F1マレーシアGPではルイス・ハミルトンが2位でフィニッシュしたものの、メルセデスのトップであるトト・ウォルフにとっては気勢の上がらない1日となった。
決勝ではフェラーリのセバスチャン・ベッテルが最後尾グリッドからのスタートとなり、チームメイトのキミ・ライコネンはトラブルでスタートすらできなかった。それにもかかわらず、バルテリ・ボッタスはセパンでのレースを5位で終えるのがやっとだった。
ウォルフは、この順位は決勝でのペースを正しく反映した結果だと捉えており、レース後にイギリスのSky Sports F1に対して以下のように述べた。
「とにかくひどく落ち込んでいる。結果だけを見て、フェラーリよりもポイントを多く稼げたなどと言っている場合ではない。今日の実際のペースは5位相当だ。これはやっかいな問題だ」
ウォルフはさらに「この週末、我々のペースは著しく落ちた。フェラーリよりも30秒遅かったし、仮にマックス(・フェルスタッペン)が最後までプッシュし続けていたら、おそらく彼からも30秒は遅れていたはずだ」と、困惑した様子で続けた。
ウォルフにとって最大の悩みは、ライバルたちよりもペースが落ちたことに対して、チームとして明確な解決策を見つけ出せずにいることだ。
「もしそれが分かっていたら、かなり楽になるだろう。多くのコースで非常に速いマシンであるにもかかわらず、タイヤがオーバーヒートしただけで、なぜあれほどまでペースを失ってしまったのだろうか?」と、ため息まじりにウォルフは言う。
「温度はサーキットごとに異なるものだ。マシンのセットアップと、全般的な走りのパターンが関係しているだろうことは明白だ」
しかしウォルフは、問題が『W08』底面の、地面に対する傾斜角度と関係しているのではないかとの投げかけは即座に否定した。メルセデスは、より急なレーキ角のデザインを好むライバルたちと比べて、マシンの底面が平らなことで知られている。
「マシンに急なレーキ角をつけるというのは、もう長い間続いている彼らの考え方だ。我々にはその考え方はないが、それでも昨シーズンには19勝をあげ、今シーズンも9勝している」
「我々は多くの疑問を抱えた状態でマレーシアを離れることになった。今後、数日ないし数週間でそれらに対する答えを探り出さなければならない。我々が着実に前進を続け、今シーズンの残り4分の1のレースを先頭で走り続けるためにね」
「今の我々に必要なのは、うろたえないこと。全員で冷静に思考して、データの分析を試みることだ」
しかし次戦の日本GPは間近に迫ってきており、チームがマレーシアGP後のデータ分析を行うための時間は、あまり多くはない。
「鈴鹿では何が起こるだろうか。分析し、理解する時間は2~3日ある。鈴鹿は(マレーシアとは)コースも気候もまったく違う。レースまでにはより多くを把握できるだろう」
「マレーシアのレースではいくつかの疑問点が生じた。実際のペースより、もっと速く走れるはずだった。だが鈴鹿では想定外の事態はあまり起きないだろう」
「現時点で我々が優先させるべきは、同程度に競争力のある2台のマシンを次の週末に走らせること。簡単に言えばアブダビGPをトップで終えるために、我々の目の前にはやるべきことがまだたくさんあるということだ」
「今は点と点をつなぎ合わせていく」とウォルフは語り、マレーシアのレースについても、じきにその良い面について考えられるようになると言う。
「ペースの問題さえ整理できたら、それから24時間以内には獲得できたポイントについて考え始めるだろう」
「(我々は)多くのポイントを獲得し、両選手権でのリードをさらに広げることができた。著しくパフォーマンスに欠ける週末を終えた後で、これほど良い成果が得られるとは思ってもいなかった」
「(だが)今回ラッキーだったからといって、次の週末も同じかもしれないという油断は禁物だ」