フランスのル・マン、ブガッティ・サーキットで9月23~24日に開催されたFIA ETRCヨーロピアン・トラック・レーシングチャンピオンシップの第8戦は、土曜のオープニングからシリーズの紅一点であるシュティフィ・ハルム(ラインアート・レーシング/MAN)が今季2度目のポールポジションを獲得。そのままレース1をポール・トゥ・フィニッシュで飾り、今季3勝目を挙げた。
2016年シーズンも同イベントで4レース中2勝を挙げるなど、このブガッティ・サーキットと抜群の相性をみせるハルムは、予選から速さを発揮し、今季2度目のポールポジションを獲得。
彼女のMANはスタートでも危なげない反応をみせると、そのまま終始11周のレースをリードし、2位に浮上してきた王者ヨッヘン・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/イベコ)を1.4秒差で抑え、リバースポールではないレースで価値ある完勝劇を演じた。
「これまでずっと、私は予選でのパフォーマンスを改善したいと言い続けてきた。今日はそれが現実になり、ポールから完璧なレースをすることができたわ。スタートも決まったし、あとは毎ラップ集中することだけに気を配ったの」と喜びを語ったハルム。
「途中、ペナルティマーカーが2度出て、そこで確実にスローダウンした。それがヨッヘン(・ハーン)とノビー(ノルベルト・キス)とのギャップが詰まる要因になったけど、彼らが私を追い抜けないことは理解していた。とにかく、ドライブスルーペナルティをもらわないよう最大限の注意を払ったわ」
2位に入ったハーンは、スタートの1コーナーでノルベルト・キス(チーム・タンクプール24レーシング/メルセデス・ベンツ・トラックス)と、サッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ/MAN)の2台をまとめてかわすロケットスタートを決めての表彰台。その3位には、前方2台には離されながらも、4番手以下を5秒近く突き放したキスが入った。
続く午後のレース2は、ファイナルラップまで10周以上にわたりレースをリードしたリバースポールのゲルト・コーバー(シュヴァーベントラック/イベコ)を、フィニッシュまで残り半周のところでかわしたキスがドラマティックな大逆転劇で制し、2位にはキスのオーバーテイクに乗じてコーバーを3位に追いやったアントニオ・アルバセテ(トラックスポーツ・ルッツ・ベルナウ/MAN)が入った。
明けた日曜朝の予選では、レンツのメルセデスが自身初となるポールポジションを獲得。しかし、レース3のスタートでは土曜の2レースとも接触のアクシデントでマシンにダメージを負い、下位に沈んでいた現ポイントリーダー、アダム・ラッコ(フレートライナー/バギラ・インターナショナル・レーシング・システム)が怒りのホールショット。
そのまま33歳の誕生日を自ら祝う今季12勝目をマークし、以下レンツ、ハーン、キス、ハルムの順でチェッカーをくぐった。
そして最終レース4は、前日のレース2でファイナルラップでの大逆転負けを喫していたコーバーが、リバースグリッドのフロントロウ、2番手からのスタートでその雪辱を晴らす勝利を記録。2位には、そのコーバーを最後まで苦しめたハルムのMANが入り、週末2度目の表彰台を確保。3位に王者ハーンが続き、最終戦を残して選手権首位のラッコに45ポイント差にまで詰め寄った。
そのETRC最終戦はイベリア半島、スペインのハラマが舞台。トラックヘッドには厳しいビッグブレーキングとタイヤ磨耗の激しいサーキットで、10月7~8日に最後のタイトル争いが繰り広げられる。