安保法案への賛成や改憲を打ち出すなど「右寄り」であることが明らかになってきた「希望の党」。同党に、これまで安倍政権への批判票やリベラルな人々の受け皿となってきた民進党が吸収合併されることが決まった。
リベラル派には悩ましい状況だが、そうした中でにわかに活気づいているのが共産党だ。ネット上では「リベラルの受け皿はもはや共産党しかない」といった声が続出。共産党の広報担当者も「手ごたえはかなりある」と語った。
「比例は共産党しか選択肢はない。小池のポピュリズムは全体主義への道だ」
共産党書記局長の小池晃参院議員は9月28日、民進党の大島敦幹事長に、
「民進党の候補者が『希望の党』の公認を受けた場合、安保法制を廃止し、憲法9条を守る民意を託す選択肢を示すため、原則として共産党の候補者を擁立する」
と伝えたとツイッター上で報告した。
改憲や安保法制に賛成の自民党、希望の党に対して、共産党と社民党が候補者を一本化して共闘するという対立図式になりそうだ。こうなれば、護憲派やリベラルは共産陣営に投票する他ない。
「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)でお馴染みの生物学者・池田清彦氏は28日、
「私は過激なリバタリアンで、社会主義には反対だが、次の選挙では、少なくとも、比例は共産党に投票するしか選択肢はない。小池のポピュリズムは全体主義への道だ。安倍と野合して憲法改悪を目指すだろう」
とツイートした。社会主義には賛同できないが、今回の衆院選では共産党に投票するしかないという。
作家の松井計さんも同日、同党はもはや「左翼政党というより昔の中道左派に近い感じでしょ?共産という言葉にアレルギーを持つ人もあるようですが、政治的スタンスとしては今、最も求めれてるスタンスでは?」とツイート。与党・自民党と野党第一党になると目される希望の党のいずれもが右寄りの政党であるため、リベラルな共産党のスタンスが必要だということだろう。
他にもネット上には「いいんだよ今回は共産党で」「左派票を投じる先は共産党しかなくなった」といった声が相次いでいる。「大嫌いな共産党に投票するハメにこの歳でなるなんて冗談みたい」というツイートまであり、これまで共産党を支持してこなかった人も動かしつつあるようだ。
「希望の党は自民党の補完勢力」と断言 目標は現有議席の2倍以上となる47議席獲得
こうした状況を当の共産党はどう受け止めているのだろうか。共産党の広報担当者は、キャリコネニュースの取材に対して、「手ごたえはかなりある」と話した。
「安保法案には反対、改憲にも反対という御旗の元、安倍政権と対峙してきた。民進党がその理念を打ち捨ててしまった以上、『共産党しかない』という声が届いています」
民進党が希望の党に合流したことについては、「背信行為であり、許せない」と批判。希望の党に関しては「安保法案を容認したり、改憲を謳ったりと自民党の補完勢力でしかない」と断じた。
2014年の前回衆院選では、比例代表で606万票超を得て20議席を獲得、小選挙区でも1人が当選した。今回は「850万票以上の得票」を目指しているという。広報担当者は、「比例代表の各ブロックで1議席以上増加させるとともに、16の小選挙区で勝利したい」と意気込みを語った。
目標を達成できれば、比例代表(全11ブロック)での31議席に加え、小選挙区で16議席の計47議席を獲得することになる。
選挙戦の軸になるのは「安倍政権の暴走を止める、北朝鮮問題を外交で解決する、消費税は増税しない、憲法9条を護る、核兵器禁止条約を締結する」といった政策だ。また昨今、話題の「働き方改革」については、「長時間労働の野放しをやめる。非正規雇用は正規雇用に転換する」と語った。
今回の衆院選の公示日は10月10日。22日に投開票が行われる。