モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第29戦ドーバー
カイル・ブッシュが2連勝!
トヨタ勢は4人全員がプレーオフ第2ラウンド進出
プレーオフ第1ラウンドの締めとなったドーバーラウンドでは、カイル・ブッシュが最終盤の逆転で前戦に続き2連勝。トヨタ勢は4人全員がプレーオフ第2ラウンド進出を決めた。
エクスフィニティ・シリーズでは唯一のトヨタ勢プレーオフ進出ドライバーであるルーキーのマット・ティフトが最上位の6位。
ラスベガスで行われたトラック・シリーズでは、プレーオフドライバーのひとり、20歳のベン・ローズが悲願の初勝利。前戦勝利を挙げた22歳のクリストファー・ベルが2位で続き、プレーオフに進んだ若手ドライバーが1-2フィニッシュを果たした。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第29戦 Apache Warrior 400
開催日:10月1日
カイル・ブッシュが2連勝!
トヨタ勢は4人全員がプレーオフ第2ラウンド進出
10月1日(日)、米国東部デラウェア州ドーバーのドーバー・インターナショナル・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第29戦「Apache Warrior 400」が開催された。
シーズン終盤の10戦で上位ドライバーによりタイトルを争うプレーオフは3戦目、今大会を終えた時点で、下位の4名が脱落し、ふたたびポイントはリセットされる。
プレーオフの1戦目ではマーティン・トゥルーエクス・Jr.が勝利、2戦目となった前戦ではカイル・ブッシュが勝利を挙げ、トヨタ勢は2人が次ラウンド進出を決めている。
今季のプレーオフに進出しているトヨタ勢の残る2名、デニー・ハムリンとマット・ケンゼスも着実に上位フィニッシュを続けており、次ラウンド進出へ向け、コンクリート舗装の難コース「モンスター・マイル」ドーバーに臨んだ。
29日(金)に行われた予選では、ここ数戦圧倒的な速さを見せているトゥルーエクス・Jr.とカイル・ブッシュがポールを争い、僅差でトゥルーエクス・Jr.が今季2度目となるポールポジションを獲得。
カイル・ブッシュが2番手で最前列に並び、ケンゼスが2列目4番手、3列目に5,6番手のダニエル・スアレツとハムリン、エリック・ジョーンズが10番手と6台のトヨタ・カムリがトップ10グリッドからスタートを切ることとなった。
10月1日(日)午後2時17分、1マイルオーバルを120周、120周、160周の3ステージ合計400周(400マイル:約640km)して競われる決勝レースがスタート。
ステージ1序盤はトゥルーエクス・Jr.が逃げ、カイル・ブッシュはハンドリング不調で後退。しかし、途中のイエローコーション、赤旗からの再スタートでカイル・ブッシュが順位を取り戻し、ステージ1は2位でフィニッシュ。
トゥルーエクス・Jr.が3位、ハムリンが10位。ケンゼスは周回遅れをかわしながらの走行でハンドリングに苦しみ13位。加えてケンゼスは、ステージ2スタート前のコーション時、ピットロードでのスピード違反を取られ、28位までポジションを落としてしまった。
ステージ2もトゥルーエクス・Jr.とカイル・ブッシュ、ライバル車の間でのトップ争いが繰り広げられたが、トゥルーエクス・Jr.が2位。カイル・ブッシュは4位。ハムリンが6位。ケンゼスは14位まで戻してステージ2を終えた。
最終ステージへ向け、プレーオフ第1ラウンドで誰が脱落するか注目が集まるなか、脱落ラインから大きくポイント差を付けていたハムリンとケンゼスは、この時点で第2ラウンド進出が確定となった。
ステージ1、ステージ2ともに1回ずつしかイエローコーションの出ない展開となったこの日、ステージ3もコーションが出ないまま推移。最後まで走り切れる残り80周を切ったあたりからグリーンフラッグ下でのピット作業が始まった。
全車がピットを終えた残り50周あたりで、トゥルーエクス・Jr.が首位から4.6秒差の2位、カイル・ブッシュがそこから1秒差の3位につけていたが、ピットの調整で調子を取り戻したカイル・ブッシュが猛追を開始した。
352周目にトゥルーエクス・Jr.をかわして2位に浮上したカイル・ブッシュは、5秒近くあった首位との差をじりじりと詰めていき、残り20周でその差は1.6秒に。
周回遅れの処理でタイムをロスした首位の車両との差をさらに詰め、残り10周でコンマ5秒まで詰めると、最後はテール・トゥ・ノーズのバトルとなった。
前を行く若きライバルに、僅かながらタイヤの優位性を持って迫ったカイル・ブッシュは、残り2周でついに逆転。前戦に続く2連勝で今季4勝目を挙げた。
