介護業界で唯一の国家資格である「介護福祉士」。しかし今年実施された試験では受験生が前年の約半数、7万6323人に減った。
そんな中、介護職の人材紹介サービスを展開するウェルクスは9月27日、「介護福祉士の手当や待遇」に関するアンケート調査の結果を発表した。調査は8月29日~9月4日にインターネットで実施。同社運営の「介護のお仕事」などの読者で介護福祉士の資格を持つ20~60代の男女134人から回答を得た。
「介護福祉士の手当や待遇に満足していない」と回答した人は87.3%、「現在の実務内容に満足していない」は75.4%にのぼった。
資格を取得すると「指摘が多くなり、厳しくされるようになった」
介護福祉士の手当額を聞くと、最も多かったのは「5001~1万円」で29.1%。以降「1~5000円」(26.9%)、「1万1~2万円」(19.4%)、「0円」(18.6%)、「2万1~3万円」0.7%と続く。手当の支給額が5000円以下と回答した人は合計45.5%で、手当がないという人も2割近くいた。
資格を取得してからの実務内容について聞くと「変化はなかった」が80.6%で、「変化があった」は19.4%に留まった。「役職がついた」(デイサービス勤務、50代・女性)という人もいたが、
「サービス提供責任者になり、現場と書類作成、ヘルパーの育成を担当するようになった。仕事量が増えすぎた」(訪問介護勤務、40代・女性)
と嘆く人も少なくはない。資格取得後の周りからの期待や接し方について聞くと「変わらない」が最も多く、62.7%。以降「仕事を任される機会が多くなった」(28.4%)、「指摘が多くなり、厳しくされるようになった」(12.7%)と続き、「褒められることが増え、優しくされるようになった」は3.0%に留まった。
「資格を取っても給料がたくさんあがるわけでもない」
しかし「介護福祉士を取得して良かったと思いますか?」という質問に79.1%が「はい」と回答している。理由としては「仕事をしていると資格を聞かれて、国家資格をもっているだけで安心して貰える」(訪問介護勤務、40代・女性)など、資格を持っていることが重要だという声が多く寄せられている。
一方で「いいえ」(20.9%)と答えた人は、
「資格を取っても給料がたくさんあがるわけでもないし、施設の中でも看護師、ケアマネ、相談員…の下の格付けにはかわらないから」(有料老人ホーム勤務、30代・女性)
と取得しても何も変わらないと感じている人も多い。中には「取得してだいぶたちますが、いまだにヘルパー2級をもっていた頃とやっていることは同じ」と、無資格者との違いがないと感じている人も。この結果について同社は、
「(資格を取っても)約8割の方が業務内容に変化なしと答えています。せっかく時間もお金も使って『介護福祉士』を取得したとしても、5000円以下の手当と変わらない業務内容では、取得したいと思わない方が増えても仕方ないかもしれません」
と分析し、「介護福祉士の人気を上げるために改善すべきこととは、何なのか。じっくりと考えていきたいです」とプレスリリースで述べていた。