F1シーズンを転戦していると、いろいろな人との出会いがある。そんな人たちに、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねる連載企画、今回は90年代後半から2014年までF1の世界で活躍していた浜島裕英氏だ。
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この方に、こんなコーナーに出ていただくのは恐縮である。なにしろ、90年代後半からつい最近まで、この方はF1界にとってなくてはならない存在だったからだ。
それでも、そういうことは気にせず、「日本のモータースポーツが少しでも盛り上がってくれれば」と二つ返事で取材に協力してくれるあたりは、F1現役時代と変わらない。
ブリヂストンのエンジニアとして、97年から2010年までF1を戦ってきた浜島裕英氏。その後、2012年から3年間、フェラーリでビークル&タイヤインタラクション・デベロップメント担当のエンジニアとして、跳ね馬の足元を支えた。しかし、フェラーリのルカ・モンテツェモーロ会長の解任に伴うフェラーリの内部抗争のあおりを受けて、2014年限りでF1を去っている。
現在はスーパーフォーミュラやスーパーGTに参戦しているセルモの総監督として、両カテゴリーの指揮を執っている。その浜島氏が今回シンガポールGPに来たのは、某旅行代理店が企画したツアーで現地でトークショーなどに出演するためだった。
わかりやすい解説に定評がある浜島氏のトークはとても人気が高く、これまでも何度もトークショーに出演しているが、それらはすべてF1関係者として現場にいた浜島氏が時間の合間に呼ばれるという形だった。しかし、今回はもうF1関係者ではなく、トークショーのためにわざわざ日本からシンガポールにやってきたのだ。浜島氏自身も「このような経験は初めて」だという。
F1の現場を離れてもなお、引っ張りだこの浜島氏は、シンガポールGPではツアー客のためのトークショーだけでなく、フジテレビの解説にも出演。
今年のシンガポールGPでコースレコードが更新された理由をわかりやすく解説していた。
トークショーでお客さんから受ける最も多い質問は「タイヤの使い方がうまくドライバーはだれ?」だという。浜島氏の答えは「シューマッハー、アロンソ、ベッテル」だった。
2015年の日本GP以来のF1訪問となった浜島氏。次にF1を訪れるのはいつになるのか。そして、そのときはどんな目的なのか。まだまだ目が離せない存在である。