10月に入り、多くの企業では来年春入社者を対象に内定式が実施された。今年は10月1日が週末だったため、翌日月曜日の2日に行うところも多かったと報道されている。
しかし、平日は多くの学生が授業やゼミ等で学業に勤しんでいる可能性が高い。慶應義塾大学の琴坂将広准教授は自身のツイッターで、こうした現状に疑問を投げかけている。
「本日内定式の企業の皆さまへ。 参加中の学生の多数は、講義を欠席して参加するという苦渋の決断をしています。なぜに大学生に、大学の学期期間中に、彼彼女らの本務である学業を欠席させる事を強要するのでしょうか? 改善は、出来ぬでしょうか?」
他の教員からも「何の権利があって講義をサボらせるのか」
多数の企業が内定式を行った2日に呟かれたこのツイートは、6000件近くリツイートされている。年度下半期の始まりにあたる10月最初の平日は、多くの大学でも、講義の導入を行う重要な期間に位置する。
立命館大学の上原哲太郎教授もツイッターで「この風習、本当に辞めてくれないだろうか。何の権利があって講義をサボらせるのか。平気で『ゼミ休みます』という学生が多くて本当に困っている」と頭を悩ませていることを明かしていた。
経団連はこうした声をどう受け止めているのか。担当者に話を聞いたものの「企業の内定式に関して、経団連としては特にスタンスは定めていない。実施する企業にはそれぞれの理由があるはず」との見解を示すに留まった。また「個人的な感想」と前置きしつつ、
「就職活動中の選考や面接は一定程度の期間を要します。学業への負担も大きくなるため、平日夜や土日に実施するよう呼び掛けていますが、内定式は1日だけですし、これまで大学や短大、学生本人等から、困っているという指摘もありませんでした」
と、そもそも問題として認識していないと明かした。
「企業、大学、学生の三者で議論があってもいい」
ツイッターで問題提起をした琴坂准教授はキャリコネニュースの取材に対し、内定式の平日開催は学業に支障を来たすが、「多くの企業が一斉に行うことで、学生に内定先を1つに絞らせることを狙っており、なかなか1つの企業だけが配慮をするという訳にもいかない」とも指摘する。
「理不尽な要素もあるが、常識としても受け入れられており、改善が進んでいない。企業、大学、学生の三者で議論があってもいいのではないか」
との思いを述べた。