トップへ

北村龍平監督×LDH、ハリウッド進出へ 大物海外俳優を迎えてアクションスリラー製作

2017年10月04日 12:32  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

 北村龍平監督による新作アクションスリラー『Doorman(原題)』に、『バットマン ビギンズ』のケイティ・ホームズと『レオン』のジャン・レノが出演することが、先日Varietyなどで報じられた。


参考:『HiGH&LOW』と『たたら侍』は表裏一体の作品だーー共通するLDHの本物志向


 現在プリプロダクション中の同作は、奉仕中にトラウマを抱えるような出来事にあい、心の傷を癒すため国に戻った米海兵隊員の女性の物語。その後ニューヨークの歴史的なアパートのドアマンになった彼女が、建物の壁に隠された貴重なアートを取り戻すため、全てを破壊しようとする傭兵と対峙する模様が描かれるようだ。


 同作のプロデューサー、ジェイソン・モーリングは「『Doorman』はスマートなスリラーというだけでなく、アクション満載」とコメントしている。北村監督がケイティ・ホームズとジャン・レノとタッグを組み、自身初となるハリウッドでのアクション映画をどのような内容に仕上げるのか、大きな期待が高まる。


 『Doorman』の製作が発表された数日後の9月15日(現地時間)には、カナダ・トロントで開催されていた第42回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で、北村監督のホラーサスペンス『ダウンレンジ』のワールドプレミアが行われた。『ダウンレンジ』は、北村監督が『この世界の片隅に』の真木太郎プロデューサーと『太秦ライムライト』のコウ・モリプロデューサーとタッグを組んだ作品で、広大な山道で“何か”の標的にされた6人の大学生の恐怖を描き、ワールドプレミアでも好評を得た。


 2001年に発表した『VERSUS』で国際的な評価を得た北村監督は、その後『あずみ』や『ゴジラ FINAL WARS』などの大作を国内で制作するとともに、ブラッドリー・クーパー主演の『ミッドナイトミートトレイン』、ルーク・エヴァンス主演の『NO ONE LIVES ノー・ワン・リヴズ』など、ハリウッドでもコンスタントに作品を発表してきた。2014年公開の小栗旬主演映画『ルパン三世』以降、ハリウッドでの作品が続けて発表されているだけに、今後はハリウッドで精力的な活躍を見せてくれそうだ。


 北村監督は現在、EXILEや三代目 J Soul Brothers、E-girlsなどが所属するマネジメント事務所LDHに所属している。LDHといえば、2015年に「LDH USA」を設立し、海外展開を本格化させながら、2016年4月には「LDH pictures」を設立し、映画事業に大きな力を注いでいる。その第1弾となった作品『たたら侍』は、第40回モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門の最優秀芸術賞に輝いたほか、ロサンゼルスでもっとも古いとされるハリウッドの老舗劇場エジプシャンシアターでのプレミア実施や、全米9州12都市での公開など、海外展開に照準を合わせた映画事業を初期の段階から行ってきた。


 日本で熱狂的なファンを獲得している『HiGH&LOW』シリーズも、台湾や韓国など海外でイベントを実施。今年6月には、俳優の別所哲也が代表を務めるショートフィルムの総合ブランド「ShortShorts Film Festival & ASIA」とコラボレーションし、作詞家・小竹正人が手がけたEXILE TRIBEの人気楽曲を、気鋭の映画監督たちがショートフィルム化する企画「CINEMA FIGHTERS」を展開したことも記憶に新しい。


 さらに今年12月には「LDH pictures」内のレーベル「HIGH BROW CINEMA」の配給により、『レッド・クリフ』のチャン・チェン、『たたら侍』で主演を務めた劇団EXILEの青柳翔、台湾の実力派女優イレブン・ヤオなどが出演する、日本・香港・台湾・ドイツ合作のSABU監督最新作『Mr.Long/ミスター・ロン』の公開も控えている。


 これまでは“上映”や“公開”といった、“場所”としての海外展開だったLDHの映画事業が、“役者”や“監督”といった“人”にシフトしつつあることがわかる。LDHと北村監督のコラボレーションには、既存の日本の映画会社にはない、新たな可能性が秘められているのではないだろうか。(宮川翔)