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“コミュ障SSW”みゆはんが放つ特異な存在感 2017年要注目、新たな才能への期待

2017年09月28日 20:03  リアルサウンド

リアルサウンド

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 Twitterフォロワー数19万人を超えるカリスマ的人気を誇る“コミュ障シンガーソングライター”みゆはん。大人気アニメ『けものフレンズ』(テレビ東京系)のエンディング曲に書き下ろした「ぼくのフレンド」が話題となったことは記憶に新しい。メジャーデビュー作となった前作『自己スキーマ』のリリースから半年、早くも2ndミニアルバム『リスキーシフト』が9月29日にリリースされる。自らの経験から生まれたリアルな感情表現に乗せた、超絶ポップでキュートな透き通る歌声が中毒性を高める1枚だ。


 気になるのは“コミュ障シンガーソングライター”という彼女の肩書き。しかし、作り出される作品の雰囲気にはメンヘラ感は一切無く、王道J-POPのラブソングを得意とする彼女。女子ソロシンガーの中でも、特異な存在感を解き放っている逸材だ。詞曲を手がけるのはみゆはん自身。DTMやギターでデモ音源を制作。それをサウンドプロデューサーであるNishi-ken、みきとP(mikito)など、人気クリエイターと楽曲ごとにコラボレーションすることでサウンドを組み立てていく。


 最新作『リスキーシフト』では、ファンへ向けて日々の感謝の言葉を歌った自己紹介ソング、就職活動の経験を歌ったナンバー、恋愛の倦怠期を歌った女の子の気持ちを表現した曲、大好きだというとある大人気ゲームの主人公に感化されたというせつないバラード、猫の気持ちをニャーニャー歌った!?問題作、親子の関係性を歌ったナンバーなど、様々な感情や想いを多岐に渡ってポップに表現。対面コミュニケーションが苦手で内向的であるがゆえに生まれる、リアルで温かみのあるハンドメイドな作品たち。ポップロックなサウンドに乗せて、時折、私小説風でもあるフォークソング的な言葉のセンスが垣間見れるのもユニークだ。


 DVD付き初回限定盤には「ぼくのフレンド」のミュージックビデオがフルバージョンで収録されている。主演は、アフレコ以来の再会となったというアニメ『けものフレンズ』で主人公サーバル役の尾崎由香。しかし、みゆはんはコミュ障であるがゆえにうまくは会話ができなかったそうだ。クリエイティブでのみつながる関係性。それもまた彼女らしいのかもしれない。


 みゆはんは、学生時代に心理学を専攻していたという。その理由は、対面コミュニケーションが苦手な自分を克服したく、他者の気持ちを理解したいと目覚めたからだ。経験は作品づくりにも生かされ、前作『自己スキーマ』に続いて心理用語を用いたタイトル『リスキーシフト』がアルバムに名付けられている。


 筆者が行ったインタビューでは「『リスキーシフト』っていうのは、個人だと慎重な考え方をする人でも大勢になったら極端な考え方に走っちゃうことを指しています。あと、ハイリスク・ハイリターンみたいな意味もあって……、それで『リスキーシフト』にしました。狙っていきたいなと思って名付けたんです。あと、みんなで協力して作ってきたものなので、こういうごちゃごちゃしたジャケットになっています。でも崩れそうで、崩れない。」と言葉を選びながらゆっくりと語った。


 音楽以外でもイラスト、自撮り、メイク、声優、そしてデザインを手がけるオリジナルブランド“Que Sera ism”のプロデュースなど、活動は多岐にわたり、“けせらーず”なるキュートな猫キャラクターのプロデュースも気になるところ。さらに、11月26日には赤坂BLITZにて、初のワンマンライブも決定した。ライブ自体が初めてであり、いきなりの大会場だ。とはいえ、初取材の際に「夢は武道館公演!」と語っていた彼女。みゆはん、2017年要注目の新しい才能の躍進に期待したい。(ふくりゅう(音楽コンシェルジュ))