタート直後は良かったのですが、路面が乾いてからはタイムが落ちてきて苦しい状況でした。それでも18周まで引っ張って自分の役目は果たせたと思います」

「坪井選手に替わってからの40周は、見守ることしかできず、とにかく長く感じました。二人ともしっかりとパフォーマンスを引き出すことができ、2勝目が獲得できたことが嬉しいです」

<坪井翔選手>
「決勝レースは序盤こそウエットだったのですが、徐々に乾き始めたので、早めにドライバー交代があると思って準備はしていました。乗り始めて最初のころは、どの順位を走っているか分かりませんでしたが、ポールポジションだった21号車を抜いたときにトップ争いをしていると分かりました」

「19周目から走り始めたので、最低でも40周近いラップを重ねないといけない状況でした。なので、タイヤマネージメントには特に気を使いました。トップに立ってからは、タイヤを労りながらも要所ではプッシュして、後続を引き離そうと走りました」

「最終的には4号車に詰め寄られましたが、パッシングされる距離には近づけさせませんでした。初のコースだったのですが、シーズン2勝目が飾れてよかったです」