第15戦マレーシアGPの木曜FIA会見は、シンガポールGPのスタート直後にクラッシュした3名が揃って出席ということで注目を集めました。
最初は神妙な面持ちで会見場に入ってきたかに見えた3名でしたが、司会者から事故について質問を受けると「もちろんみんなハッピーじゃないけど、起きてしまったことはしょうがない」(セバスチャン・ベッテル)
「終わったことはどうすることもできない」(マックス・フェルスタッペン)
「日曜にはすでに次に進んでいるよ」(キミ・ライコネン)と3人ともがそつなく答えて終了。
その後は何を聞かれても同様の答えで、これ以上ことを荒立てたくないというのは明らか。
それでもベッテルが隣のフェルスタッペンに話しかけたり帽子を直す仕草をするだけでも会見場内にはカメラのシャッター音が鳴り響き、ライコネンの声が聞こえなくなるほど。
ある記者がシンガポールGPの事故でタイトル争いが極めて厳しくなったことに言及すると、「何ポイント差がついても僕は下を向かない」と宣言したベッテルでしたが、ブラジルのリビオ・オリキオ記者が「この2戦で続けてフェラーリはメルセデスAMGの後塵を拝しましたが」と質問すると明らかに不満顔を見せ、「シンガポールは見ての通りマトモにレースができていないし、イタリアは土曜日の不振からのリカバリーは上出来だったし3位表彰台は悪い結果じゃない」と反論。
しかし慌てたカメラマンが転んで大きな音を立てたのを見ると「大丈夫?」と気遣う優しさも。質問がライコネンに飛ぶと何かとフェルスタッペンに話しかけ、談笑する様子を見る限りでは、ベッテルとフェルスタッペンの間には何のしこりも残っていないことも分かります。
そして最後に会見場の爆笑を誘ったのはライコネン。
マレーシアGPが最後の開催となることに対して「今後恋しく思うことはある?」と聞かれ、ベッテルとフェルスタッペンが優等生的にそつなく答えたのに対し、サーキット自体は「レイアウトが良いサーキット。初優勝した場所だしこれだけレースをしていれば良い思い出も悪い思い出もある」と答えたライコネンでしたが、恋しいかどうかについては「正直言って、まぁ恋しく思うかどうかは分からないよね。サーキットは悪くないけど周りには空港しかないし、あとはホテルしか知らないし」と事実上の否定。
これにはさすがにFIA広報担当官も苦笑いどころか爆笑してしまい、次の質問になかなか移れなくなってしまったほどでしたが、最年長になりマレーシアGP最多出走となった今でもライコネンらしい純粋さを失っていないという意味で会見場に集まった報道陣には大ウケ。
最初はやや緊張感もあったマレーシアGPのFIA木曜会見でしたが、最後はライコネンのおかげで(?)和やかな雰囲気で幕を閉じたのでした。