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女性アイドルグループの客層変化を反映? 女性ファン向けのメイク企画や衣装試着の取り組みも

2017年10月03日 10:02  リアルサウンド

リアルサウンド

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 AKBグループや欅坂46、乃木坂46などをはじめとする女性アイドル。その人気ぶりは一過性のブームではなく一つのジャンルとして確立したものとなっており、彼女たちを応援する客層にも変化が起こっている。現在、メンバーと同世代の女性ファンが急増しているのだ。近年ではライブにおいてグループのコスプレを楽しむ女性ファンも珍しくなく、ライブや握手会などで女性ファンを見かける機会も増えた。そういった客層にむけ、各グループがあらゆる施策を行うケースが目立っている。


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 王道、定番の取り組みといえば、女性限定の座席やエリアを作ったり、女性限定ライブを開催するというものだろう。HKT48/STU48の指原莉乃や松岡茉優など女性芸能人にもファンが多いハロー!プロジェクトのライブでは女性専用席に加え、着席が義務付けられているファミリー席を設置。ライブビューイングを行なう公演も多く、初心者も参加しやすくなっているのが特徴だ。


 モッシュが激しいことでも有名な“楽器を持たないパンクバンド”ことBiSHのライブでは、以前から女性限定エリアを設置するなど、誰もが安全に楽しめるよう考えられた取り組みが行なわれている。さらに11月からは女性限定ツアー『BiSH About a Girl Tour』、学生限定ツアー『BiSHの学園天国 Tour』を開催する予定だ。


 またファッション誌などでモデルとして活躍するメンバーも多い、乃木坂46と欅坂46では通常のライブはもちろん、全国握手会のミニライブでも女性・児童/保護者エリアを設置。さらに人気メンバーのレーンは10時間以上待つほど長蛇の列となり、お手洗いに行きづらいという声も聞かれる握手会では女性優先レーンを導入し、女性も気軽に足を運びやすくなるような工夫が施されている。


 この他にも女性アイドルのライブやイベントでは新たな取り組みが目立つ。SKE48ではAKBグループとして初めて、衣装を着て記念撮影できる「女性限定参加企画! メンバー衣装(実物)を試着&記念撮影出来ちゃいますコーナー」を新作の発売イベントにて実施した。大場美奈が発案した同コーナーでは、開催日によって異なる衣装を準備。女性ファンにとってアイドルの煌びやかな衣装は憧れであり、実際に衣装を着られる機会は貴重なものだ。自分自身で好きなグループの衣装に似せたものを作るのも楽しいが、実物を着るのはまた違った喜びがあることだろう。


 そして特筆したいのはNMB48による施策。ソロシンガーとしての活躍も好調な山本彩や「アカリンの女子力動画」でYouTuberとして人気を博す吉田朱里、ファッションコーディネートサイト・WEARでフォロワー数30万人を突破する村瀬紗英など、女性人気の高いメンバーが多く所属するグループとあって、女性向けの取り組みも充実している。3月に行なわれたイベント『NMB48「誰かのためにプロジェクト」』では吉田によるメイク企画、東由樹による写真展など、メンバーそれぞれの趣味や特技を生かしたコーナーのほか、女性限定でアイドル風ヘアアレンジを体験できるブースが登場。アイドルのヘアアレンジやメイクはファッション誌で特集が組まれることもあり、メンバーのヘアメイクを参考にする女性も多いはず。ファンならずとも嬉しい企画だろう。


 そして9月に開催された横浜アリーナ公演では一部で動画撮影を可能にしたほか、初の女性専用エリアを設置(公式発表では9000人中1800人が利用とのこと)。同公演には多くの女性ファンが詰めかけたことからも、女性層の支持の厚さと女性に向けた新たな施策のニーズが窺える。


 近年は水着姿を全面に打ち出した写真集ではなく、吉田の『NMB48 吉田朱里 ビューティーフォトブック IDOL MAKE BIBLE@アカリン』のようにメイクやファッションページが充実した“フォトブック”を発売するアイドルグループのメンバーも増えている。より多くの人々が憧れる、開かれた存在へーーアイドルのあり方は今、変革の時を迎えている。(村上夏菜)