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山野哲也、“世界一のMX-5使い”目指しラグナセカへ。「カリフォルニアは思いが強い地」

2017年10月03日 15:22  AUTOSPORT web

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グローバルMX-5カップ・ジャパンのチャンピオンを獲得した山野哲也
2017年4月に日本上陸を果たした『GLOBAL MX-5 CUP JAPAN』。その最終戦が9月24日に富士スピードウェイで行われ、山野哲也(CABANA Racing)が初代チャンピオンを獲得。10月にアメリカ・カリフォルニア州のラグナセカ・レースウェイで行われる世界一決定戦への切符を手にした。

 グローバルMX-5カップは、世界共通のMX-5カップカーを使い、統一ルールのもとでレースを実施。各地域のシリーズチャンピオンはアメリカ・カルフォルニア州のラグナセカで行われる世界一決定戦『2017グローバルMX-5カップ チャレンジ』に出場し、この場で世界一のMX-5使いが決められる。

 スーパーGTで3年連続チャンピオンとなった実績があり、今年、JAFは全日本ジムカーナ選手権で前人未到の17回目のチャンピオンを獲得した山野は、このグローバルMX-5カップ・ジャパンにCABANA Racingから参戦すると、第1戦SUGO、第2戦鈴鹿で連勝。第3戦もてぎは全日本ジムカーナ出場のため欠場したが、第4戦岡山では3位表彰台を手にし、チャンピオンに王手をかけた状態で最終戦富士に臨んだ。

 迎えた最終戦、シリーズチャンピオンを獲得する可能性を残した山野と今村大輔(KIMInternational)や佐々木孝太(KOTA RACING)ら強豪ドライバーたちは予選から激しい攻防を繰り広げられた。

 富士スピードウェイはスリップストリームが効きやすい上、このMX-5はベテランの山野も「過去乗ってきたクルマのなかで1番(スリップが)効く」と表するマシン特性を持つことから、全車がライバルのスリップを使おうとライバルの出方をうかがう展開となったのだ。

 コース上の各車が他車の出方をうかがい“超スロー走行”するなか、山野はライバル勢に先駆けてアタックする素振りを見せてライバルをかく乱。こう着状態に陥っていた予選をかき回すと、2分2秒687のベストタイムを記録。2番手の今村をわずか0.087秒差で抑えてポールポジションを獲得してみせた。

 決勝レースでは、序盤に今村が佐々木との接触から緊急ピットインを余儀なくされたこともあり、山野はチャンピオン獲得を念頭に危なげない走りを披露。終盤には吉田綜一郎(KOTA RACING)とクリーンなバトルを演じてファンを魅了しながら2位でチェッカー。見事、シリーズチャンピオンに輝いた。

「(第4戦から最終戦までの)2カ月のインターバルでクルマをリフレッシュし、テスト走行もマメにこなしました。ここで見出したセッティングなどがあり、こういったチームとしての努力が予選でコンマ数秒差を生み出しました」と山野。

「決勝も安定して走れる仕様に(マシンを)改善できていました。最終戦に対する気合が半端なものではなかったことが勝因だと思いますね」

 シリーズチャンピオンに輝いた山野は、10月12~14日にラグナセカで行われる『2017グローバルMX-5カップ チャレンジ』への切符を獲得。世界一の座を賭けて渡米する。

 そんな山野にとって、ラグナセカがあるカリフォルニアは「思いが強い」場所だという。

「初めてクルマの免許を取ったのがカリフォルニアなんです。父親の仕事の関係で15歳の終わりで渡米して20歳までロサンゼルスに住んでいたんですよ。生まれて初めてクルマに乗ったカリフォルニアという場所で、自分自身初の(北米での)レースを戦うために帰れることに縁を感じますね」

「そこに世界一決定戦というタイトルもかかっています。(今年)日本で始まったグローバルMX-5カップ・ジャパンのチャンピオンとして、世界一決定戦に招待されるという点も不思議な縁を感じます」

「また、どちらかと言うと確実にチャンピオンを獲ってきたので、アメリカの地はチャレンジになるなと思います。ラグナセカという有名なサーキットを走れること自体が楽しみですが、僕自身ラグナセカを走ったことはありません。パイクスピークには参戦しましたが、そもそもアメリカでレースを戦ったことがないんです」

「グローバルMX-5カップはアメリカが本場といえるので、チャレンジャーとして、自分の技量を世界のドライバーの前で試しつつ、カリフォルニアという場所を楽しんできたいと思います」

 レーシングドライバーとしてだけでなく、車両やタイヤの開発、ドライビングスクール講師としても、日本のモータースポーツ文化を支えている山野。世界一のMX-5使いという名誉をかけた戦いに挑む山野の戦いに期待したい。