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松岡修造似の熱血漢も。万璃音を支えるスタッフたち/高校生ドライバー佐藤万璃音ヨーロッパ挑戦記2017 第6回

2017年10月05日 17:12  AUTOSPORT web

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モトパークからFIAヨーロピアンF3選手権に参戦している佐藤万璃音。今回は万璃音を支えるチームスタッフを紹介する
2017年のFIAヨーロピアンF3選手権へ参戦している佐藤万璃音(さとうまりの)。今回はそんな万璃音を支えているメンバーを紹介する。ドイツ・オッシャースレーベンに本拠を置くモトパークのスタッフたちを中心に、それぞれの横顔を佐藤自身が語った。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 

●ティモ・ランプケイル(チーム代表)

「レース・ウイークエンドもそれ以外でも、“ティモ”は僕に対しては少し軽い調子で話し掛けてきます。でも、実際は周囲の物事をよく観察し、けっこう細かい部分に目を配っていると感じます」

「たとえばスターティンググリッドでは、アドバイスというほどでもないけれど短い言葉を必ず掛けてくれます。そのひと言で、僕は冷静になれたり、自信を持って臨めたり。非常に気遣いができる人で、僕にとってはなんでも話せる存在です」

「ちなみに彼はドイツのサーキット、モータースポーツ・アリーナ・オッシャースレーベン所有者の息子で、敷地内にモトパークのファクトリーがあります。ホテル・モータースポーツ・アリーナも併設されていて、シミュレータ・テストなどでファクトリーを訪れた際、僕らドライバーはいつもそこに幽閉されます(汗)」

「まあ、旧東ドイツだったあのあたりは、第二次世界大戦後からあまり景色が変わっていないようですし、街へ出ても退屈なのでホテルに籠るしかありません(汗)」

●アンドレアス・コーラ(テクニカル・ディレクター)
「彼はチームの技術面を統括する立場で、5台体制になってからはジョエル・エリクソンのトラック・エンジニアを務めています。5人いるトラック・エンジニアのなかでは、ドライバーからクルマの状態を聞き出すのがもっともうまいと思います」

「今でこそ基本的にジョエル担当のトラック・エンジニアとはいえ、一日が終わって“アンディ”にもアドバイスを求めれば、データを見ながら一緒に改善策を考えてくれる面倒見のいい人です」

●ディディエ・デュモン(トラック・エンジニア)

「“ディディエは”僕がFIA-F4イタリアを戦った旧ユーロ・ノヴァ・レーシング(現ヴィンチェンツォ・ソスピリ・レーシング)で、トラックエンジニアを務めていた経歴を持つフランス人です」

「プレマパワーにいたこともありイタリア語も話せます。“ヴィンチェ”と一緒に仕事していたからでしょう、彼の仕事の進め方は予想の範囲内でした。何を考えているのかちょっと分からない面もありますが、僕を確実に成長させてくれる人です」

●トム・ディルマン(ドライバー・コーチ)

「フランス人ながらドイツのチームによく馴染んでいて、フォーミュラ・レース経験も豊富な人です。“トム”はフォーミュラ・ルノー、F3、GP3、GP2、フォーミュラV8 3.5、フォーミュラEなど、ひととおりのカテゴリーに参戦していますし、チャンピオンにもなっています」

「そうした背景があるから、こちらからの質問にも淀みなく答えてくれます。レースウイークには現役ドライバーの立場で、“誰々はこうやって走っている”と教えてくれるなど、自分の知識をもとにした分析を聞かせてくれるありがたい存在です」

「同じドライバーの立場で、感覚的な部分にも充分配慮しながら僕らが置かれている状況を把握します。経験の浅い僕らが思いつかない言葉や表現で、トラックエンジニアへ状況をうまく伝えてくれたりもします」

「データをもとにしたトラック・エンジニアの理論的な話を聞くのはもちろん重要ですが、データには表れない微妙な僕らの違和感を“トム”は理解してくれます。ドライバーとトラックエンジニアの橋渡しをしてくれる、優れた通訳と言えるかもしれません」

●ジョゼ・エンリケ・ポレッテティ(フィジオセラピスト)

「FIA-F4イタリアに参戦していた当時から、僕のフィジオセラピストを務めています。エアポートからホテルからサーキットの移動は、基本的に彼と一緒です。“ジョゼ”の所属する会社、ドライバー・パフォーマンスは僕が住んでいるイタリア・フォルリの街中にジムを構えています」

「和食好きの“ヴィンチェ”に影響を受けたのか、日本人はあまり食べないサーモンの寿司や海老天巻き、さらにはガリ(新生姜の甘酢漬け)まで単品で注文する不思議なブラジル人です(汗)」

「かなりアツい人間です。日本人テニス・プレイヤーとして名を馳せた松岡修造さんを思わせます。トレーニングに関してもレースに関しても、彼は自分の考えを長々と話します。正直ウザく感じることもしばしばです(汗)」

「僕はそもそも冷めた人間なので、熱血漢の彼に違和感を覚えるのかもしれません。たまにイラッと来ることもあります。とはいえ、僕を思ってのことと受け止めています。もしかすると、熱い人間と冷めた人間同士、うまくバランスが取れているのかもしれません」

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 ここで紹介したメンバーは5人だけだが、レース・ウイークエンドの佐藤には2人の専属メカニックも付く。また、チーム全体の面倒を見る立場として、2人のタイヤマン/トラッキーが居る。現在のモトパークは5台を走らせているとはいえ、コスト抑制の規則もあって現場へ足を運ぶのは少数精鋭の20人足らず。

 ただし、ドライバーには専属のフィジオセラピストやバックマンなどが付き添うほか、毎レース足を運ぶドライバーの親族の存在もあり、モトパークのモーターホームはいつも賑わっている。