民進党・前原誠司代表は9月28日、安倍政権への批判票が野党各党に分散するのを阻止するため、希望の党への合流を決定した。その結果、衆議院議員選挙は自民党VS希望の党という構図で戦われることになりそうだ。
しかし批判票の受け皿となるのが小池百合子・東京都知事が率いる「希望の党」で本当にいいのか。ネットでは、小池氏の過去の発言が注目を集めている。
「東京に米国の核ミサイルを」という発言を否定せず
現在、小池百合子氏の公式サイトには、ほとんど何のコンテンツも掲載されていない。しかしリニューアル前のサイトには、保守系論壇誌「Voice」(PHP研究所)2003年3月号に収録されていた「日本有事3つのシナリオ」という対談が掲載されていた。
この対談で小池氏は、現代コリア研究所主任研究員の西岡力氏と杏林大学教授で保守系右派組織「日本会議」の会長を務める田久保忠衛氏と安全保障について語り合っている。「東京に米国の核ミサイル」をという小見出しが付けられた箇所で小池氏は、日本が核武装することはあり得ると断言している。
「軍事上、外交上の判断において、核武装の選択肢は十分ありうる」
「わずかでも核武装のニュアンスが漂うような発言をしただけで、安部晋三官房副長官も言論封殺に遭ってしまった。このあたりで、現実的議論ができるような国会にしないといけません」
また西岡氏は、北朝鮮が核開発を続けている間は、「核ミサイルを東京に持ってきてもらうのがベスト」と述べ、田久保氏も「(日本の核武装についての)議論だけをタブー化するのはおかしい」と語っている。小池氏は両氏の発言を否定しないどころか、「金正日は日本の目覚まし時計として鳴り響く」と核武装の議論が活発化することを歓迎しているようだった。
「新基準を満たした原発は再稼働すべきだ」
希望の党は「原発ゼロ」を掲げている。しかし2012年の衆議院議員選挙の時、自民党から立候補していた小池氏は、毎日新聞のアンケートに対して次のように答えていた。
「新基準を満たした原発は再稼働すべきだ」
「(2030年代の原発稼働ゼロを目指す政府の目標は)支持しない」
この時は、「原発ゼロ」とは相いれない考えを持っていたのだ。
こうした過去の発言がネットで次々と晒される中、
「保守系の原発推進派の票より、無党派層の脱原発票の方が多いと計算しているのか…また騙される人が多そう」
「核武装論者であり、原発再稼働・輸出推進派だった過去も含めてリセットしたいというわけか」
と批判の声が上がっている。
小池氏は日本会議の国会議員懇談会名簿にも名を連ねている。(※1)こうした発言をしていた時から考えが変わった可能性もあるが、選挙のための本心を隠していると考える方が自然だろう。
民主党時代には「原発ゼロ」を掲げていた民進党。党としては憲法9条の改正にも反対していた。同党に所属していた議員の中には、小池氏の政治信条には賛同できないという人も多いはずだが、一体今どんな心境なのだろうか。
(※1)成澤宗男=編著『日本会議と神社本庁』(2016年、金曜日)