2017年F1第15戦マレーシアGP決勝トップ10に入ったドライバーたちがレースを振り返った。
■レッドブル・レーシング
マックス・フェルスタッペン 決勝=1位
今日優勝できて最高の気分だ。序盤からペースがすごくよかった。ルイス(・ハミルトン)がトラクションに苦労していることが分かったので、チャレンジした。バッテリーパワーをすべて使ってオーバーテイクしたんだ。
彼はタイトル争いをしているから、リスクはあまり冒さないと分かっていた。だから思い切って攻めた。ルイスの前に出るとすぐに、自分がレースをコントロールできると分かった。マシンは好調で、ソフトタイヤでのペースは予想以上によかった。
身体的にすごくきついレースで、マシンの中は本当に暑かった。その上、今週はあまり体調がよくなかったんだ。それでもなんとか走り切ることができた。
シーズンの残りのレースがどうなるのか、予想はできないが、マシンを向上させていくつもりだ。見通しは明るいよ。
この勝利を基盤にして、今後のレースのなかでさらに進歩していくことができるだろう。それが来シーズンへのいいスタートにつながる。
昨日は僕らが決勝でこれほど速いとは思っていなかったし、勝てるなんて予想していなかった。本当にハッピーだ。
(ハミルトンに対するオーバーテイクについて聞かれ)最終コーナーをすごくいい感じで立ち上がることができて、イン側のラインを取った。彼はタイトルを争っているから、僕よりも失うものが大きい。それを分かっていたので、少し余分にリスクを冒した。あれが僕にとって唯一のチャンスだったからだ。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
ルイス・ハミルトン 決勝=2位
金曜を終えた段階で予想していたよりはずっといい週末になった。マシンに問題を抱えていたことを考えれば、いい結果だよ。
とはいえ、このマシンを改善するため、努力する必要がある。一部のコーナーでは問題がより深刻だった。このマシンが持つ問題を解決するという点で、次の数戦は重要になるだろう。
レース序盤にはディレートの問題が出て、バッテリーパワーの面で苦労していた。バルテリ(・ボッタス)の方が大変だったみたいで、僕の方はまだましだった。
もちろん優勝したかったよ。毎回レースで走る時は勝つことを目標にしているからね。だから2位だと大満足とは言えない。
でも今日は世界選手権を制することを考えて行動した。そのためには1点1点が重要になってくる。
今日は明らかに彼ら(レッドブルとフェラーリ)の方が速かった。今週末、僕らには十分なペースがなかった。フェラーリの方が少なくとも0.8秒は速かったし、レッドブルは0.5から0.6秒僕らより速かったと思う。だから僕にできることはほとんどなかった。
マックス(・フェルスタッペン)が後ろから近づいてきた時、決断しなければならなかった。彼が僕に突っ込んでくるリスクを避けるため、彼と戦わないという決断だ。
彼は全力で攻めてくるだろうと思った。失うものはないからね。でも僕の方は失うものが大きい。だから彼に対してあまり強硬な姿勢はとらなかった。
■レッドブル・レーシング
ダニエル・リカルド 決勝=3位
今日のレースは楽しかった。最初は2位でフィニッシュできるかも、と思っていたが、ピットストップを終えた後は、3位をなんとか守り切ることに集中しなければならなかった。後ろからセブ(ベッテル)が近づいてきたからだ。
僕のポジションは危険にさらされていたけれど、全力で戦うつもりだった。ところが彼が仕掛けてきたのは一度きりだった。僕に追いつくまでにタイヤを使い切ってしまったのかもしれないね。一度仕掛けた後、問題を抱えていたんじゃないかな。
正直言って、終盤までもう少しバトルをしたかった。そしたらもっとエキサイティングなレースになったのにね。最後の数周は単独走行になってしまったんだ。
チームにとって、ふたり揃って表彰台に上がれたのはすごくポジティブな結果だった。マックス(・フェルスタッペン)はすごいことをやってのけたし、いい走りをしていた。優勝おめでとうと彼に言いたい。週末を通して彼は強力だった。
ここではマシンでいくつか試したものがあるんだけど、次の鈴鹿でもトライするつもりだよ。ハイダウンフォースサーキットでは僕らは有利に戦えるだろう。
勝てなかったときには、もっといい結果を出したかったと思うものだ。特にチームメイトが勝った場合にはね。でも僕は今日はそれほどがっかりしていないんだ。
唯一残念だったのはスタートだ。バルテリ(・ボッタス)はアウト側を選んだ。そっちのラインの方がよかった。イン側は最終的にはベストな選択ではなかった。コンサバすぎたね。
■スクーデリア・フェラーリ
セバスチャン・ベッテル 決勝=4位
気持ちは今も楽観的だよ。僕らのマシンは速いということを知っているからね。もちろん、キミ(・ライコネン)がスタートできなかったこと、僕がグリッド最後方からスタートしなければならなかったことは残念だった。なんとか表彰台争いに加わろうと、必死にプッシュしたけれど、終盤、タイヤがだめになってきて、そこまで行くことはできなかった。
それでもマシンが優れていると確認できたことは心強い。今週末、キミも僕もトラブルに見舞われたとしてもだ。2台に起きた問題が同じものなのかどうか、まだ分からない。これから調べる必要がある。
1台は昨日走れず、もう1台は今日走れなかったというのは、理想的な状況ではない。原因を理解しなければならない。
厳しい週末だった。でも速さはあった。今シーズン、ここまではずっと信頼性がかなり高かったから、本当に心配はしていない。ただ、問題を解決する必要があるね。
(接触によるギヤボックスのダメージはあるのかと聞かれ)それは今チェックしているところだ。ダメージがあったとしたら、今週末、またひとつ悪い驚きがもたらされることになる。
