F1日本GPの現場を訪れたジェンソン・バトンが、F1での最後の2年は精神的に辛かったと明かし、今年のスーパーGTに参戦したことで失いかけていたレースへの愛を取り戻したと語った。
バトンは2016年末でマクラーレン・ホンダのレースドライバーのポジションから退き、現在同チームのアンバサダーおよびリザーブドライバーの役割を担っている。今年のモナコGPではフェルナンド・アロンソがインディ500に挑戦するのに伴い、代役として1戦のみF1に復帰した。
夏には日本のインターナショナル鈴鹿1000kmにスポット参戦、スーパーGTに初挑戦した。
日本GPの週末、鈴鹿に登場したバトンは、F1のキャリアと来季レース活動について語った。F1から離れた今の生活は「素晴らしいものだし、必要なことでもあった」とバトンは言う。
「キャリアのなかでたくさんのことが起きて、その時(F1現役時代)はじっくり考える時間がなかった」
「今年は腰を据えて、何が起きているのか、自分自身と対話する必要があった。それがうまくいっている」
「モナコで走り、決勝は忘れてもいいような内容だったけれど、予選はとても楽しかった。このモンスター(今年のF1マシン)をモナコで走らせたんだ。他に2017年のマシンを走らせるとしたら、ここのレースだろう。特別な気分だろうね」
「でも僕がF1を恋しく思っているかと聞かれれば、答えは“ノー”だ」
「モータースポーツへの愛情が幾分冷めていた。F1でのレース活動が1年長すぎたのかもしれない」
「最後の2年間はきつかった。幸運にもこの世界で成功を収めた経験があり、マクラーレンと素晴らしい時代を過ごしてきた。それが突然、好結果をつかめなくなり、毎戦、他のドライバーたちが優勝しているのを見ていなければならないというのはきつい。その状態を長く続け過ぎた」とバトンはSky Sportsに対して語った。
「モナコでもう一度F1に参戦し、今年のマシンを体験できたのはよかった。でもその週末を終えた時、もう戻ることはないと思った」
8月に鈴鹿1000kmに出場して、冷めかけていたレースへの愛情がよみがえったとバトンは語る。
「まったく経験がない状態で始めた。今までやってきたこととはまるで違っていた。いい結果は出せなかったけれど、レースへの愛が蘇るのを感じた」
「終えた瞬間に、またやりたいと思った。そんな気持ちを持ったのは久しぶりだった。走りたくてたまらないんだ」
「来年、何かしらレースをするつもりだ。アメリカかヨーロッパか日本か、まだ分からない。いくつか選択肢があるが、フル参戦したいと思っている」