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黒島結菜が語る、ドラマ『アシガール』への情熱 「慣れてきたら甲冑もそれほど重くない」

2017年10月07日 12:03  リアルサウンド

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 本日、土曜時代ドラマ『アシガール』(NHK)の第3回「若君といざ出陣!」が放送される。同ドラマは、『ごくせん』『デカワンコ』の森本梢子による同名人気コミックを実写化したエンターテインメント時代劇。脚力だけがとりえの女子高生・速川唯が、愛する若君を守るために戦国時代にタイムスリップし、足軽となって戦場を駆ける模様を描く。


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 リアルサウンド映画部では、主人公である唯(唯之助)役の黒島結菜にインタビュー。共演者から刺激を受けたことや、人気コミックを演じる上での役作りの仕方、唯役への想いなど、じっくりと語ってもらった。【インタビューの最後には、チェキプレゼント企画あり!】


「イッセー尾形さんは原作をかなり忠実に再現されている」


ーー黒島さん演じる速川唯(唯之助)はすごく足が速い女の子です。黒島さんも足は速い方ですか?


黒島:どうなんだろう……。そんなに速いわけではないんですけど、走るのは好きでした。撮影前に走る練習が4回ぐらいあって、指導の先生からちゃんとしたフォームを教えていただきました。そのおかげで、前よりも足が速くなった気がします。


ーーフォームとても綺麗です。ドラマでは山の中など足場が悪いところで走っている印象でした。


黒島:公園などで、わらじを履いての練習をしていたんですが、あえて草ぼうぼうの足場が悪いところを走っていました。でも現場はそれ以上にものすごく足場が悪いところがあって、走るのが難しいんですよね。


ーーなるほど。走るほかに馬にも乗っていましたよね。


黒島:馬には乗ったことがなかったので、乗馬の練習にも4回ぐらい行きました。馬ってすごく面白くて、可愛いんですよ。だから馬にもっと乗りたいんですけど、私は若君の後ろにしか乗せてもらえなくて(笑)。


ーー乗馬、楽しんでいるんですね。戦国時代にタイムスリップするお話ですが、走ること以外で何か苦労していることはありますか?


黒島:時代ドラマと言っても、現代の高校生のまま戦国時代にタイムスリップする役なので、そこまで難しいところはないですね。所作の練習もないですし、言葉遣いもそのままです。けれど、若君役の健太郎さんや殿様役の石黒賢さんたち、戦国時代の人物を演じる方々は所作や殺陣など大変そうだなって思います。


ーー甲冑とか重そうに見えますが。


黒島:あれ実際に着ると、意外とそんなに重たくないんですよ。手で持つと重いんですけど。身体にフィットしているからですかね。甲冑のほかにも笠を首につけたり、脇差を腰のところに差したりしているので、最初は走りづらいなと思っていました。特に脇差は走っている時、振った腕に当たってビリビリと痺れることが稀にあるんですよね。けど、慣れてきたら重さも走りにくさも気にならなくなりました。


ーー若君役の健太郎さんはじめ、松下優也さん、川栄李奈さんら黒島さんにとって同世代の役者さんから、石黒賢さん、イッセー尾形さんなどベテランの役者さんまで幅広く出演しています。共演者から刺激を受けることは?


黒島:イッセー尾形さんはじめベテランの役者さんからは、常に刺激を受けていますね。経験値の違いを痛感しています。ああいう風にお芝居ができたらもっと楽しくなるんだろうなと。イッセーさんとのシーンは特に面白いんですよ。イッセーさん演じる天野信茂という役柄はもともとコミカルに描かれているんですが、それをイッセーさんが演じると台本で読む以上に面白くなります。現場で想像もしていなかったアドリブやお芝居をされるので、私は笑いを堪えるのに必死です(笑)。


ーー特にどのシーンでイッセーさんのアドリブのすごさを感じましたか?


黒島:全部ですね、本当に。どのシーンを観てもイッセーさんが出演されているところが最も面白いと私は思います。ビジュアル含め、イッセーさんは原作をかなり忠実に再現されているので、すごくコミカルなんです(笑)。


ーー黒島さんもイッセーさんも原作も読んでいるんですね。


黒島:拝読しています。イッセーさんも多分お読みになっていると思います。たまにスタジオ前で、イッセーさんから「原作の漫画ではこうだったから、こうしてみようと思うんだ」というお話を伺うんですよ。


ーー黒島さんも原作を意識しますか?


黒島:そうですね。やっぱり原作がすごく面白いので、大事にしていきたいなと。今までも原作はもちろん読むんですけど、どちらかと言うと台本を重視してお芝居をしてきました。でも、今回はセリフを覚える時も原作を再度読み返していますね。撮影中も合間には必ず漫画を読んでいます。これまでの作品では、そういったことはあまりしてこなかったのですが。


ーーなぜ、今回の『アシガール』では原作を読み込もうと?


