RACEREPORT
Round.8 OKAYAMA/JSB1000
9月30日(土)公式予選
岡山大会開幕。高橋裕紀は今季最高グリッド2番手、清成龍一もセカンドロー:5番グリッドから明日の決勝レースに臨む
全日本ロードレース第8戦「スーパーバイクレースin 岡山」が岡山県・岡山国際サーキットで開幕した。コースは全長3,703m。メインストレート(約600m)とバックストレート(約700m)を合計13の中低速コーナーで繋ぐテクニカルサーキット。
昨年末に路面補修が行われ、従来の低μ路面から改善された。レースウイークの一週間前の事前テストでMORIWAKI MOTUL RACINGは好感触を得ており、その流れのまま岡山入りした。
レースウイーク初日の金曜日、高い青空の清々しい気候の中ART合同走行が開催された。 高橋は確認を繰り返しながら24周を走行、1分29秒567をマークして5番手、2本目は1分29秒267を出し総合7番手につける。
清成龍一は、マシンセットの確認に時間を要し思うように周回できず1分30秒001と29秒台に入れることができず総合11番手であった。清成は予選・決勝に向けて再度セットを組み直す。
迎えた公式予選も朝からカラリと気持ち良い晴天。予選はノックアウト方式が採用された。全車走行する40分間のQ1走行でエントリー39台から10台に絞り込む。11番グリッド以下はQ1の結果で決まる。Q2は上位10台による20分間のタイムアタック。Q2でポールポジションから10番グリッドが決定する。
高橋は早くも3周目に1分29秒181までタイムを刻む。一度ピットに戻り各部をアジャストして再度コースイン。決勝レースを見据えた20周のロングランを走行、安定して29秒台のラップで走行してQ2進出を果たす。
ART合同走行後のセットアップに好感触を得た清成は乗り出してすぐの2周目に29秒台に入れる。2回ピットインをして各部をアジャスト、最後のラップに1分29秒312をマーク。9番手でQ1を終え、MORIWAKI MOTUL RACINGは2台ともQ2進出を果たす。
Q2は15分間のタイムアタック。高橋は新品タイヤでコースイン、2周目にこの週末ベストの28秒台、1分28秒459に入れる。そのタイムが本人も驚く予選2番手となり今季最高グリッドのフロントローを獲得する。高橋はその後も28秒台で周回を重ね、明日の決勝への手応えを感じる。
清成のQ2は29秒台でラップした後、新品タイヤに交換してタイムアタックを行う。28秒台に入れる1分28秒676のレースウイークベストをマーク、5番グリッドを獲得する。
好感触を得たMORIWAKI MOTUL RACINGは、高橋:フロントロー、清成:セカンドローの好ポジションから明日の決勝レースに臨む。
高橋選手コメント
「予選2番手なんて獲れるとは思っていなかったので驚いています、もちろんすごく嬉しいです。今大会は事前テストがありましたのでかなりセッティングが決まりました」
「しかし決勝用タイヤが昨日のART合同走行までに決まらなかったので、今日の予選は決勝レースのシミュレーションを想定して走りました。Q2に残れれば少し柔らかめのタイヤを履いて(Q1より)ポジションアップを図る、ということは事前に決めていましたが、ここまで順調に進むとは思いませんでした」
「今回、ブレーキのパーツを一部替えたこともあり、良く曲がり、よく止まりました。チーム、ピレリさんがここまでの車体、タイヤを用意してくれたからだと感謝しています」
「明日の決勝レースはこの順位のゴールは難しいとは思いますが、ひとつでも順位を上げられるように全開で挑むつもりです」
清成選手コメント
「事前テストで新しいセットアップを試みてこの方向でいけそうという可能性を見つけたのが(テスト)二日目でした。レースウイークに入るとフィーリングが違い、金曜日のART合同走行はセットアップに時間を使いましたが、堂々巡りのような状態に陥ってしまいました」
「レースの現場に入っているのでできることは限られていて、フロントのセットアップを変えてみようと昨日のART合同走行後にチームが必死に詰めてくれました」
「金曜日まではどう頑張っても30秒台中盤だったのにQ1ではいきなり29秒5に入り、最後に29秒3までタイムアップ、それはチームの頑張りのおかげだとすごく感謝しています」
「Q1でコースに出て行った際に、明らかに“フィーリングが良くなっている”と感じました。バイクは良い方向に仕上がってきているので明日の朝フリーで再度アジャストして、セカンドローと言う好ポジションなのでスタートを決めて上位入賞を目指します」
10月1日(日)決勝レース
