2017年10月05日 10:03 弁護士ドットコム
同人活動が赤字なら、確定申告をしなくてよいのでしょうかーー。こんな質問が、インターネットのQ&Aサイトに投稿されました。投稿者は、同人活動が職場にバレないよう、確定申告をしなくて済む方法を考えているそうです。
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確定申告を通じた副業バレについては、これまでたびたび話題にのぼってきました。その仕組みは、住民税の金額をきっかけとして、バレてしまうというものです。
今回の投稿者も、副業禁止の職場で働いています。トラブルを避けるためにも、経費をわざと多くかかるようにして、赤字になるようにしようとしているそうです。しかし、「赤字でも確定申告はするべきだ」との意見を聞いたこともあり、同人活動に参加してよいのか、悩んでいるそうです。
もし赤字だったとしても、確定申告をしなければならないのでしょうか。確定申告をきっかけに同人活動がバレるというのは本当に起きる可能性があるのでしょうか。上村大輔税理士に聞きました。
「まず、同人活動が赤字になった場合、確定申告をする必要はありません。『赤字でも確定申告はするべきだ』という意見については、赤字でも確定申告をすることで、給与所得などと相殺されて、給料などから天引きされていた税金が戻ってきたり、住民税が安くなったりする可能性があるため、申告したほうがお得でオススメ…というような意味合いになるのではないでしょうか(ちなみに、他の所得と相殺されるためには、確定申告の性質上、同人活動を「雑所得」ではなく「事業所得」で申告する必要があります)」
では、確定申告については、特に気にしなくてもいいということでしょうか。
「ただし、申告をしない場合でも、本当に赤字だったと証明できるように、収入や経費の記録を取っておきましょう。同じ赤字でも、例えば収入5万円<経費6万円の場合から、収入500万円<経費600万円の場合もあるでしょう。理論的には、両者とも赤字になるのですが、後者は金額の規模が大きいので、場合によっては税務署、自治体などから、照会が来る可能性もあります。その際、本当に赤字だったと説明できる状態にしておくと安心です」
副業バレ、という観点では、どうなのでしょうか。
「確定申告をきっかけに、同人活動がバレるのか、という点については、住民税の特別徴収制度(社員の住民税を会社が給料から天引きして、社員の代わりに社員の住んでいる自治体に納付する制度)が関係しています。
この制度のため、自治体から会社へ、前年の所得に基づいて計算された天引きすべき住民税額の通知が届くのですが、その際、確定申告をして所得が増えたり減ったり(赤字の場合)していると、給与以外に何か収入や赤字があったのではないかということが伝わる可能性があります。
そういう意味で、会社に同人活動が絶対に見つかりたくないという方は、赤字にして何も申告しないでいることが、最も無難な方法といえるのではないでしょうか。(ちなみに、給与所得者の同人活動が年間20万円以下の利益だった場合にも、同じく確定申告不要になる制度がありますが、こちらは厳密には住民税だけの申告が必要になります)
利益の集計期間は、毎年1月1日~12月31日。同人活動の収支状況をある程度リアルタイムで把握しておけば、必要に応じて、イベントでのノベルティ配布や商品販売額・発行部数の増減により利益が調整できるので、安心かもしれませんね」
【取材協力税理士】
上村大輔(かみむら・だいすけ)税理士
東京巣鴨で開業している税理士。2014年税理士登録。「マンガ税理士」として、趣味のマンガ制作をいかして税金をわかりやすく説明する活動にも取り組んでいる。
事務所名 : かみむら会計事務所
事務所URL: https://dk-tax.com/
(弁護士ドットコムニュース)