トップへ

森田剛、加藤シゲアキ、桐山照史……多様化するジャニーズ舞台 それぞれの魅力を考察

2017年10月06日 08:02  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 ジャニーズの原点は、舞台である。そして、ジャニーズの舞台は実に多様だ。ベテランメンバーや注目のジャニーズJr.、ストレートプレイからライブ形式の舞台……あらゆる方法で我々を楽しませてくれる。コンサートの季節が終わった現在、多くの舞台が上演中・上演予定だ。今回はその中から、注目度の高い舞台に焦点を当ててみよう。


参考:V6 森田剛は“演技派俳優”として進化し続けているーー『ハロー張りネズミ』グレ役の魅力


■V6 森田剛『すべての四月のために』
 故・蜷川幸雄氏からも演技を絶賛されていたV6森田剛は、11月11日からスタートする舞台『すべての四月のために』の主演を務める。『血は立ったまま眠っている』や『祈りと怪物』などで身に付けた蜷川氏仕込みの演技力を武器に、映画『ヒメアノ~ル』以降、ジャニーズファン以外からも徐々に注目を集めだした森田。彼の演技の素晴らしいところは、役を物にしているところだろう。


 原作がある作品の役はイメージ通りに演じきり、描き下ろし作品は監督の意図を的確に掴み、表現し、観客に伝えている。直近で言えば、ドラマ『ハロー張りネズミ』(TBS系)の木暮久作のコミカルかつ熱い演技は原作に相当近しい。


 加えて、1993年からコツコツと積み重ねてきた経験もある。『すべての四月のために』は第二次世界大戦下の朝鮮半島が舞台で、理髪店を営む朝鮮人夫婦と四姉妹、次女の夫、彼女たちを取り巻く人々、日本軍人たちの物語だ。なかなかにセンシティブな題材である一方、「家族」という不変のテーマも扱う。絶妙なバランスが問われるこの作品も、森田のスキルを持ってすれば必ず素晴らしい作品になるのではないだろうか。自ずと期待が高まる。


■NEWS 加藤シゲアキ『グリーンマイル』
 9月30日より上演しているのは、NEWS加藤シゲアキ主演の舞台『グリーンマイル』。おなじみスティーヴン・キングの小説『グリーンマイル』が世界初の舞台化ということで、注目を集めている。ドラマ俳優と作家のイメージがある加藤だが、実は主演舞台は今回が5作品目。ラジオ番組『KちゃんNEWS』(文化放送)内で「グリーンマイルは演出から役者全員で作り上げている」と話しており、より一層力が入っている様子だ。その努力の甲斐あってか、上演開始と同時にネット上に「泣いた」「演技が素晴らしい」などの称賛の声が挙がっている。


 加藤の演技は賛否両論あるものの、はまり役だとかなりリアリティのある演技を見せてくれる。たとえば、『盲目のヨシノリ先生~光を失って心が見えた~』(日本テレビ系)での演技は非常に評判が良かったが、『嫌われる勇気』(フジテレビ系)はそこまでの評判は立っていない。特徴の強い役の方が、得意なのだろうか。


 そう考えると、『グリーンマイル』の演技が好評なのも納得だ。加藤演じる看守主任のポール・エッジコムは、死刑囚と仲を深めていくという、非常に特徴のある役だ。看守が死刑囚とどうコミュニケーションを取り、心が移ろっていくのか。それを加藤はどう表現するのか。そこに注目して見たい舞台である。


■ジャニーズWEST 桐山照史『アマデウス』
 ジャニーズWEST桐山照史が出演している舞台『アマデウス』は、松本幸四郎主演の傑作舞台と言われている作品。1982年に日本で初上演が行なわれ、10月2日には上演450回を迎えた名作である。その名作のキーマンであるモーツァルトを演じるのが桐山だ。これまでモーツァルトは江守徹、市川染五郎、武田真治という名優たちが演じてきたこともあり、「大抜擢」とニュースになっていたほど。


 しかし、桐山は若手ジャニーズの中でもかなりの演技派なのである。桐山は『ごくせん 第3シリーズ』(日本テレビ系)以降、連続テレビ小説『あさが来た』(NHK系)、『HOPE~期待ゼロの新入社員~』(フジテレビ系)、『私たちの薩長同盟』(フジテレビ系)などに出演し、ほとんど全ての役が高評価。主役を務めることはあまりないものの、確固たる演技力で作品を支えてきた。


 そんな桐山が2015年に出演した舞台『ブラッド・ブラザース』を観劇したのだが、ドラマだけでなく舞台においても栄える役者だと感じる。というのも、歌声を聴くと分かる通り桐山の声は非常に通るのだ。舞台においても聞き取りづらい部分はほぼない。さらに動きも大きく、昆夏美やマルシア、渡辺大輔、渡辺正などの舞台俳優たちにも劣らない演技を見せてくれた。この手腕を活かせば、歴史ある舞台『アマデウス』に新しい風を吹かせられるはずだ。


 舞台の“ライブ感”を肌で感じると病みつきになる。まだジャニーズの舞台を体験していない方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。現在上演中の舞台も豊富で、この先も次々と上演開始となる。歌って踊る姿だけでなく、彼らの“役者魂”を直に感じてみることをおすすめしたい。(文=高橋梓)