2017年10月04日 21:13 弁護士ドットコム
政党初のゆるキャラとして、ネットで人気を集めていた旧民主党公認の「民主くん」。2016年に旧民主党が維新の党と合流し、民進党となったことにより、公認を「剥奪」、引退を余儀なくされていた。しかし、民主党政権時代に官房長官も務めた枝野幸男氏を代表に、旧民主党議員らが参加する「立憲民主党」が結成されることが10月2日、報じられると、ネットでは民主くんの「政界復帰」に対する期待が高まった。
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すでにTwitterでは、ビートルズが愛用したというリッケンバッカーのギターを持った「立憲民主くん」のアカウントが登場。非公式ながらも、2日間で6800人以上がフォローする人気となっている。果たして、「民主くん」の政権復帰はありえるのか。民進党本部に聞いた。 (弁護士ドットコムニュース・猪谷千香)
民主くんはゆるキャラとして、決して平坦な道を歩いてきたわけではない。
旧民主党のロゴをモチーフに、同党所属の都議会議員らが発案して誕生。2007年7月の参院選から本格的に選挙活動の応援などをするようになった。その広報力が認められ、2009年には党青年局の公認キャラとなり、東京都議選では8体態勢になるなど、各地でPRに奔走した。
2015年には、念願の「ゆるキャラグランプリ」に出場、1747体中142位だったものの、出馬会見では「2位ではだめなんです」という名言を残して話題となった。Twitterでも人気を博す一方で、政治的な発言から炎上も経験、政界の荒波をくぐってきた。
しかし、2016年に民主党が民進党になるの伴い、民主くんは民進党の非公認キャラの「窓際」に追いやられてしまう。そこで、同年4月にニコニコ動画のイベント「ニコニコ超会議2016」で、引退を賭けてゲームに臨んだが、千葉県佐倉市のゆるキャラに敗北し、引導を渡された。
民主くんは、後任である民進党のゆるキャラ「ミンシン」に公認の座を譲り、一時は廃棄処分の危機に晒されたが、「かわいそう」「捨てないで」という声が寄せられたことから、東京・永田町の憲政記念館へ寄贈されたという。
政界を引退し、現在は憲政記念館で隠居している民主くんだが、そこへ降って湧いたのが、立憲民主党の結党だった。民主くんに現役復帰を期待するユーザーが相次ぎ、Twitterではリッケンバッカーのギターを持った民主くんの画像が使用された非公式のアカウントも登場している。しかし、民主くんが再び、立憲民主党の公認キャラとして復帰するにはハードルが高いようだ。民進党のメディア担当者はこう話す。
「民主くんの復帰に期待が集まっていることは知っています。民主くんについては、民主党から民進党が権利などを引き継いでいますが、現在は憲政記念館に寄贈されているので、(立憲民主党からオファーがあったとしても)理屈の上で民主くんを復帰させるのは難しいでしょう」
では、民主くんから党の公認ゆるキャラの座を引き継いだミンシンは、揺れる政局でどう動くのか。
「今回の衆院選では民進党として候補者は出さずに希望の党を応援することが決まっていますが、さすがにミンシンが希望の党の応援活動をするのは、ややこしいとは思います(苦笑)。民進党には参院議員や地方自治体の議員、私たちのような党職員もいますから、ミンシンの今後は選挙後に皆さんの話し合いで決まるのではないでしょうか」
憲政記念館によると、民主くんは現在、展示されておらず、次回の展示も未定という。この10年、激動の政局を見つめ続けてきた民主くん。憲政記念館の片隅から、何を思っているのだろうか。
(弁護士ドットコムニュース)