オーストラリアを代表するツーリングカー・カテゴリー、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー選手権で、長年ホールデンのワークス待遇であるHRT(ホールデン・レーシング・チーム)として活動してきたウォーキンショー・レーシングが、北米のトップチームであるアンドレッティ・オートスポート、ユナイテッド・オートスポーツとジョイントすることが発表された。
「この北米のモータースポーツ・ジャイアント2者と提携することは名誉だ。このパートナーとともにチームをさらに前進させなくてはならないし、ジョイントしたことがすべてのファンを興奮させられるものになればと願っている」と語ったのは、チーム監督を務めるライアン・ウォーキンショー。
今季はモービル1HSVレーシング(ホールデン・スペシャル・ビークルズ・レーシング)としてVASCに参戦を続けているウォーキンショー・レーシングは現在、スコット・パイとジェームス・コートニーの2台体制でホールデン・コモドアVFを走らせている。
2016年を最後にホールデンのワークス待遇からは外れたものの、今回のジョイントで来季のチーム名を『ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド』とすることを表明し、既存のウォーキンショー・レーシングとアンドレッティ、ユナイテッドの3者で分割した所有権を持つことがアナウンスされた。
「この新しいパートナーシップを実現できて、非常にうれしい」と続けたのは、アンドレッティ・オートスポートのCEO兼会長であるマイケル・アンドレッティだ。
「私はこれまで、アンドレッティ・オートスポートの目標をつねに多様化し、複数のプラットフォームで成功させることを目指してきた。この機会は、世界的に拡大するチームにとっても自然なステップであり、3つの象徴的な組織が協力している」
「成功を収めることを確信しているし、この新たなベンチャーであるウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドが、近い未来にVASCのトップチームとして君臨すると信じているよ」
インディカーで4度のタイトル獲得と、今季、佐藤琢磨とともに制したインディ500では通算5勝を挙げている伝説的チームのオーナーは、もうひとつのパートナーにマクラーレンのエグゼクティブ・ディレクターを務めるザック・ブラウン率いるユナイテッド・オートスポーツを招聘。
ブラウンとリチャード・ディーンのユナイテッド・オートスポーツは、耐久レースであるELMSヨーロッパ・ル・マン・シリーズのLMP3王座を獲得するなど、スポーツカー・レーシングでの実績を積んでいる。
また、今回の発表に際してウォーキンショーとアンドレッティのふたりは「将来的に新たなマニュファクチャラーのマシンを投入する」ことも目標に掲げており、2ドアの参戦が可能となるなどボディ形状の規制が緩和されたNext-Gen(Gen2)規定に合わせて、シボレー・カマロなど複数の候補車種をピックアップしているという。
「ただし、2018年は新型となるホールデン・コモドア(ZB)を導入することに全力を注ぐことになる。我々もマイケルも、ロードカー・サイドではいくつものマニュファクチャラーと素晴らしい関係を築いている。今後も模索を続けていくことになるだろう」とウォーキンショー。
現在、アンドレッティ・オートスポートはインディカー、フォーミュラE、グローバル・ラリークロスで、それぞれホンダ、BMW、フォルクスワーゲンとワークスチームとしての協力関係を築いており、このVASCでもそのコネクションを活用した動きが予想される。
そして、2014年からこのVASCシリーズに参入しているもうひとつのジャイアント、ペンスキーとの直接対決にも注目が集まる。