(ダメージが)ないことを祈っている。(ランス・)ストロールとのインシデントは全く不必要なものだったんだから。
■メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム
バルテリ・ボッタス 決勝=5位
難しい一日だった。やれるだけのことをやり、全力を尽くしたが、ペースが足りず、スライドしまくっていた。今日一番よかったのは、スタートだ。すごくうまく決まって、上位のポジションをめぐってアタックすることができた。でもすぐにポジションを落とし始め、前のグループについていけなくなった。
最初のスティントではアンダーステアがひどく、バランスに苦労した。レースの中心はタイヤの温度をうまく管理することだった。プッシュするとタイヤがオーバーヒートして、スライドしやすくなったんだ。だからすべてを管理して走らなければならず、そのためにとてもペースが遅くなった。
今回のレースをしっかり分析する必要がある。アップグレードパッケージはダウンフォースの面で大きく向上しているはずだったのに、それが感じられなかったんだ。理解すべきことがたくさんある。今日のことから学習しなければならない。
日本に向けてマシンのあらゆるパーツを正しく選択する必要がある。多少気温が低くなってくれるといいんだけどね。
■サハラ・フォース・インディアF1チーム
セルジオ・ペレス 決勝=6位
僕のキャリアを通じて、一番キツかったレースかもしれない。この週末は、レースをあきらめなければならない可能性もあったからね。最後まで走りきれただけでも、驚くべき結果と言うべきだろう。とにかく意志の力だけでドライブしているような状態だったけど、それもドクターたちが力を尽くしてくれたおかげで可能になったことだ。彼らには感謝しているよ。
いいスタートを決めて、序盤のうちに(ストフェル・)バンドーンをパスできたことが、僕のレースの重要なポイントだった。それ以降は、ペースをコントロールしながら、平穏無事に走り続けることができたからね。タイヤをうまく使って、最初のスティントを延ばすこともできた。唯一プレッシャーを感じたのはベッテルが迫ってきた時だけど、あれは僕にとって本当の意味での勝負ではなかった。
今回もチームとして重要なポイントを稼いだ。そして、これほど厳しかった週末を、好成績で締めくくることができてうれしい。日本でのレースには、万全の体調で臨みたい。
■マクラーレン・ホンダ・フォーミュラ1チーム
ストフェル・バンドーン 決勝=7位
今のところ、今回のレースが僕のF1キャリアのなかでベストと言っていいと思う。
週末を通して強さを発揮し、自信を持ってマシンを走らせることができた。予選で7位を獲得したけれど、決勝でどの位置でフィニッシュするか、はっきりとは分からなかった。だから今日7位で終えることができたのは最高の結果だ。
とてもいいスタートを決めた。フォース・インディアやウイリアムズを抑え切るのは難しいだろうと思っていたが、ペレスにしか抜かれなかったよ。
その後のペースもすごく良かった。毎周プッシュし、タイヤをうまく管理し、ストロールとのギャップを維持することを心掛け、最後までうまくやり遂げた。本当にハッピーだよ!
■ウイリアムズ・マルティニ・レーシング
ランス・ストロール 決勝=8位
すごく暑かった。マレーシアでのレースについて、みんなが話していたことの意味がようやく分かったよ。
最終的な結果にはとても満足している。13番手グリッドから8位に入れるなんて夢のようだ。レースを通じてペースは良かったし、ずっといいバトルをしながらタイヤのマネジメントもうまく行った。そうして2台が8位と9位に入ったのだから、チームとしては素晴らしい結果だ。
最後のクールダウンラップについて言うと、僕はラバーを拾いながらごく普通のラインを通り、いろんなスイッチを切り替えたりして、クルマを止めるための準備の操作をしていた。そこへ突然セバスチャン(・ベッテル)が近づいてきて、まるでまだレースをしているみたいにアウトから被せてきたんだ。
■ウイリアムズ・マルティーニ・レーシング
フェリペ・マッサ 決勝=9位
僕は素晴らしいスタートを決めて、何台もオーバーテイクしていた。それだけに、ターン2での出来事が本当に残念でならない。あそこで(エステバン・)オコンに押し出されたんだ。おかげでずいぶん順位を落としたし、フロアにもダメージを負ってしまった。あれがなければ、もっと上へ行けたはずだと思っている。
だが、全体としてはチームにとってポジティブな結果だった。ルノーとトロロッソが無得点だったレースでポイントを記録できたから、コンストラクターズ選手権争いの面でも大きな意味があった。
■サハラ・フォース・インディアF1チーム
エステバン・オコン 決勝=10位
残念なレースだったし、あまり満足もしていない。1周目のターン2に向かうところで、マッサとの接触でタイヤがパンクし、僕のレースは台無しになってしまった。そのおかげで2周目にピットに入らざるをえなくなり、そこからフィニッシュまで、ほぼレース全体を1セットのソフトタイヤで走ることになったんだ。レースを終えた時点でのタイヤの状態を考えると、最後の1ポイントを獲得できたのは上出来だった。
レース中のもうひとつの災難は、(カルロス・)サインツJr.をオーバーテイクしようとした時に、彼にヒットされたことだ。本来なら彼と順位を争うことはなかったはずだが、僕は序盤のパンクのせいでアウト・オブ・ポジションになり、そこから何とかリカバーしようとしていたんだ。彼が何をしていたのか知らないが、とにかく彼はタイヤをロックアップさせ、真っ直ぐに僕のクルマに突っ込んできて、スピンさせられた。
僕としては、早く忘れてしまいたいレースだ。クルマ自体のペースは良かったのに、それを生かせなかったからね。