GT500予選《あと読み》：タラレバ予選GT500の背景、雨とタイヤと、最後にドライバー力
2017年10月08日 13:41 AUTOSPORT web
「ドライだったらポールは間違いなかったと思っています。午前のフリー走行でも硬い方のタイヤで（2番手の）1分24秒2のレコード更新だったので、もうひとランク軟らかいタイヤで予選に臨む予定だったので、Q1さえ通れればポールは全然行けたと思っています。まあ、これもレースなのかなと思っています」と、予選を振り返る坂東監督。WedsSportはポールどころかまさかの予選最下位になってしまった。
「ウエットタイヤについてはやはり、テストができていないなか、他メーカーとの差がちょっとあるかなというのは正直、感じています。順位を見たままの現状だと思います」と肩を落とす坂東監督。
予選Q1は雨上がりの小雨のコンディション。こういった路面では、ヨコハマだけでなくミシュランも厳しい。ランキングトップで予選Q1を担当したMOTUL AUTECH GT-Rの松田次生が振り返る。
「厳しかったですね。やっぱりミシュラン勢はコンディション的に合わなかった。乾いているところが多かったので、スリックでもいけなくもないけど、1コーナーがすごく濡れていて、そこで2～3秒ロスして、その後で取り返せたかどうかというのが、ちょっと分からなかった。無理をすればスリックでいけなくもなかったので、ギャンブルに出てもよかったのかなと思います。そこは反省点です」と次生。
結局、Q1を突破した8チーム中、ブリヂストン勢が7台で、ダンロップタイヤを装着するEpson Modulo NSX-GTという、ウエットが得意なタイヤメーカーがQ2に進出するという結果になった。
そしてQ2はドライコンディション。予選3番手を獲得したKEIHIN NSX-GTの塚越広大が振り返る。
「小暮（卓史）さんがしっかりとQ1を通ってくれて、Q2のタイヤをドライで行くかウエットで行くか、最後まで迷いましたけど、ドライでいけそうな気配があったので、チームと話してドライで行かせてもらいました」
「前にいる2台と比べると、僕らのタイヤのウォームアップがちょっと遅かったのかなと。アタックは雨がいつ強くなるかわからないので、ずっとプッシュし続けていました。最後のアタックも良かったと思います。明日は落ち着いて自分たちの仕事ができれば表彰台以上を狙えるパフォーマンスはあると思っています」
■決勝も天候に左右される展開？ ドライならヨコハマ、ミシュランに反撃のチャンス
決勝レースがドライになれば、ヨコハマ、ミシュラン勢にも巻き返しのチャンスが訪れる。
「去年、ポール・トゥ・ウインという最高の結果を出せて、今年、ショッピングモールとかでも、タイの現地の方から声をかけてくれて。そう考えると、去年の優勝は大きかったと思うので、もっともっとタイを好きになるために明日の決勝はもう一度、最後方からどこまで追い上げられるかわからないですけどね」と話すのは坂東監督。
松田次生も、2年続けてこのタイではレース中にクラッシュするというアクシデントに見舞われており、そこを踏まえて決勝への抱負を語る。
「決勝はいつも11番手くらいから追い上げる展開なので、とりあえずしっかりとポイントを獲って、レクサス勢はやはり速いので、ここは勝たれてしまうことを考えて、レースでしっかりと、どこまで食い下がれるか。このタイはここ数年鬼門になっているので（苦笑）、“魔の5コーナー”で何も起きないように気をつけて、しっかりとポイントを獲りたいと思います」
ドライの決勝となれば、今日の予選Q2のウォームアップをみても、各車ピークのタイムが出る周回が異なっていたことから、上位陣のレース戦略はそれぞれ別れそうな雰囲気がある。塚越も、この点を指摘する。
「前にいる2台（KeePer TOM’S LC500、WAKO’S 4CR LC500）と比べると、僕らのタイヤのウォームアップがちょっと遅かったのかなと。タイムの出方が最後は違ったので、明日の決勝はそのタイヤ選択の違いがどう出るのか、おもしろいレースになるのかなと思っています」
ウエット、ドライの異なる路面コンディションで安定したパフォーマンスを見せたブリヂストン勢が予選で上位を獲得する結果になり、決勝も天候に左右される展開になりそうだ。ただ、もうひとつ今回の予選で付け加えるならば、PPを獲得したKeePerの平川亮、そして2番手のWAKO’Sの大嶋和也の両名とも、このタイのサーキットをものすごく得意にしていることを忘れてはならない。
雨とタイヤが大きな要素を締めたGT500クラスの予選ではあったが、そのなかでも最後に上位に来た背景にはドライバーの腕も当然、抜きにしては語れない。
