2017年09月27日 11:02 弁護士ドットコム
坊主がベンツを乗り回すーー。たまに聞く話だが、実際に見かけることもある。もちろん、全てのお坊さんがそのような生活を送っているわけではないのは当然だが、中には、ベンツだけでなく、フェラーリ、BMWなどの高級外車を所有しているケースもあるそうだ。
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宗教法人は非課税という話を聞くことはよくあるが、一部のお坊さんの羽振りがよくなるほどその効果は大きいのだろうか。三宅伸税理士に聞いた。
「『宗教法人は非課税』。これは半分正解で半分不正解です。宗教法人の税金は多少優遇されていますが全部非課税ではありません。決して丸儲けではないのです。
宗教法人のように儲けることを目的とせず、公益(利益は存在せず社会のため)を目的として設立された法人については、収益事業(利益を目的とする事業)から生じた所得に対してのみ法人税が課税されます。
お守り、お札、おみくじ等の販売のように、実質的な喜捨金(寺院等に対する寄付のようなもの)と認められる物品の販売は、収益事業には該当しないものとされているので、売値と仕入れの差額(利益)について法人税は課税されません。
一方、絵はがき、暦、線香、ろうそく、供花、数珠、集印帳、メダル、キーホルダー、箸、陶器等の通常の販売や宗教法人境内の一部の駐車場の駐車料金は、収益事業に該当するとされ、利益が出れば法人税が課税されます」
ちなみにベンツも経費として計上できるのか。
「宗教法人でも経費として計上できるのは事業に係るものに限られています。
ベンツが事業上必要ではなく、実際事業に使っていなければ費用として計上することはできません。これは宗教法人に限られたことではなく、全ての事業に言えることです。
だからといって、お坊さんが、ベンツに乗ることができないわけではありません。お坊さんが給与でベンツを購入すること自体は、問題はありません。
もちろんお坊さんが受け取る給与も、普通のサラリーマンと同様に所得税が課税され源泉徴収されます。
宗教法人からお坊さんへの私的な流用が以前ニュースになったこともあり、国税局も宗教法人の私的流用の調査に力をいれていると言われています。『個人の家計と宗教法人の会計とは明確に区分する 必要があります』と国税庁も平成29年版として『宗教法人の税務』を公表して注意を促しています。
宗教法人に限らず法人と個人の区分は明確にしなければなりません」
【取材協力税理士】
三宅 伸(みやけ・しん)税理士
大阪府立大学経済学部卒業後大手リース会社勤務。仕事、育児、勉強を両立しながら大阪の税理士法人に勤務。平成26年11月堂島で独立開業 平成29年4月業務拡大にともない江戸堀に事務所移転。誠実であること、素直であること、常にお客様の立場に立って考えお客様と共に成長していくことをモットーにしている。相続、起業支援、介護事業支援等を軸に幅広く活動している。
事務所名 : 三宅伸税理士事務所
事務所URL: http://miyake-tax.jp
(弁護士ドットコムニュース)