目覚めると曇り空、なんとかこのままもってくれればいい。2万6000人のファンの願いが通じたかのように、F1日本GPのFP1は気温19度のドライコンディションで始まった。
セクター1に向かう。初日のイニシャル・セッティング状態を見るにはまずここから。どのチームもドライバーもS字を基礎(ベース)に始めていき、そこからファイン・チューニングに取り掛かるのが鈴鹿だ。
午後までドライでいけるかは不明だから、ソフトからスーパーソフトへの切り替えも早まるに違いない。ハミルトンが1分30秒台に入れるとレッドブル勢が早めにスーパーソフト投入。
いい感触だからそうできるのだろう。マックス・フェルスタッペンは1分30秒762、逆バンクでアクセル・オフがやや長めに感じられた。ダニエル・リカルドはそうではない。アクセル開度をコーナーごとに合わせこむかのようにコントロール、シャシーも安定してスムーズ。1分29秒541を30分足らずで出し切る。
早めに速さを示したリカルドはいい流れだ。その後ルイス・ハミルトンが1分29秒377で抜くが、このS字エリアで見る限りはそれほどの差は感じない(稼いだのは最速だったセクター3)。するとほんの少し雨粒がパラパラと来たと思ったらヘアピンでカルロス・サインツJr.がスピン、クラッシュ。赤旗中断の間にコースマーシャルの方が一言「はっきりしない雨模様ですねえ」
再開されるとセバスチャン・ベッテルが一気にきているのが耳で分かった。1~2コーナーでエキゾーストノートが変わり、S字に6速のまま飛び込み、リカルドよりもアクセル開度が“リッチ”だ。これはいいぞとタイムをチェックすると1分29秒166。セクター1は最速31秒170、ここだけでハミルトンを0.146秒、リカルドを0.220秒引き離した。
ベッテルの金曜FP1トップは第3戦バーレーンGP以来、滑り出しは上々だ。1分28秒台も彼には見えたはず、セクター2も最速だったからだ。
06年ミハエル・シューマッハーが記録した1分28秒954とのセクタータイム比較。セクター1では1.138秒遅れ、セクター2では0.010秒速く、セクター3では1.118秒速い。まだコース状態が“グリーン”なのでセクター1では十分な伸びしろを期待できる。
ところが終了15分前からポツポツと大粒な雨……。昼の間に本降りに変わり、FP2は開始が遅れるほどのウエットになってしまった。5人しか計測ラップをしないまま終了、何かを試したかったハミルトンが1位だが2位の新人オコンとはわずかとも言える0.799秒差。一方のベッテルは1周ゆっくりしただけで、少なくとも初日はベッテル先行と見てとれた。