MORIWAKI MOTUL RACING最高峰クラス復帰後初めての表彰台。高橋裕紀が3位表彰台! 清成龍一も8位フィニッシュ
全日本ロードレース第8戦「スーパーバイクレースin 岡山」の決勝レースが開催された。このレースウイークは好天に恵まれ、決勝日も雲が多いながらも晴天。大勢の二輪レースファンがサーキットに訪れた。
朝のウォームアップ走行、太陽が陰った分路面温度が上がらず、決勝レース用のタイヤをどうるすか判断を迫られた。
高橋は予選で履いたタイヤよりも低い路面温度に適したタイヤを選択、清成はタイヤを変えずに臨むことにする。高橋1分29秒378、清成1分29秒383とほぼ同一タイムで5番手、6番手につける。
決勝レーススタート。高橋はアウト側に目一杯振って第1コーナーに2番手で進入する。清成は抜群のスタートを決め高橋に続いて3番手で第1コーナーに進入、そのままオープニングラップをMORIWAKI MOTUL RACING2番手、3番手で通過する。
高橋と清成は2周目に早くも28秒台に入れ、高橋:1分28秒859、清成:1分28秒815のレースベストをたたき出し、トップの中須賀選手と遜色のないタイムで周回する。7周目まで高橋、清成のアベック走行を続けるが、この頃から清成はチャタリングに苦しめられ始め、ペースを上げられない。
高橋はタイヤのグリップがいつまで保つのか確証が持てないなか、29秒フラットに近いタイムでタイヤをいたわりながら、でも攻めて走るという非常に難しい走行を演じる。
さらにレース中盤以降バックマーカーを避けながらの走行となりラップタイムはさらに上げづらくなる。そこへヤマハファクトリーの野左根航汰選手が後方から追い上げてきて18周目の第1ヘアピンで先行を許して3番手となる。
清成はチャタリングに悩まされながらも29秒台中盤で走行を続けるが、終盤には30秒台までペースダウン、悔しい8位でフィニッシュとなる。
高橋は、レース終盤、タイヤを大きくスライドさせてもラップタイムが大きく下がらないことを把握すると、その走行法で周回を重ね、そのまま3位でチェッカー!最高峰クラスに復帰してから初めての表彰台をMORIWAKI MOTUL RACINGにもたらした。
残すのは最終戦のみ。MORIWAKI MOTUL RACINGの地元である鈴鹿サーキットで有終の美を飾れるようにライダー、メカニック、チーム一丸となってマシンの更なる開発を行う。
高橋選手コメント
「本当に嬉しいです。予選は柔らかめのタイヤを使って出したタイムでしたので決勝レースタイヤでどこまで保つのか見えませんでした」
「しかも今日の路面温度では使えないことがハッキリしたので路面温度が低めでも機能するタイヤに変更しましたが、どんなタイムで走れて、どこまで保つのかが未知の世界で臨みました」
「スタートは上手く決まって中須賀選手の後ろにつけました。せっかく良い位置にいるので自分にできる最高のタイムで走ることに集中しました。途中、野左根選手に追いつかれた時点ではミスしないように最大限の走りで走っていましたがそれ以上ペースを上げることができなかったので抜かれてしまいました」
「レース中盤から終盤にかけてリアタイヤのスライドが大きくなりましたがコントロール制が高かったので良いラップタイムで走れました」
「今回の表彰台は、最後まで保つタイヤを用意してくれたピレリさん、そのマシンセットを詰めてくれたメカニック、チーム、ブレーキのニッシンさん、そしてホンダさん、全ての人たちのおかげだと感謝しています。次戦鈴鹿はモリワキの地元ですのでさらに頑張ります」
清成選手コメント
「非常に厳しいレースでした。余裕がないなかで走っていたのですが想像以上に廻りのペースが速く追いつけませんでした。さらにチャタリングが出始めてからはラップタイムペースを上げられませんでした」
「8位と言う結果には全く満足していませんが非常に苦しいレース展開のなかでここまで走れたことに対しては充足感はあります。同じチームメイトの高橋選手が表彰台に上がったことは非常に嬉しく思いますが、反面自分が先ず登りたかった、との悔しい思いもあります」
「今回の厳しいレースは事前テストで選択したセットアップの方向性を自分が間違えてしまったことが原因です。そのような状況のなかでここまでマシンをまとめてセットアップしてくれたチームには感謝しかありません」
「岡山で出てきた課題の解決の方向性は見えたのでそこをクリアすればマシンはもっと良くなると思います。最終戦はモリワキの地元でもあるので納得のいくレースができるように自分自身をもっと鍛えます」
RACEREPORT
Round.8 OKAYAMA/J-GP3
9月30日(土)公式予選
3ヶ月ぶりの大会。成長した栗原佳祐、ポールポジション獲得!
