2017年シーズンよりWEC世界耐久選手権にフル参戦している澤圭太とクリアウォーター・レーシングは9月16日、サーキット・オブ・ジ・アメリカ(COTA)で行われた第6戦の決勝レースでLM-GTEアマクラス2位となった。
前戦のメキシコから2週間という短いインターバルをおいて迎えた第6戦オースティン。澤やチームオーナー兼ドライバーのウェン-サン・モクにとっては今回のCOTAも初めて走るサーキットであるが、澤はいつもどおり走り始めの数ラップでコースに順応し、モクのコース熟成に多くの時間を割いている。
金曜に行われた予選では、まずモクがアタックに行ない、フリープラクティスで記録した自己ベストを大きく上回る2分09秒114をマーク。マシンを引き継いだマット・グリフィンは2分05秒951というタイムを出し、ふたりの平均ラップの結果、61号車フェラーリ488 GTEは今季最上位のクラス3番手グリッドを確保した。
16日正午に幕を開けた決勝レースでは澤がスタートを担当。スティント序盤から、2番手に後退したアストンマーチン・レーシングの98号車アストンマーチン・バンテージにプレッシャーをかけていく。
98号車アストンマーチンを駆る経験豊富なブロンズドライバー、ポール・ダラ-ラナがなかなか隙をみせないなか、澤はターン11でフェイントを用いた仕掛けで相手のミスを誘う。アストンマーチンが態勢を乱し、コーナーの立ち上がりで僅かに失速したところを、押し出すようなカタチでオーバーテイク。2番手に順位を上げた。
接触によるペナルティの心配もあったが、レースダイレクターはこれをレーシングアクシデントと判断したため61号車フェラーリにお咎めはなし。澤はスティント終盤に首位を走るスプリット・オブ・レースの54号車フェラーリ488 GTEもオーバーテイクしてピットイン。オーナーのモクへバトンをつないだ。
その後、61号車フェラーリはモク、グリフィン、ふたたび澤と交代していき、クラス2番手と30秒差の首位でモクの2回目のスティントを迎えた。このタイミングでライバルの98号車アストンマーチンはチームのエースで元F1ドライバーのペドロ・ラミーを投入。2台のギャップは周回を重ねるごとに縮まっていき、スティント中盤にはついに逆転を許してしまう。
最終スティントを担当したグリフィンのスピードを持ってしても約50秒のギャップを縮めることはできず、結局2番手のまま6時間レースのチェッカーを受けることとなった。
この結果、僅差で争っているチームランキングはアストンマーチン・レーシングが首位に立ち、クリアウォーター・レーシングは8ポイント差のランキング2番手から6ポイント差の3番手となった。また、ドライバーズランキングでは98号車のラミー/ダラ-ラナ/マティアス・ラウダ組から14ポイントのランキング3番手につけている。
「ル・マン24時間の5位、ニュルブルクリンクの4位、メキシコの5位と、表彰台に届かないレースが続いていたので、ここでの2位は非常に貴重です」と澤。
「自分たちができるベストの走りと作戦なら、表彰台圏内で走れるという自信をシーズン序盤の時のように感覚的に取り戻せました。この状態でチームも僕も勝手知ったるホームコース、富士スピードウェイに戻れるのは好材料だと思っています」
「今回の結果は気温が高くミシュランタイヤの悪い特性が出づらかったこと、僕がスタートを担当してきっちりレースを作れたこと、そして、オーナードライバーのモクがしっかりとコース慣熟に時間を取って、練習走行の走り出しから本来の堅実かつ粘り強いミスのない走りが決勝を通じてもできたことが要因だと言えます」
次戦のWEC富士については「1年に100日近く居るであろう庭とも言えるサーキットでWECドライバーとしてレースができることをル・マン24時間と同じくらい楽しみにしています」とコメント。
「チームにとっても慣れ親しんだ地域での初のWECシリーズ戦。今回の流れをきっちり引き継いで、会心のレースにしたいと思いますので、ぜひ応援宜しくお願いいたします!」
いよいよ次戦に迫ったWEC第7戦、日本ラウンドは10月13~15日、静岡県・富士スピードウェイで開催される。