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【WEC基礎講座】最後の富士決戦を制するのは? 富士と好相性のトヨタVS連勝中のポルシェ

2017年09月26日 17:32  AUTOSPORT web

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2号車ポルシェ919ハイブリッドと8号車トヨタTS050ハイブリッドによるタイトル争いは富士で決着の可能性も……。
世界三大レースのひとつである『ル・マン24時間』をシリーズの1戦に組み込むWEC世界耐久選手権。静岡県・富士スピードウェイでは今年もシリーズ第7戦富士6時間レースが10月13~15日に開催されるが、そもそもWECとはどのようなシリーズなのか、WEC富士の前におさらいしておこう。今回は終盤戦を迎えたLMP1クラスのチャンピオン争いと開催まで1カ月を切ったWEC富士の見どころを紹介する。
 
 2017年7月28日、ポルシェが今シーズン限りでのWEC撤退を発表。これによってLMP1-Hクラスでトヨタとポルシェによる頂上決戦が展開されるWEC富士は今年で見納めになることとなった。
 
 第6戦オースティン終了時点で、タイトルを争う両陣営の選手権ポイントは、ティモ・ベルンハルト/アール・バンバー/ブレンドン・ハートレー組2号車ポルシェが159ポイントを獲得し、ランキング首位に立つ。
 
 その2号車ポルシェを追うトヨタは、中嶋一貴/セバスチャン・ブエミ組8号車が108ポイントでランキング2番手につけているが、直近の3レースではマシンのダウンフォース不足から苦戦を強いられるなど、ライバルのポルシェに差をつけられてしまっている。
 
 また、マニュファクチャラーズポイントでもポルシェ242ポイントに対し、トヨタは168.5ポイント。その差73.5ポイントと、こちらもポルシェのマシンにトラブルなどが発生しない限り2014年以来3年ぶりのタイトル奪還は厳しい状況だ。
 
 しかしル・マン24時間以降、苦戦が続いたトヨタにとってホームコースである富士スピードウェイはWECのシリーズ戦の中でもっとも得意としているサーキットのひとつ。2012年のレースから5戦4勝と抜群の勝率を誇る。
 
 メキシコや、テクニカルコーナーが続くニュルブルクリンクに比べて、低ダウンフォースとなる富士スピードウェイ。前戦のオースティンではレースペースが改善されるなど好材料が揃っており、第2戦スパ・フランコルシャン以来の総合優勝、母国ファンの前でのワン・ツー・フィニッシュも期待される。
 
 もちろん昨年、日本ラウンドでの勝利を逃したポルシェも2015年以来2年ぶりの優勝とともに富士でのタイトル確定を目指すことから、両陣営による激しい戦いが展開されることは間違いないだろう。
 
 そんなLMP1-Hクラスのバトルのゆくえを左右しうる他クラスでは今季、シャシーとエンジンが一新されたLMP2クラスに注目。
 
 今シーズンのLMP2カーはエンジンパワーの増大によりル・マンではLMP1-Hマシンを上回るトップスピードをマークしている。約1.5kmのロングストレートを持つ富士でもその直線スピードの速さを遺憾なく発揮するはず。加速区間ではハイブリッドパワーを用いるLMP1-Hに及ばないものの、ストレート後半ではトヨタとポルシェのマシンがLMP2カーを抜きあぐねるという光景が見られるかもしれない。
 
 富士スピードウェイのオーバーテイクポイントは最高速から一気に60km/h前後まで減速するTGRコーナー(1コーナー)のほか、コカ・コーラコーナー、ダンロップコーナー、パナソニックコーナー(最終コーナー)など、サーキット各所に点在。訪れたファンは場内の各ポイントで繰り広げられるバトルを楽しむことができる。
 
 なかでもおすすめなのがTGRコーナーとダンロップコーナー。このふたつのポイントは前述の各コーナーのなかでもバトルが多く展開されるほか、ドライバーやマシンによるブレーキングの違いを間近で感じることが可能。また、夕方になるレース終盤には真っ赤に発熱するブレーキディスクを見ることもできる。
 
 6時間にわたる長いレース。戦況の分かりやすいグランドスタンドでの観戦・応援もよいが、場内各所をぶらつきながら、ゆったりとレースを楽しむ耐久レースならではの観戦方法も試してみてはいかがだろうか。