この勝利で、カイル・ブッシュはさらにボーナスポイントを獲得し、次戦からのプレーオフ第2ラウンドは、レギュラーシーズンにおけるプレーオフポイント(プレーオフに持ち越せる特別ポイント)の積み重ねがあるトゥルーエクス・Jr.に次ぐ2位で臨むこととなった。また、これでトヨタは今季のプレーオフ第1ラウンドの3戦すべてを制した。
そのトゥルーエクス・Jr.は4位でフィニッシュし、ランキング首位を維持。ケンゼスは11位、ハムリンはトラブルのため35位に終わったが、ともにプレーオフ第2ラウンドへの進出を決めた。
次戦第30戦は10月8日(日)、米国東南部ノースカロライナ州コンコードのシャーロット・モーター・スピードウェイで行われる。
ドライバー カイル・ブッシュ
「我々のトヨタ・カムリは序盤最高の調子とは言えなかったが、ピットストップのたびに調整を続け、チームの素晴らしい働きもあって最後はトップを狙えるまでになった。チームのおかげでヴィクトリーレーンに立つことができ、今日は素晴らしい一日になった」
「ここドーバーでは本当に久しぶりの勝利だ。ここはジミー(ジョンソン:シボレー。ドーバー通算11勝。今年の第13戦も勝利)が圧倒的に強く、勝つのは容易ではない。いつも彼が持って行ってしまうモンスターのトロフィーを、私自身幾つ目かはよく覚えていないが、新たにコレクションに加えられたのは嬉しい(カイル・ブッシュのドーバー勝利は2008年と2010年)」
「あとは次のシャーロットで勝つことだ。我々はまだあそこで勝っていないので、勝利リストに加えるべく、全力で次戦に挑む」
NASCAR XFINITY SERIES
第28戦 Drive Sober 200
開催日:9月30日
マット・ティフトが最後尾から追い上げ6位
9月30日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第28戦「Drive Sober 200」がドーバー・インターナショナル・スピードウェイで開催された。
エクスフィニティ・シリーズの終盤7戦でタイトルを争うプレーオフは2戦目を迎えた。トヨタ勢ではルーキーのマット・ティフトがこのプレーオフに進出し、4人が脱落する次ラウンドへの進出圏内につけている。
30日(土)午後2時52分、1マイルオーバルを60周、60周、80周の3ステージ合計200周(200マイル:約320km)して競われる決勝レースがスタート。
カップ・シリーズに今季からフル参戦、今大会はスポット参戦となった昨年のエクスフィニティ・シリーズチャンピオン、ダニエル・スアレツが2番手、同じく昨年の同シリーズルーキーチャンピオンで今季はカップ・シリーズ参戦中のエリック・ジョーンズが3番手からスタート。
ティフトは決勝直前の予選で23番手につけたものの、予選時にタイヤバーストに見舞われ、規定外となるタイヤ交換を行ったため最後尾に後退してレーススタート。また、5周目に発生したクラッシュに巻き込まれ、リヤバンパーを破損。幸運にもダメージは大きくなく、修復してレースに復帰した。
ステージ1はスアレツが3位、エリック・ジョーンズが5位。ティフトは猛烈な追い上げで16位でステージ1を終えた。
ステージ2スタート前のコーション時、エリック・ジョーンズはピットロードスピード違反を取られ30位へ後退。スアレツが上位を争うなか、ティフトも着実に順位を上げていき、90周目にはトップ10入り。ステージ2はスアレツが4位、ティフトは10位。
ステージ3のスタート後は、スアレツが3位争い。ステージ2終了時点で11位までポジションを上げていたエリック・ジョーンズは、185周目にタイヤトラブルで予定外のグリーンフラッグピット。ふたたび順位を落としてしまった。
終盤、ティフトは時に上位勢をも上回るペースで周回を重ね、トヨタ勢最上位となる6位でフィニッシュ。ランキングでもプレーオフの次ラウンド進出圏内の7位につけている。スアレツは7位でチェッカーを受けた。
次戦第29戦は10月6日(金)、シャーロット・モーター・スピードウェイで行われる。
ドライバー マット・ティフト
「レースを重ねるごとに様々なことにトライしている。レギュラーシーズン中、速さを見せることはできたが、アクシデントもあった。だから今はスマートに、着実に上位で走り続けることを心掛けている」
「今日は最後尾からのスタートだったので追い上げを強いられ、接触もあった。幸運にもダメージは深刻ではなかったので、レースを続けることができ、チームにとって素晴らしい一日になった」
「このまま着実なペースで来週のシャーロットも戦いたい。今年前半のシャーロット戦で我々はあまり良いレースができなかった。しかし、その後似たようなコースのシカゴで多くを学び、準備は整ったと思っている。きっと良いレースができるはずだ」
NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第18戦 Las Vegas 350
開催日:9月30日
ベン・ローズがキャリア初勝利!