全日本ロードレース第8戦「スーパーバイクレースin 岡山」が岡山国際サーキットで開幕した。前戦オートポリス大会から約3ヶ月ぶりのレース。前戦はマシンセットと自分の走りに課題が露呈し、思うような成績が残せなかったが、この3ヶ月間、厳しいトレーニングを課して心身ともに鍛錬を続けた。
そして、今大会からモリワキオリジナルマシン:MORIWAKI MD250を投入。その効果は事前テストで現れ、最終日に1分37秒349をマークしてトップに立った。
気持ち良い秋晴れのレースウイーク金曜日にART合同走行が開催された。1本目の走行ではタイヤテストを中心に走行、15周を走行して1分38秒227のベストタイムで5番手につける。
タイヤを決めた午後の2本目ロングを意識しつつの走行ながら37秒台に入れる1分37秒350で総合2番手につける。
迎えた公式予選も朝からカラリと気持ち良い晴天。序盤、トラフィックに遮られ43秒台で走行するが5周目に1分37秒325に入れ、トップから0,045秒差の2番手にポジションアップする。
しかしトップは36秒台に入れてその差は開いてしまう。 7周を終えたところでピットイン、前後タイヤを交換してふたたびコースイン。2周後に1分37秒4に入れると翌周のセクター2で区間最速の40秒9をマーク、コントロールライン通過のタイムは1分36秒635! このタイムで栗原はモリワキクラブ移籍後初のポールポジションを獲得した。
栗原選手コメント
「オートポリス後、高橋裕紀選手、清成龍一選手が行っているトレーニングに参加させてもらいました。噂には聞いていましたがここまで苦しいとは思いませんでした」
「そこで自分をギリギリまで追い込むことができ、東京に戻っても同じようなトレーニングを課してこの3カ月間、岡山に向けた準備をしてきました。前半戦の走りをチームが評価してくれたので今回からMD250投入に至りました」
「イチからセットアップを詰めなければならない不安と期待が入り交じった気持ちで事前テストに臨みましたが不安はすぐになくなりました。シーズン前半、“悪いところをどうやったら速く走れるようになるのか考えてみろ”という森脇緑さんのアドバイスのおかげで“考えて走る”ことができるようになり、それがスムーズにMD250へ乗り換えができた要因だと思います」
「そして今回から森脇尚護さんが付いてくれることになりました。尚護さんのレーシングライダーの視点からのアドバイスはとても的確でマシンセットも思った通りの方向に詰めて下さいます」
「このようなチームからの恩恵にポールポジションという形で応えることができて良かったとほっとしています。明日の決勝レースは序盤からプッシュしていきたいと思います」
10月1日(日)決勝レース
モリワキクラブ栗原佳祐、初優勝をポール・トゥ・ウィンで飾る!
全日本ロードレース第8戦「スーパーバイクレースin 岡山」の決勝レースが開催された。 岡山大会は天候に恵まれ、決勝日の朝も雲が多いながら晴天のレース観戦日和となる。ポールポジションを獲得した栗原は、朝のフリー走行を1分38秒141のタイムで2番手につける。
スタートディレイにより1周減算の18周による決勝レースがスタートした。
栗原はやや遅れて3番手で第1コーナーに進入する。しかしすぐさまアトウッドコーナー進入で2番手に浮上しオープニングラップを2番手で通過すると、2周目の1コーナー進入でトップに立つ。
しかし3周目のホームストレートでストレートスピードに勝るKTMのマシンにかわされ2番手にポジションダウン。
栗原のラップタイムは1分37秒後半から38秒1、トップを走る古市選手よりコンマ1~2秒遅れ、その差がなかなか詰まらない。しかも先頭集団は8台のパックとなる混戦。
しかし栗原は混戦のなかでの闘いを得意としており、パッシングの機会を窺っていた。5周目にベストタイム1分37秒698を出すと、6周目もトップよりコンマ1秒速いラップタイムで走行して7周目のホームストレートでトップに立つ。
翌周の第1ヘアピンでトップを奪い返されるものの冷静にホームストレートでふたたびトップを奪い返すと、その後は37秒台後半から38秒フラットのペースでトップを守りながら走行、モリワキクラブに移籍後の初優勝をポーリ・トゥ・ウィンで飾る。
初優勝を獲得した栗原であるが内容に満足はしていない。MD250を投入してポテンシャルは向上した。ダンロップタイヤは序盤にプッシュできる強みがある、その利点を活かしきれず後続を引き離して勝つことができなかった。
この課題を解決して最終戦鈴鹿では納得いく勝利ができるように栗原もチームも一丸となって臨む。
栗原選手コメント
「優勝できたことは素直に嬉しいです。チームが自分を勝たせるためにモリワキオリジナルマシンMD250の投入と森脇尚護さんをつけてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいです」
「しかし、レースの内容は全然納得いっていません。1分37秒でラップできるほどの持ちタイムを持っていたのですが後半でペースダウンするならまだしも序盤で持ちタイムに近づけることができませんでした」
「その原因は自分が以前から抱えている課題です。自分は混戦の中で闘うのは得意だし勝てる自信はあるのですが、前に出てから引き離すことができない、これはずっと前からの課題です。『引き離さなければ』という思いが強いのか、ブレーキングでミスをする、突っ込み過ぎる、当然立ち上がりが遅れる、すると後続が近づいてくる、この繰り返しで今回も自分との闘いに負けてしまいました」
「また、ダンロップタイヤは序盤にプッシュできる強みがあるのにそれを活かしきれませんでした。それも自分の課題が原因です」
「昨日(9月30日)は森脇社長の誕生日だったので優勝と言うカタチでは恩返しをできましたが内容が伴っていないので次戦鈴鹿では内容を伴った優勝をプレゼントしたいと思います」