WRC世界ラリー選手権は10月8日、第11戦スペインの競技最終日が行われ、TOYOTA GAZOO Racingはエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)がクラッシュで戦線を離脱するなか、僚友のユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)が総合4位完走を果たした。
計6本のターマック(舗装路)SSで争われるラリー・スペインのデイ3は比較的距離の短い3本のSSを午前と午後の各1回ずつ走行するが、通常日中に設けられるサービスを挟まずにラリーが進められる。このためマシンを壊すようなミスは許されず、セッティングに関しても1日の走行全体を見通したものが必要となる。
そんなラリー最終日に、エースのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)を欠いたトヨタは、デイ2から引き続きハンニネンとラッピの2名体制で臨んだ。
ターマック初日のデイ2で2回のステージ優勝を果たし総合8番手から4番手に順位を上げたハンニネンは、最終日も安定した走りを続け、午前中に行われたSS15、16では2ステージ続けて3番手タイムマーク。そのまま4番手の座を堅守し、2戦連続となる4位フィニッシュを果たした。
「長い間ラリー・スペインに出ていなかったが、それでも上位争いに加われたことは、僕にとって非常に重要なことだ」と語ったハンニネンが最後にラリー・スペインに出場したのは6年前の2011年大会。今戦ではそのブランクをまったく感じさせない力強い走りを披露してみせた。
一方、総合6番手につけていたラッピは午前2本目のSS15でガードレールに衝突。マシンにダメージを負って競技続行が不可能となったため、リタイアを余儀なくされている。
3名中ハンニネンのみが完走という結果になった今戦について、トミ・マキネン代表は次のように振り返っている。
「4位というユホ(・ハンニネン)の結果を嬉しく思う。金曜日のグラベルでは3名のドライバー全員が苦戦したが、ターマックでのヤリスWRCのパフォーマンスは非常に高く、ユホは本当に素晴らしい走りをしてくれた」
「また、チームの不断の努力が結果となって表れ、報われたのも喜ばしい。今朝のエサペッカ(・ラッピ)のリタイアは残念だが、彼はきっとこの週末から多くを学んだはずだ」
「ヤリ-マティ(・ラトバラ)の戦いが早々に終わってしまったことも残念だったが、クルマのポテンシャルは十分に高いと思えたよ」
安定した走りで4位完走を果たしたハンニネンは「昨日と今日は、自分のこれまでのキャリアの中でもっとも楽しく感じられた2日間だった」とターマックラリーとなった週末後半を振り返った。
「前の選手とのタイム差が大きく開いていたから、とにかく安定した走りを心がけたんだ。ヤリスWRCはターマックでとても走りやすかったよ」
クラッシュでラリーを終えたラッピは「路面の変わり目で、クルマが予想以上に滑ってしまった。あれほど大きくグリップが変わるとは思っていなかったんだ」とコメント。
「正直なところフラストレーションが溜まる週末だったが、クルマはターマックでも非常に良いフィーリングだったので、ポジティブな要素も多かったと思う」
WRC次戦は10月26~29日、イギリスのウェールズで第12戦ラリー・GB(グレートブリテン)が開催される。伝統のグラベルラリーは全21本のSS、合計距離304.36kmで争われる。