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付き合いで加入した「生命保険」、解約しようとしてトラブルに…注意すべきポイント

2017年10月10日 10:13  弁護士ドットコム

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保険金がおりない、説明よりも保険料が高額だった、解約返戻金が少ないーー。こんな保険をめぐるトラブルを経験したことはありませんか。さらに、そこに知人が絡むと厄介です。インターネットの掲示板には、知人との付き合いで加入した保険の解約トラブルについての投稿がありました。


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投稿者の女性は、保険会社勤務の知人との付き合いで生命保険に加入したものの、その後調べてみると、投稿者にとっては都合の悪いプランだということが分かりました。そこで解約を申し出たところ、知人からは「付き合いもあるのにどうかと思います」と激怒されたそうです。


知人の誘いで保険に加入する場合は、どのような点に注意すべきでしょうか。足立格弁護士に聞きました。


●勧誘する人には保険業法で2つの義務がある

「保険は、多くの方にとって、安くない買い物です。そのため、(もちろん、今後の人間関係などから簡単でないことも多いと思いますが)知人からの紹介であるからといって、軽々に保険に加入すべきではなく、家族や周囲の意見も聞いた上で、慎重に検討して納得できた場合に加入すべきものです」


足立弁護士はそう指摘する。保険会社の業務について、法律はどのように定めているのでしょうか。


「保険業法では、保険への加入を勧誘するに当たり、勧誘する人(保険募集人)に意向把握義務及び情報提供義務が課されています。これは、(1)保険を勧誘するに当たって、顧客の真の意向を適切に把握した上で(意向把握義務)(2)保険の内容を誤解のないようしっかりと説明し、仮に顧客の意向に対応しうる取扱保険が複数ある場合には、それらの概要を示して顧客が適当な選択を行うことができるようにすべき(情報提供義務)とするものです。


また、金融庁から公表された顧客本位の業務運営に関する原則にも示されているとおり、保険への加入の勧誘は、あくまでも顧客の立場に立って、顧客の真の利益を図るために行われなければなりません」


●知人であっても理解できるまで説明を求めよう

たとえ知人との間であっても、これらの義務を果たさないといけないということですね。


「はい。知人からの紹介で保険に加入する場合、どうしても人間関係が先に立って、前記の意向把握義務や情報提供義務が十分に果たされず、えてして、顧客本位ではない勧誘がなされがちです。そうなると、後から『自分の思っていたのとは違う』とか、『そんな説明は受けていない』となって、知人との間でトラブルとなりがちです。


そのようなことのないよう、


・自分が意図する保障を提供してくれる保険なのか


・同じ内容の保障でより保険料が安いなどのメリットのある保険はないか


・どのような場合に保障され、どのような場合に免責となるのか


・元本割れすることはないのか


等々についてしっかりと理解できるまで説明を求めましょう。知人だからという安易な気持ちで加入することのないよう、気を付けるべきだと思います」


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
足立 格(あだち・いたる)弁護士
東京大学法学部卒業。森・濱田松本法律事務所で執務後平成27年から現事務所。保険オンブズマン紛争解決委員や日本少額短期保険協会諮問委委員などを務める。一般的な企業法務(特に、保険を含めた金融法務、M&Aや事業承継、訴訟・紛争解決、決済などを専門分野としている)の他、親族・相続関係の事件も数多く受任している。
事務所名:村田・若槻法律事務所
事務所URL:http://www.mwlawoffice.com/