黒島:純粋に好きなんですよね、原作の漫画が(笑)。世界観が好きだからこそ読み込むっていうのもあると思います。漫画の面白さをそのままドラマにも活かしたいなと。


ーー黒島さんは同ドラマのほかに、『サクラダリセット』や『プリンシパル~恋する私はヒロインですか?~』など人気ライトノベルやコミックの実写化に多数出演していますよね。原作ものに対してのプレッシャーはありますか?


黒島:あんまり気にしないようにはしています。やっぱり原作は絶対的に面白いじゃないですか(笑)。だから、その中でどう実写に落とし込むのかが重要ですよね。原作あるなしに関係なく、監督はじめスタッフさんや共演者の方々と、とにかく良質な作品を作りたいと常に考えています。


ーー現場の雰囲気はどうですか?


黒島:現場は大好きですね。すごく現場は明るいです。私はスタッフさんとおしゃべりするのが好きなんですが、皆さんとても優しいんですよ。走るシーンが多いからって足場が悪いところを綺麗に均してくれたり、走りやすいわらじに改良してくれたりとか、そういう細かいところまで気を使ってくださいます。そうやって気にかけていただけるので、すごく助けられていますね。


ーーあまり共演者の方とは現場で話さないんですか?


黒島:話しますよ。健太郎さんとも。大人っぽいんですよね。私もおしゃべりな方ではないので、本当にボソ、ボソって感じで話してます。別に仲悪いとかじゃないですよ(笑)。あとは先ほども言いましたが、現場ではイッセーさんとお話することが多いですね。


■ 「大河ドラマのようなクオリティ」


ーーそんなイッセーさんとのシーンがもっとも面白いと言ってましたが、ほかに黒島さんが印象に残っているシーンはありますか? また、撮影はどこまで進んでいるんですか?


黒島:今(取材日9月19日)は5話まで撮影が終わっていて……6話もそろそろ撮り終わるかな。だからメインでは、7~10話ぐらいまでを同時進行で撮っている感じですね。だんだん唯ちゃんも出世して、若君とのシーンが多くなっていきます。印象に残っていると言いますか、忘れられないのは「おおまきばはみどり」って唄うシーンですね。初めて唯ちゃんが若君の部屋に行って、二人きりになれるという場面です。唯ちゃんはいつも足軽の格好をしてるけど、その時だけは女の子の姿、姫に変装して行きます。いつも泥だらけなので、久々に綺麗になれたのが嬉しかったです。そのシーンがすごく長くて、何時間もかけて撮影しました。その場面の途中で「おおまきばはみどり」を何度も唄うんですけど、これがまた耳に残るんですよ。一回聴いたら誰もが忘れられないんじゃないかなと思うくらい。次の日になっても思わず口ずさんでしまったほど、記憶に残っていますね(笑)。


ーー放送されるのが楽しみです。唯は女の子なのに、唯之助と偽ってまで若君の傍にいようとするところが健気ですよね。


黒島:若君を想う気持ちが強くて、彼のために一生懸命頑張るところが唯ちゃんの魅力です。すごく一途でブレないし、諦めない。こんなにも一人の相手を想えることってないんじゃないかと思うからこそ、そこがかっこいいなと。普段はマイペースでパッとしない生活を送っていた子に、自らアクションを起こすほどの強い気持ちが芽生えるのってすごいことじゃないですか? やっぱり自分の身を犠牲にしてでも若君を守りたいっていう、その覚悟が素敵ですね。普段はちょっとバカっぽいところもまた可愛らしくて、そのギャップも魅力の一つなのかなって思います。


ーー好きな人のために命をかけられるってすごいことですね。


黒島:すごいですよね。いつ戦で死ぬかわからない戦国の若君に対して、絶対に生きて欲しいと願う気持ちはすごく純粋で美しいなと。


ーーそんな唯を演じる上でもっとも意識したことを教えてください。


黒島:一つひとつの動作を大きくするように心がけています。特に手とか顔とか(笑)。あとはなるべく動いていた方が唯ちゃんらしいかなと思って、活発な感じを全身から醸し出せるように意識していますね。


ーー最後に、ドラマ『アシガール』の見どころを教えてください。


黒島:現代パートと過去(戦国)パートがあるんですけど、基本的には時代ドラマなので戦国時代がメインです。美術にもすごく力が入っていますし、ロケ地も厳選されているので、本当に大河ドラマのようなクオリティです。観ていて現代も戦国時代も共に違和感がないドラマになってるんじゃないかなと。展開も早く、テンポがいいので飽きないですし、トータルですごく面白い作品になっています。老若男女誰もが楽しめる時代ドラマです。唯ちゃんと若君が頑張っている姿を、視聴者の方たちもきっと応援したくなると思います。(取材・文・写真=戸塚安友奈)