■草間彌生美術館が10月にオープン
草間彌生美術館が10月1日に東京・新宿区弁天町に開館する。一般公開に先駆けて、本日9月26日に報道陣向けの内覧会が行なわれた。
白い水玉の外壁が目印の同館は地上5階、地下1階の建物。建設は久米設計が担当し、白い展示室がらせん状に連続した構造になっている。
■太陽の光を受ける巨大かぼちゃや初公開の新作ミラールーム
10月1日からはこけら落としの展示として、『創造は孤高の営みだ、愛こそはまさに芸術への近づき』が開催。最上階の5階には、草間の過去の展覧会カタログなどが閲覧できるブラウジングスペースがあり、ここを通り抜けてガラスの扉を開けると、屋上ギャラリーにある巨大なかぼちゃの作品『Starry Pumpkin』が現れる。空の下で太陽の光を浴びてタイルが光を放つこの作品は、展覧会のために制作された新作の立体作品だ。
1つの下の4階では、最新のミラールーム『無限の彼方へかぼちゃは愛を叫んでゆく』を初公開。こちらも展覧会のために制作された新作となり、暗闇の中で明滅する黄色いかぼちゃが、鏡の反射によって無限に反復する。
■平面作品『わが永遠の魂』と『愛はとこしえ』が壁面を覆う
2階、3階のギャラリースペースには平面作品を展示。3階では色鮮やかな正方形のキャンバスが壁一面を覆う。草間が2009年から制作に取り組んでいるアクリル絵画の連作『わが永遠の魂』だ。現時点で530点を超える作品が作られているという同シリーズから、今回の展覧会では未公開の作品も含む16点を紹介している。
2階ギャラリーは3階とはうってかわってモノクロームの壁面。黒のマーカーペンを使ってフリーハンドで描かれたドロイーングを、シルクスクリーンで版画にした連作『愛はとこしえ』シリーズが白い展示壁を埋め尽くす。宇宙人のようなキャラクターや、目、水玉などのモチーフが繰り返し描かれている。
■草間彌生からのメッセージ「最大の愛をもって一生愛して」
内覧会に登場した館長の建畠晢は、同美術館を「世界で唯一の草間さん自身が作った美術館」と紹介。また「草間さんのアートの素晴らしさと同時に、ロジカルでチャーミングな人間的な魅力も伝えられたら」「世界中で草間さんの展覧会が行なわれており、作品がみなさんの目に触れる機会も多いと思うが、草間さん自らが作った美術館ならではの幅の広がりを見せていきたい」と意気込みを述べた。
さらに会場では草間彌生自身が来場者へのメッセージを読み上げる映像を上映。その中で草間は「私の終生の念願であった草間彌生美術館を建て、みなさまに作品を見ていただきたいという心からの希望が達せられました。これは私の生涯における最大の感激であります」と語ったほか、「私の愛する人々や、世界平和を望む全ての人々へ、畏敬の念をより一層込めて私は人生のおしまいの日までこれからも闘い続けます。あななたちの志によって私を鼓舞していただきたい。その強い願いをあなたたちに伝えたいと思い、この美術館を建てました。みなさん、私の愛する美術館をぜひあなたも最大の愛をもって一生愛していただきたいと思っております」と呼びかけた。
草間彌生美術館では、10月1日から2018年2月25日まで展覧会『創造は孤高の営みだ、愛こそはまさに芸術への近づき』を開催。入場は1日4回の入れ替え制となり、チケットの事前購入が必要となる。今後は年2~3回の展示替えを行なうという。