トップへ

世界ラリークロス:骨折のソルベルグQ3、Q4最速も及ばず。エクストロームが4勝目

2017年10月02日 19:02  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

負傷を押してVWの地元となるドイツ戦へのエントリーを決めたペター・ソルベルグ
WorldRX世界ラリークロス選手権の第11戦ドイツ・ラウンドが9月30日~10月1日に開催され、2016年度王者のチームEKS、マティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクワトロ)が意地の今季4勝目をマーク。アウディの地元ドイツでワークスチームとしての面目を保った。

 元チャンピオンの勝利で終わったエステリングの週末だが、それ以上の注目点となったのは、怪我を押しての出場となったPSRXフォルクスワーゲン・チーム・スウェーデン、ペター・ソルベルグ(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー)のドライビングだ。

 WorldRXで2度の世界王座獲得経験を持つソルベルグは、前戦ラトビアでのセミファイナルで地元ドライバーとの接触からクラッシュ。鎖骨に加え、左肋骨下部2本も骨折し、肺にも損傷が及ぶという大怪我を負った。

 その2週間後の開催となったこのドイツ・ラウンド自体への出場も危ぶまれるなか、ソルベルグは選手権登録外ドライバーとして参戦を決意。代わりに、このドイツ戦でPSRXからのスポット参戦が決まっていたディーター・デッピングをレギュラーエントリーに据えた。

 このレースウイークの月曜には鎖骨を固定する緊急手術を受け、エステリングに乗り込んできたソルベルグは、ポロGTI RXスーパーカーのステアリングを握ると、チームや関係者の見守るなか、いきなり普段通りのスピードど披露。予選ヒートのQ3、Q4でトップタイムを記録するという離れ業を演じ、その勢いのままセミファイナルもトップ通過を果たした。

 しかし、万全ではない体調が影響したか、ファイナルでは1コーナーでワイドになり、最終的には4位フィニッシュで表彰台にあと一歩というリザルトとなった。

「この週末のために本当に多くの準備をしなくちゃならなかったよ。特製のボディアーマーをレーシングスーツの下に着込んで、少しでも骨折部分のサポートができるように対策した」と、レース後に語ったソルベルグ。

「それでも、やはり少し怖さはあった。誰かが後ろから突然に突っ込んでくるリスクはつねにあるわけだからね。でも幸いにして、2度ほど小突かれはしたけど、大事には至らなかったよ(笑)」

「本音を言えば勝ちたかったけど、この週末に僕らが達成したことは、僕や家族、そしてチームにとってはほとんど勝利みないなものだ」

 一方、昨年のこのイベントでWorldRXのドライバーズタイトル獲得を果たしたエクストロームは、ペター不在のファイナルでチームメイトとともに表彰台に上がったことを喜んだ。

「今季4勝目をこうして(3位に入った)トピ(・ヘイキネン)とともに表彰台で祝えるのは最高の気分だ。これで最終戦を残してドライバーズランキング2位のペターに1ポイント差に迫ることができた。初めての南アフリカ、ケープタウンでのイベントを楽しみにしている」

 そのアウディ2台に挟まれる形で2位表彰台を獲得したのは、チーム・プジョー-ハンセンのティミー・ハンセン(プジョー208WRXスーパーカー)で、第4戦ベルギー以来の表彰台に。

 対して、今季のドライバーズタイトルを決めているPSRXヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカー)と、そのベルギー戦以降全戦でファイナル進出を続けていたセバスチャン・ローブ(プジョー208WRXスーパーカー)は、いずれもファイナル進出を逃す波乱となった。

 2017年のWorldRX世界ラリークロス選手権は、11月10~12日に初開催となる南アフリカ、ケープタウンでシーズン最終戦を迎える。