「私なんかもうオバサンだから」―――。おそらく、誰の目から見ても一目瞭然の「正真正銘のオバサン」がそれを口にする分にはあまり気にならないのだろう。しかし、30代後半あたりからの数年間、つまり本人が女としての老化に気づき、認めざるを得なくなってきた時期のその言葉の裏には、単なる自虐だけではない「何か」があると感じ取ってしまうという人たちがいる。
要するに、めんどくさいオバサンだ。「オバサンじゃないですよ」と返されたくて言っているのではないか?と感じる若者の声もある。先日のガールズちゃんねるでも、バイト先の年上女性(40代)への対応に頭を悩ませているという投稿があった。(文:みゆくらけん)
「そんなことないですよ」と言ったら「じゃあ何歳に見える?」
「私ババアだからさ!」とか「ババアは引っ込んどきまーす(笑)」とよく口にするというその女性。投稿者は「そんなことないですよ」と毎回言うのもめんどくさいし、かといって否定しないのも失礼なのかも、と悩んでいるという。
「むしろ年齢にコンプレックスがあって人から(オバサンだと)思われるのが嫌だから自分から言ってるプライドの高さが伝わってきます」
「自称ババア女性」のサバけきらない微妙な雰囲気と圧を感じたのだろう。女性という生き物は、同性に対するこの種の違和感に鋭い嗅覚を持つ。「ただの自虐ではない」と敏感に察知し、言葉の裏にある真意や欲望を読み解こうとするのだ。投稿者は腹の底からこう訴える。
「『私ババアだからさ!』への正しい対処法教えてください」
この投稿へは多くの共感コメントが集まった。大方は「ほんとめんどくさい」というものだ。「そうですねババアですね!」とも言えないし、かといって否定しても逆ギレを誘発するリスクがある、との声も。
「スルーしたら変な空気流れるし…(笑)どんな反応したらいいのか正解が分からない」
「めんどくさいよね!!『そんなことないですよ』って言ったら、『じゃあ何歳に見える~?』とか言われたことある」
「何歳に見える~?」は確かに相当ウザい。ちょうど、9月24日の「上沼・高田のクギズケ!」(読売テレビ)でも話題になっていた。番組では「正直面倒だと思われている年上の言動」が紹介されていたが、「私って何歳に見える?」と「私なんてオバサンだから」の言葉には正解の返しがわからずウンザリしてしまうとのことだった。上沼恵美子はこれに対し、
「『私って何歳に見える?』っていう人にロクな人おらんな。これはもうアホの質問」
と呆れ、「私なんてオバサンだから」には「『ほんまにオバサンやなァ』って言うたったらよろしい」とコメントしていた。
「私デブだから~ブスだから~」というのも同様に面倒くさい
しかし実際問題、「確かにババアですもんね~」などと返すのはなかなか難しい。関係にヒビが入ったらややこしいし、
「ハハッと笑っておけばいい」
「『じゃあ私は若輩者なので、人生の先輩に任せまーす』と天然を装って、聞こえないフリをする」
このあたりが妥当なところだろう。
今ちなみに「ババアだから~」は筆者もついつい言ってしまっている可能性が大なので以後は気を付けようと思う。自虐でもなんでもなく、あくまで事実として言っているだけなのだが、記事を書き進めていくうちに、果たして本当にそれだけなのか自信がなくなってきた。実は、傷つけられる前に自ら発信しておこう的な、自己防衛なのかも。どちらにせよ、会話する相手に変に気を使わせるのは申し訳ない。
コメントの中には「私デブだから?とかブスだから?という自虐も困る」という声もあった。「私ババアだからさ!」同様、本人は単なる自虐のつもりで言っているのかもしれないが、聞く人によってはめんどくさいと感じる場合もあるようだ。