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【衆院選】NPOもやいが緊急声明「貧困対策を最優先課題に」 「一人ひとりの『いのち』を守る土台が崩れつつある」

2017年10月05日 12:31  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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貧困問題に取り組むNPO法人もやいは10月5日、今回の衆院選に向けて、全ての政党と候補者に、貧困対策を最優先課題とするよう求める緊急声明を発表した。

2001年に設立された同団体は、生活に困窮した人の生活相談に乗ったり、社会保障制度の利用支援を行ったりしている。1年間に寄せられる相談は4000件近くに上るという。設立者の湯浅誠さんが民主党政権下の2009年に内閣府参与に就任したことで、一躍有名になった。

「貧困の実態を見つめ、必要な制度の実現につなげていく政治家を求めています」

同声明では、

「私たちは相談の現場において日夜、貧困の現状に直面し、まさに今、社会全体の底が抜けて、少しずつですが確実に、一人ひとりの『いのち』を守る前提や土台が崩れつつあるのを感じています」

と危機感を露わにしている。

実際、厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、日本の相対的貧困率は15.6%、子どもの貧困率は13.9%にもなる。また2013年から生活保護の生活費分が引き下げられたり、2014年から消費税が8%に上げられたりしたことで、ますます多くの人が生活苦に直面しているという。

2012年には、社会保障制度改革推進法が成立したものの、消費税の増税分が社会保障に充てられることはなく、生活困窮者への再配分は十分とはいえない。こうした現状を踏まえ、同団体は、

「私たちは、持続可能な社会保障制度を求めています。そして、そういった議論が国会でおこなわれることを強く望んでいます」
「私たちは、真摯に貧困の現状と実態を見つめ、困難な状態に陥っているすべての人の声を受けとめて社会に還元し、必要な制度や施策の実現につなげていく政治家を求めています」

と訴える。

「最低賃金は全国一律1500円以上」「給付型奨学金の拡充」

具体的な提案としては、「低所得者向けの簡素な金銭給付」「生活扶助基準引き下げの中止と引き上げの検討」「社会保障費負担のための消費税以外の財源の確保」「低所得者向けの住宅政策の拡充」などを掲げている。いずれも困窮した人々の生活水準を引き上げるためには欠かせない政策だ。

また「安心・安全に働ける場の確保」「高等教育無償化」への取り組みとして、

「最低賃金の底上げ(全国一律1500円以上)や社会保険の適応範囲の拡充、労働基準法の順守徹底や労働環境・待遇の改善」
「給付型奨学金の拡充と高等教育の授業料等の減免や無償化に向けた取り組み」

を掲げている。長時間労働を抑制したり、貧困世帯の子どもが高等教育を受けられずに自身も貧困に陥ることを防いだりするためには、こうした政策の早期実現が必要だろう。

他にも、「社会保障のビジョンの転換」として、世帯へのサポートから個人単位での社会保障、貧困の実態についての調査研究などを謳っている。