クリストファー・ベルが2位
プレーオフ進出の若手2人がワン・ツー・フィニッシュ
NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第18戦「Las Vegas 350」が9月30日(土)に米国西部ネバダ州ラスベガスのラスベガス・モーター・スピードウェイで開催された。
トラック・シリーズも終盤の7戦で争われるプレーオフに突入。2戦目を迎えた。初戦ではトヨタ・タンドラを駆るクリストファー・ベルが勝利を挙げ、次ラウンド進出を決めている。
この週末、カップ・シリーズとエクスフィニティ・シリーズは3500km離れたドーバーで行われており、トラック・シリーズのみ米国西部ラスベガスでの単独開催。トヨタ勢は当初8名が選抜されるトラック・シリーズのプレーオフにベルとベン・ローズの若手2名、そして2度のチャンピオン経験を持つベテランのマット・クラフトンが進出。タイトルを狙う。
30日(土)決勝の直前に行われた予選では、カップ・シリーズで活躍するマーティン・トゥルーエクス・Jr.の実弟であるライアン・トゥルーエクスが自身シリーズ2度目となるポールポジションを獲得。ベルが4番手、クラフトン5番手、ローズが6番手と好位置からレースをスタートすることとなった。
午後5時20分、1.5マイルオーバルを35周、35周、76周の3ステージ合計146周(219マイル:約350km)して競われる決勝レースがスタート。1周目のバックストレートで、9番手スタートのマイアット・スナイダーが他車と接触し、スピン。早くもレースを終えることとなってしまった。
その後はイエローコーションの出ないままレースは推移し、ベルが3位、ライアン・トゥルーエクスが4位、クラフトンが5位、ローズが6位と着実にフィニッシュ。
ステージ2もスタート直後に多重クラッシュが発生、上位車両のシフトミスで後続が次々に突っ込んでいき、7台が巻き込まれた。トヨタ勢ではノア・グラッグソンが車両にダメージを負ったが、プレーオフ組はこれを回避。
このアクシデントからの再スタートではベルがリードしたが、61周目にローズがこれをかわし首位に浮上。ステージ2を制した。ベルはローズに追いつけず2位。ライアン・トゥルーエクスが4位、クラフトンが5位。
ステージ3は無給油では走り切れない周回数のため、各チーム様々な戦略で戦われることとなった。序盤はピットインをずらしたグラッグソンが首位に立ったが、その後ベルが首位を奪還。
各車グリーンフラッグストップを経て、そのままレースが終わるかと思われたが、残り15周を切った132周目にクラッシュ車両によりイエローコーション。残り7周で再スタート。
この再スタートで好ダッシュを決めたローズが首位に立ち、その後方での3ワイド、4ワイドバトルを抜け出したベルが追う展開に。ベルはファイナルラップにはテール・トゥ・ノーズまで迫り、逆転を狙ったが、僅か0.066秒差でローズが逃げ切り、悲願の初優勝。
前戦勝利を挙げたベルに続き、プレーオフ次ラウンド進出を決めた。ベルが2位で続き、20歳のローズ、22歳のベルと、トヨタ・タンドラを駆る若手ドライバーがワン・ツー・フィニッシュを果たした。
クラフトンも7位でチェッカーを受け、ランキング3位をキープ。次戦終了時点で8名中下位2名が脱落するプレーオフ次ラウンド進出へ向け好位置につけている。
次戦第19戦は10月14日(土)に米国南部アラバマ州タラデガのタラデガ・スーパースピードウェイで開催される。
ドライバー ベン・ローズ
「どうやったのか分からないが、(ベルを抑えるために)覚えている限りのあらゆるテクニックを使った。追い上げてくる彼(クリストファー・ベル)との距離を保てば逃げ切れると分かっていたが、彼は再三にわたってアタックしてきた」
「これまでのレースの中でもっとも緊張した瞬間だった。最後は無線で叫んでしまった。私の人生において最高の瞬間だ。ヴィクトリーレーンに上がって、これまで苦労してきたことも全て吹き飛んでしまった」
「これで次ラウンドに進めたので、最終戦ホームステッドまでタイトルを争えるよう戦う。我々のチームにはその力があるということが証明できた」